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《コジ・ファン・トゥッテ》@グラインドボーン1975 -- 注:アレンのネタあり [アレンの録音・映像鑑賞記]

 誰ですか。《コジ・ファン・トゥッテ》が苦手だなんて、ケシカランことをほざいていたのは!? (去年までの自分です)
 心を開いて聴いてみりゃぁ、美しくて複雑な重唱満載で、楽しいオペラじゃありませんか。

 特定の歌手を追っかけていますと、時には苦手だったり偏見を持っていたりする演目にも手を出さにゃならんのですが、それがキッカケでその作品の思わぬ魅力に気づかされることが多々あります。

 ありがたいことに、アレンは定番モノからマイナー演目まで正規の録音・映像がけっこうあるので、怠惰な私も(比較的)趣味が偏らずに済んでいると思います。
 なにしろモーツァルトでしょ、バロックでしょ、ベルカント系でしょ、フランスものも少しはあるし、プッチーニ、ワーグナー(*゚Д゚)、現代モノにオペレッタ、ミュージカルまであるもんね。

 え、ヴェルディ? ……その為にグロ様のファンになったんだからいいンだよ!! (`・ω・´;)シャ、 シャキーン

サー若き日のグリエルモ コジを好きになれたのも、モロにアレン効果ですね。

 アレンと言えば、今ではドン・アルフォンソ役で定着していますが、若い時代は当然グリエルモを歌っていました。
 ようやくそのDVDを手に入れることができましたので、ご紹介したいと思います。

 ナント、1975年のグラインドボーンでの収録。兄さんは……エート……さっ、31歳ですかっ!?(*゚Д゚)

 そりゃ“兄さん”じゃないよ、“弟”だよ。さ、さすがにショックだわ……orz

 で、でも、しぼんだ風船にシリコンを詰めたよーなおじいちゃん顔に萌えてばかりいるのもナンだし。

 サーだって、昔はフサフサぴちぴちの美青年だったに違いありませんよ?

 つづきを読む前に。今日もぽちっとランキング--------------------------------------
美青年……

 あっ……!! じ、じゃなくて……!!








 アタフタ……アタフタ……








↓はい、コレね。かっこイ~イ♪
好青年♪





(焦った。ダミアンかと思った)
ダミアン
(顔の肉と髪型が……)

*********************************************

 《コジ・ファン・トゥッテ》は、一言でまとめちゃうとカップルのスワッピングのおハナシなので、舞台をモーツァルト当時の時代に置くよりも「現代」に設定したほうが、より刺激的で楽しめるのではないかと思います。
 (あらすじはウィキペディアを参照ください)

 昨今そういった「現代読み替え演出」の映像もいくつかあり、私もそちらに慣れてしまいましたが、さすがは75年の映像、昔懐かしのオーソドックスな演出です。
 舞台はちゃんと「18世紀のナポリ」とあるし、フェランドとグリエルモはトルコ人風の仮装をするし。

 スワップも特大ロケットの交換です。
 誰ですか。チョメチョメなシーンを期待していた下品な人は?(←私です)

室内の内装は英国風 とはいえ、ここは英国、グラインドボーン。
 部屋の内装が普通に英国調になっていますネ。

 棚にずらっと食器が並べてありますでショ。これ、ビクトリアン時代の庶民の家の典型的なインテリアだそうで。

 ROHなどの映像を見ていても、たまにこういうことがあって面白い。例えば《ラ・ボエーム》でも、パリが舞台のはずなのに、人々が傘をさす風情がどうもロンドンっぽく見えちゃいます。

シンメトリー また、要所要所のシーンで、セットや人物を必ずシンメトリーに配置するのも、英国らしさを感じるゆえん。

 ヨーロッパ文化は全体的にシンメトリーが好きですけれども、中でも特にイギリスは左右対称のバランス感覚に強いこだわりがあるんだと思う。いや、アンティークなインテリアの写真を眺めているとネ…;;;

 話を元に戻しましょう。
 オーソドックスな棒立ち演出ということで、最初は少々退屈でしたが、人物や舞台装置の余計な動きに気をとられないので、音楽にしっかり耳を傾けることができます。

 コジってそもそも、私にとっては、重唱の妙を堪能するための演目なので、音楽に集中できることはかなり重要。

 そういや、ジョナサン・ミラーをはじめ、いろんな趣向を凝らしたコジを観たけど、ちゃんと音を聴いていたのはアリアの時くらいだったかもしれない。重唱に「おお~♪」とため息をつくのは、やっぱりCD鑑賞なんですよね。

 オペラは「観る」ためのものとはいえ、主役である歌と音楽を妨げるような演出だったら、どんなに優れたモノでも無いほうがマシだなぁ……と自己矛盾に陥ったり。

 まぁ昨年に観たミラーの演出も大変細かいものでしたが、元の音楽があってこその動きがほとんど。逆に、人物の動きから音楽の解釈の幅が広がったってこともありましたし。そういう演出なら許容範囲か。

 で、次に歌手たちの歌唱の感想に移るんですけれども。

 主役の女声陣がね、とっても残念なんですよね。
 せっかく音楽に集中できる環境が整っているというのに。オペラは生モノ。なかなかうまくいかないものです。

 特に、フィオルディリージ。最初から声がまったく響かなくて、飛行機のエンジンに例えるなら、あれでは離陸直後に墜落しそう。
 調子が良ければ、私好みの、深くて魅力的な声なんだろうと思いますし、アジリタも軽々とこなせそうな印象ですが。
 後半のアリア「Per pieta, ben mio, perdona」は見ていてなんだか気の毒でした。

 ドラベッラも最初は姉の「声が出ない病」が微妙に感染していたようですが、そのうち調子を取り戻した様子。光沢のある声でした。まぁ、普通。

 フェランド。悪かないけど、1幕フィナーレの重唱部分で派手に出張るところ、もうちょっと頑張れよ、と。

とびますとびます 次に、ドン・アルフォンソですが。この人はなかなか良かったです。

 こういうひとクセもふたクセもある役にぴったりな、ユーモラスにして深みのある良いバリトン。

 美声のくせに、けっこうデカ声。
 おまけに、坂上二郎にちょっと似てますw

とってもキュートなデスピーナ MVPはデスピーナです。

 とっても輝きのある声で、これぞモーツァルトの娘役です。スザンナか、ケルビーノがお得意なんじゃないかしら。
 胸の谷間も色っぽいし、おばちゃん、目がハートになりましてよ?

 コジって、アルフォンソとデスピーナが魅力的でないと全然面白くならないんですが。このデスピーナは最初から最後まで絶好調。ぐいぐいと舞台を引っ張っていきます。

 私の目当てはアレンなので、そりゃもー彼ばかり見ているわけですが、デスピーナが出てくるとついついそっちに耳と意識が向いてしまいます。それくらいすごい。

毒を飲んで目玉をひんむく というかねー、グリエルモという役がそもそもつまらないんですもん。キャラが立ちにくいわけですよ。デスピーナやアルフォンソに比べると。(←アレンを守る会)

 見たくてたまらなかったアレンのグリエルモですが、アルフォンソで慣れてしまうと、やっぱり物足りないんですよね。
 見た目が若すぎるせいでしょうか。あんまりドキドキしないんですよ。

お得意の目玉ひんむきとか、
目玉ひんむきガッツポーズ
ガッツポーズとか、やってますけど。

ク○生意気なガキみたいで……
ダミアン…
横っ面、張り倒してやりたいわ。
 



 だからさ~。

 年下オトコにはね~興味ないんだなぁ~、おばちゃんは ┐(´ー`)┌




 などと言いつつ――

 チョメチョメドラベッラを口説く姿が「ドンジョっぽい」なんて思ってしまい、
 ドンジョ……?
 ついうっかり、身を乗り出してしまったりして……(*´Д`)



 わ、若いアレンもいいですな……;;;



 ゴホム(←咳払い)

 それよりも何よりも、感動したのはアレンの声です。幕が上がり、第一声を聴いた瞬間、そのあまりにも立派な低音にぎょっとしました。

 最近、年をとってからの歌唱ばかり聴いていたので、「声が細くて高すぎるわ」なんて思って、かな~り不満だったんですが(←バリトンフェチ)。

 そうじゃないのヨ。この人、普通にバリトンなのヨ(`・ω・´) シャキーン

 1幕1場で、今じゃ絶対に絶対に出ない低音を、ぶっとくて張りのある声でまっすぐに響かせるのを聴いた瞬間、心で涙がちょちょぎれました。

 こんなふうに歌えた時代もあったのね。歳月って残酷だわー・゚・(つД`)・゚・(←マルシャリン風に)。

 しかし、その直後の男声3重唱で、フェランドとアルフォンソとの相撲に普通に負けやがりました(爆)

 目玉のひんむき具合、下唇のめくれ具合、身体の力の入れ具合からみて、そーとーデカイ声を出していると思われるのですが、グリエルモのパートが聴こえない……(*゚Д゚)


 どうやら“当社比”であった模様。

 
 結論:
 アレンは30年前からアレンですた。“期待”を裏切らない歌手なんだなぁ。


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Dorabella Sylvia Lindenstrand
Despina Daniele Perriers
Guglielmo Thomas Allen
Ferrando Anson Austin
Don Alfonso Frantz Petri

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The Glyindebourne Chorus
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《コジ・ファン・トゥッテ》の関連記事
・ トーマス・アレンの『コシ・ファン・トゥッテ』@ラトル盤
・ ジョナサン・ミラー演出《コジ・ファン・トゥッテ》/Royal Opera House
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コメント 6

ぶどう

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>フサフサぴちぴちの美青年

このころから下唇は健在ですね~w
で、これってカツラですかね??

>部屋の内装が普通に英国調

なんだかホームドラマみたいなセットですね。
しかしこんなところにもお国柄が出るなんておもしろいですね。

>お得意の目玉ひんむきとか、ガッツポーズとか

写真を拝見する限り、なかなかオモシロ要素を含んだDVDのようですな・・・。

>「ドンジョっぽい」

ほんとだ・・・。
これ衣装違うだけじゃないですか・・・;
by ぶどう (2008-03-31 00:19) 

keyaki

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「総天然色」ってかんじですね。
1975年にしては、きれいな画質じゃないですか。うらやましい.....
by keyaki (2008-03-31 14:33) 

edc

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>「総天然色」ってかんじ
そうですね。ベーム指揮の映画版1969年と似た雰囲気でしょうか。

TBします^^!
by edc (2008-03-31 18:47) 

しま

TITLE: ぶどうくん
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■ぶどうくん
>下唇は健在
よくぞ突っ込んでくれました!!(`・ω・´) シャキーン
実はこの映像、下唇ポイントも多いのよ。若いからピチピチだし。

>で、これってカツラですかね??
カツラです!!(`・ω・´) シャキーン  似合うでショ?
でも被っているのは最初だけで、変装を解いたら地毛だった。被り忘れたのかもしれません。

>なかなかオモシロ要素を含んだDVD
いやそれが……アレンの顔がああなだけで、いたって平凡なコジなんだな……orz
普通に楽しめるレベルではあるけれど。
by しま (2008-03-31 23:29) 

しま

TITLE: keyakiさん
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■keyakiさん
>総天然色
ホントですねえw
何の疑問も持たずに観てましたが、ここまで鮮やかな映像で残しててくれてありがたいです。
by しま (2008-03-31 23:34) 

しま

TITLE: edcさん
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■edcさん
>ベーム指揮の映画版1969年
グンドゥラ・ヤノヴィツのやつですか?
TBありがとうございます。
by しま (2008-03-31 23:46) 

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