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『ウリッセの帰還』/モンテヴェルディ [オペラ録音・映像鑑賞記]

mon

 「ウリッセ」と聞いた瞬間「瓜でっせ」と脳内日本語変換してしまったカタカナの苦手な管理人です。

 あらすじ読んだら『オデュッセイア』でした。ユリシーズ……ウリッセ……なるほど……(´ー`)

 こういう神話系を題材にした作品は、ウチのブログの界隈では(というか、一つしかないけど)、


 ネグリジェ演目


 と呼んでいます。

 以前は、映画『アマデウス』の有名なセリフを借りて「大理石のウンコ」と呼んでましたが。それはさておき。

 ピリオド楽器の素朴な音色と、ウ゛ィブラートの少ない澄んだ声が、大声オペラに慣れた耳にとっても新鮮。良い意味でテンション低い。「眠くなるかな」と思いきや、意外にじぃっと聴き入ってしまいます。ぜんぜん古臭くないのですね。作曲者と聴き手との間に400年もの時代の隔たりがあるとはとても感じられません。

 こういうのを「普遍性」と呼ぶのでしょうが、そんな言葉が陳腐に思えるくらいにひとつひとつの音符が“生きて”いる。そして、若い。これを“大理石”だって言っちゃいけませんね。

 演奏者が現代人だからってのもモチロンあると思うけど(でもそれって、すごいことだ)。

 伴奏の編成は、歌が入るときにはリュートかチェンバロ。たまに弦と管が加わる感じ。たったこれだけのスカスカの音で、スペクタクルな神話の世界を描こうというのもクールです。

 もともと大編成のオーケストラによる大迫力な曲を好むワタクシ。でも、巨大な世界を表現するのに「音のデカさ」と「音符の数」が必須と考えていた自分。かなり幼稚ダ……orz

 雨垂れのような、とぎれとぎれの音の向こうに、宇宙の深遠が見えてくる。

 おそらく、能の方法に通じるのですね。抑制された動きによって無限の概念を表出させるという――


 ところで、テレマーコ役のテノールが張りとまろみのある良い声だと思っていたら、桜田亮さんという名前。あら、同胞。オペラ/声楽界に詳しくないワタクシ、検索してみたらなにげに有名な方らしい。
 そういえば、以前にネットのどこかで読んだのですが、イタリアの高名な声楽教師いわく「日本人の男性はほぼ全員がテノールのはず」なんだそうですよ。

 もう一人、ウリッセの嫁のペネロペを歌うガブリエラ・マルテラッチ(アルト)にも惚れました。透明感のある、レガートの巧みな歌唱です。

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Il ritorno d' Ulisse in patria/Claudio Monteverdi

Conductor : Sergio Vartolo

Penelope: Gabriella Martellacci
Ulisse: Loris Bertolo
Iro: Davide Ciccbetti
Melanto: Sofia Soloviy
Eurimaco: Juan Gambina
Eumete:Giovanni Gregnanin
Telemaco: Makoto Sakurada
Minerva, Fortuna: Angela Bucci
Giunone, Amore: Lia Erafini
Nettuno: Raffaele Costantini
Giove, Anfinomo: Gianpaolo Fagotto
Tempo, Antinoo: Walter Testolin
Pisandro: Salvatore Gaias
Ericlea: Maria Elena Fincato
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