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ベルリン国立歌劇場《ドン・ジョヴァンニ》/東京文化会館 10/6 其の弐 主にマッティについて [オペラ実演レポ]

 コチラに続きまして、ベルリン国立歌劇場の《ドン・ジョヴァンニ》の感想レポです。

 ドイツ系は「時代設定読替え」や「前衛的」なものが多いから気をつけたほうが良いよと事前に脅かされていたのですが、トーマス・ラングホフによる今回の舞台は、美術も演出もオーソドックス。珍妙な“解釈”もありませんで、素直に楽しめるものだったと思います。
(衣装や小道具は19世紀っぽい感じでしたけど、そゆのは“読替え”に当たりませんし)

giovanni1.jpg セットは高さと奥行きを強調した、いたってシンプルなもの。
 ←一幕のドンジョ邸の様子は、劇中で最も豪華なシーンですね。その他は暗く、セットの真ん中にドアが一つあるだけだったり、バルコニーのみが建っていたり。それがけっこう効果的で、デカダンスな雰囲気を醸し出すのに一役買っていたと思います。

 そんなシンプルな舞台を背景にして、ドン・ジョヴァンニの真っ赤な衣装が、たいへんな牽引力でもって観客の視線を惹き付けます。

 ドンジョは大変な役なんだろーなーと常々感じておりますが、いやいやこの真っ赤なガウンじゃ……。
 歌が上手いだけではダメです。衣装負けしない、おもしろおかしい(それも狙ってではなく、“天然”な)挙動ができる人でなきゃ。

 今回のバリトン。噂では相当カッコイイ系らしいし(最近は腹が出てきたとか何とか聞くけど)、二枚目気取りのアイドル歌手じゃ、そこらの女子どもはキャーキャー言うかもしれないけど、このしま様のハートにロックオンはできなくてよ?

 マッティ、合格…(*゚Д゚)


 何が合格って、まず、あの、カラダのデカさ!

 ワタシ、強そうな大男に弱いのヨ(*´Д`)

mattei.jpg
 アレンも大男のほうだと思いますケド、マッティのデカさは本物です! 舞台映え、するする!
 立っているだけで他の歌手を圧倒、これ、バリトンで主役をはる歌手の基本ですから(`・ω・´) シャキーン

 身長に恵まれなかった歌手の方々は、オリジナルな挙動を開発して「主役の輝き」を放つ必要があるわけですけど(例:グロ様の場合は頭が大きいだけで、タッパがあるわけではありません。が、仁王立ちやガニ股歩きでしまタンのハートを射止めましたネ)、元々カラダのデカい人がこれをやればもう鬼に金棒です(例:兄さんはカラダの大きさに加えて、下唇めくりというオリジナルな技を編み出し、しまタンのハートにロックオンしますた)

 で、マッティもいいセンいってるんです、これが(*゚Д゚)
 何か変なコトをやらかすわけでもないんですけど、妙に可笑しいの。カッコついていそうで、ついていないの。多分ご本人は「オレってちょっとカッコいいよね」くらい思ってるんだと思いますが。
 こーゆーのを“天然”って言うんでしょうね。

 方向的には、アレンと同じ。アレンは意識的にやっていて、マッティは天然っていう違いはあるものの。

 つまり、けっこうしまタン好みな歌手ってコト(*´∨`)
 マッティ、笑えます。いい意味でネ。

 もちろん歌唱も良かったです。

 正真正銘のバリトンで、声の響きはとっても明るい。だから不吉なドンジョにならない。脳天気で単純、ひどいことやらかしても「悪人」や「変態」にはならないし、つまりとっても可愛げがある。

 そして、なかなかのデカ声じゃないの! 合格~ッ!!

 今、兄さんのドンジョCDを久しぶりに聴きながらこの記事を書いているわけですが、マッティを聴いた後だとますます声がか細く感じられて困ります。つか、アンナやツェルリーナよりも声が小さいじゃんかっ(つД`)

giovanni2.jpg ドイツ系の歌手かと思っていたのですが(ツェルリーナをズェルリーナと発音していたので)、それにしては音がどこかへ行っちゃうドイツ歌唱とは違うのねん♪ 調べてみたら、なんとスウェーデン人だったのでした。
 なるほど、笑いを誘う(垢抜けない)挙動といい、妙に耳につくヴィブラートといい、かの国の“伝統”を忠実に守っているわけですね(笑)←意味のわからない方、冗談ですのでスルーしてください。

 ただ残念ながら、6日のマッティはエンジン全開というわけではなかったようです。全体的には満足のいくパフォーマンスをしてくれましたが、部分的には「流して」いるように聞こえたり、デカ声は肉厚で艶があっていいんだけれども、ピアノやピアニッシモとなるといきなり声質が変化するので、「この人、デカイ声しか出せないタイプの人じゃ…?」とも思ったのですが。
 知人によると、初日のほうが良かったとの事、安心しました。

 せっかく気に入りかけたバリトンですもん。この日のパフォーマンスが実力100%だったら、ちょっとガッカリ。たぶん「シャンパンの歌」も「セレナーデ」も、本調子ならもっともっと魅力的だったのではないでしょうか。(いや、6日はビミョーに“鼻歌”でしたので。

 マッティ・ドンジョのCDもあるようですし、この人の真の実力(とスウェーデン歌唱の特質)を検証してみたくなりました。

 ドンジョ好きとして、素敵なバリトンとの出会いは刺激的です。ホント、行ってよかったワ♪


 ところで、6日の目玉は、2幕の夜食のシーンでバレンボイムがお刺身の船盛りを抱えて登場したコトでしょう。
 あちこちのブログで皆さん書いてらっしゃいますので、ここで同じことは繰り返しませんけれども、ウケました、アレは。ええ。

 バレンボイムたんって頭が大きい(褒め言葉です。念の為)だけでなく、ユーモアのセンスも抜群ネ。

 でも、ドン・ジョヴァンニが刺身を食うなら、船盛りだけじゃちょっと足りない。






 ここはやっぱり、


 女体盛り ダロ?



 と、心密かに思っていたのは、ワタシだけではありますまいよ。

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keyaki

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其の壱から絶好調のすべりだし!

>「声」も「お顔」もイジリます
というテーマに添った感想文に感服!

>カラダのデカさ!
身長の話題には、反応しちゃいます。
ちなみに、私めの資料によれば、マッテ君は、190センチ、バス、バリトンでは並の上ってとこです。↓
http://blog.so-net.ne.jp/keyaki/2004-12-22
by keyaki (2007-10-14 09:52) 

edc

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>>カラダのデカさ!
共演者、女性、エルヴィーラとアンナはかなり大柄でしたけど、男性はまあ普通体型もしくは小柄だったせいでしょうか、ドン・ジョヴァンニは実に大男に見えました・・です。エクサンプロヴァンスの映像ではそうでもなかったんですけど・・(こっちのマッティの方が、私としては、格好良かった・・)
by edc (2007-10-14 10:47) 

しま

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□keyakiさん
どもども、です~。

>「声」も「お顔」もイジリます
つまり、あまりマジメに書かない(つか、書けない)ヨ?(`・ω・´) という宣言でもあります(笑)

まぁ例え毒舌でも、「イジり」という行為は基本的に「愛」デス(*´∨`)
嫌いな歌手は普通にスルーしますからネ。

>バス、バリトンでは並の上
190か……。2mくらいあるんじゃないかと思った。
それにしても190で並みの上とは、外人さんっておっきいのネ(*´∨`)


□edcさん
>男性はまあ普通体型もしくは小柄
ブラッハマンがすごく小さく見えたんです。あの人、小柄じゃなくて、普通サイズですよね?
痩せ型でお顔がちっちゃいから、よけいに華奢に見えたのかもしれません。

ワタシは大顔が好きだからなぁ…。

keyakiさんトコの身長企画をパロって、歌手のお顔のデカさ比べやろうかな?(←何の意味があるんだ?)
by しま (2007-10-14 11:34) 

アオイ

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おひさしぶりです。アオイです。

>ツェルリーナをズェルリーナ
日本語ではなぜか「ツェルリーナ」表記が定着していますが、イタリア語の本来の発音は無理矢理表記すると「ヅェルリーナ」ではないかと思います。
by アオイ (2007-10-14 15:03) 

しま

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□アオイさん
>ヅェルリーナ
そうだったんですか~。全然知りませんでした(*゚Д゚)
マッティたん、ごめんネ。
by しま (2007-10-14 20:56) 

ぶどう

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>妙に耳につくヴィブラート

これはWも出てましたね~。
スウェーデンの伝統なんでしょうね(笑)
by ぶどう (2007-10-15 00:05) 

Sardanapalus

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私の余計な忠告が杞憂に終わってよかったです。背の高いジョヴァンニはそれだけでドキドキします(^^)

>マッティは天然
あははははは(笑)私もこの意見には大賛成です!!!あーあ、生で見たかったな~。ちなみに、しまさんが興味を持っておられるCDは、かなりアップテンポの指揮ですので最初は戸惑われるかもしれません。そのときの演出は賛否両論ですが、飄々としたジョヴァンニ像で私は結構好きです。
by Sardanapalus (2007-10-15 00:32) 

しま

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□ぶどうくん
スウェーデン歌唱研究の大家(?)によると、ヴィブラートは特にバリトンに顕著に見られるとのことです。ほんまかいな。

あと、基本的に「何を歌っても楽しそう」というのがあるそうです。特にテノール。ビヨ様とかゲッダニコライとか。


□サルダナさん
>背の高いジョヴァンニ
あと、少しだけお腹ぽっこりジョヴァンニがシュテキ~(*´Д`)!!

でもって、やっぱりマッティ、天然ですよね~?
よかった、理解者がいらっしゃって(*´∨`)

飄々ジョヴァンニはいいですよね~。シエピもヘラヘラ系でよかったし。
基本的に極悪人で暗いジョヴァンニは好みじゃないです。
あと、おホモちっくジョヴァンニもイヤだ。じーちゃんジョヴァンニもやめて欲しい。とどめに、声が出てないジョヴァンニは言語道断・゚・(つД`)・゚・
by しま (2007-10-15 22:49) 

彩

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初めまして。
ここ半年ほど、一部演目限定的ですがオペラ好きになった者で、楽しく読ませていただいてます。
すみません、人名地名ネタが出てきたのについ反応しちゃいまして・・・

>ドイツ系の歌手かと思っていたのですが(ツェルリーナをズェルリーナと発音していたので)

ドイツ語では「z」は「ツェット」と読みまして発音は「ツ」です。
(ドイツでは「suzuki」が「ズツキ」になり、フランスでは「hayasi」が「アヤシ」になる、というのが第2外国語の古典的つかみだそうで)
なので、イタリア語のできない私、ツェルリーナって、誰かがドイツ語読みしたのが定着しちゃったんじゃないよね・・・? とちょっと疑問に思ってたんですよ。
(ロッシーニのZelmiraは「ゼルミーラ」ってなってるもんですから。)

ちょうど気になってたところだったので、ちょっと調べてみましたところ、イタリア語の「z」は「ツ」と「ズ」の両方あり(規則なし)だそうで、辞書には「ツェルリーナ」で載ってました(参照した本が正しければ、です)。

ちなみにスウェーデン語では「z」は「セータ」と読んで発音は「ス」(外来語にしか使わない字のようです)だそうなので、「Zerlina」なら「セルリーナ」になりますね。
余談ですがドイツ語読みの「シュテンメ」が定着しかけている歌手さん、某音楽雑誌を立ち読みしたら、スウェーデン人なので「ステンメ」が正しい、てな記事がでてまして、ついでに調べたらその通りでした。
ドイツ語とスウェーデン語って比較的似てるんですが、発音も同じというわけにはいかないようで。

まあ、このへん、こだわりだすときりがないのは確かなので、ヒマ人の戯言だと思って軽く読み流してやってください。
(かくいう私も、これってどうなのかな、と思いながらそのまま使ってることも多いですし・・・。)
by (2007-10-16 23:37) 

しま

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◇彩さん
はじめまして。
丁寧に説明してくださってありがとうございます>ズェルリーナ問題(汗)
いちお、打ち消し線しときましたm(_ _)m
知らないことを調べもしないで書いちゃダメですね;;;

まぁこんな感じでノリだけで書いているブログですが、よろしければまたいらしてくださいませ♪
by しま (2007-10-17 01:27) 

彩

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>知らないことを調べもしないで書いちゃダメですね;;;
あわわ、そ、それって思いっきりうちのページに当てはまるじゃないですか(冷や汗)。
だれかが教えてくれることもあるのがWebのいいとこだ、と完全に開き直ってるだけで・・・。
「このへん不明」とか書いておくと、気合いを入れて調べてくれる(笑)Web仲間とかいましたし。

ペーター・マッティって、普通にドイツ人に聞こえる名前ですもんね。

小学館が「魅惑のオペラ」ってDVD BOOKシリーズを出してますが、最近出たNo.11は「ドン・ジョヴァンニ」。
本屋で見かけて、どの公演をセレクトしたのかな~、と手に取ってみたらば、
(個人的に、趣味に合いそうなドンジョのDVDを探してもいましたので)
ムーティ指揮のスカラ座でした。
このシリーズで、初めてオペラを見てみよう! なんて思った人には、アレンが初めてのドンジョになるんですね(笑)。
by (2007-10-18 22:27) 

しま

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■彩さん
コメントを下さっていたんですね;;;
ずっと放置していて気付かずにすみません。

>このシリーズで、初めてオペラを見てみよう! なんて思った人には、アレンが初めてのドンジョになるんですね(笑)

おああああ!? アレがぁ~!?
私的には是非とも封印していただきたいアイテムですのにぃ~(つД`)
でも最初の刷り込みが肝心と言いますから、ドンジョ=アレンの呪縛に苦しむオペラファンが増えるのも一興かもしれませんね。フフフ……。
by しま (2007-11-11 22:39) 

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