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バイロイト《マイスタージンガー》完聴! -- ミヒャエル・フォレのベックメッサー [オペラ録音・映像鑑賞記]

 万歳!! 人生2度目!! ワーグナー《ニュルンベルクのマイスタージンガー》、見事完聴いたしました!! ヽ(´ー`)ノ

 1幕と2幕の間に24時間ものインターバル(会社とかorz)がありましたケドね(爆)

 日本の(下請け)企業戦士は、4時間以上もかかるオペラを続けて鑑賞する時間も気力もございません。
 文明の利器を駆使して、1幕目はネットラジオでリアルタイムに鑑賞。2幕目以降は帰宅してから、録音したものを聴いたんです。

 まるでシロウトが10キロマラソンを完走したかのような、結構な達成感がありますね。こりゃプッチーニやヴェルディじゃ得られませんよ。そっか、ワグネリアンな皆さんは、ワーグナーのこういうトコロにハマっているのね?(え、違う?)

 で、基本ヴェルディアンなワタクシが、なぜ突然にバイロイトかって?

 そりゃアナタ、ミヒャエル・フォレがベックメッサーを歌うからに決まってるじゃありませんか(`・ω・´) !!

↓この人ね。
volle_ms08_sixtusbeckmessers.jpg「え。なぜに突然、フォレ?」と思った方は、こちらの記事をおさらいしましょう

 思い出した?

 そう、あの、野獣系ヨカナーンでしまタンの耳とハートを釘付けにした、バイオレンス・セクシーなバリトンです。

 この人のワーグナーなら聴いてもいいワ~(*´∨`) なんて思っていたので、「もしや……?」と調べてみたところ、昨年に引き続いて今年も名前があるじゃないですか~。しかも、ワタシが唯一完聴した《マイスタージンガー》、しかも、思い入れの強いベックメッサーでショ。

 去年の今頃はアレンのことで頭がいっぱいで、そうでなくても苦手なワーグナー。バイロイトなんて全然関係ない世界に生きていましたケドね。今年はそうはいかなくてよ?

 《サロメ》でのドキドキをもう一度!!! フォレたんの野獣の咆哮を聴きたいわぁ~!!! と、慣れないネットラジオの録音(これも2回目)に手を出してみたってわけです。
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 完聴にはまったく自信が無かったので、とりあえずフォレの出るシーンだけでもいいやって気持ちで、まずは前奏曲から1幕目に挑戦したのですが。

 なんか、すごく良かったんじゃないですか? この演奏。

 キレがあって、テンポも良くて、レヴァインのこちらの演奏よか全然ノリノリだったんですけど。

 テンション、ですかねぇ。まさかワーグナー作品に“テンション”なんて言葉を使うとは思ってもみませんでしたが、とにかくテンションが高いんです。そうこなくっちゃ。喜劇なんだもの。
 なんというか、若々しいエネルギーに満ちている。

 そして、フォレ。やっぱり良いですねぇ~。

 初邂逅から既に半年。ほとんど忘れていたんですが、フォレの華と野性味ムンムンのバリトン声が篭った親方連中のバス声を押しのけて登場した瞬間、「コレだ~~~~!!(*´∀`*)」 フェロモン・センサー反応しまくり。

 ベックメッサーに野性味なんて必要あるの? なんて心配も全く無用。
 乱暴なキレ方が、これまたオモシロいんです。

 いかにも悪役っぽく、憎憎しいのですが、ちゃんと小者っぽい愛嬌も感じられる。この鬱陶しいオヤジを負かすから、ヴァルターのカッコ良さが増すってモンです。
(ちなみに、ヴァルター役のフォークトがやけに美声でよかった)。

 アレンのベックメッサーも面白いし、魅力的だと思いますが、こうやって音だけで聴くと、やっぱりか細い声じゃダメですね。アレンのは映像付きのほうが笑えます。最近ROHのライブ録音のが出ましたが、まぁアレはアレで面白いんですけど、アレンのベックメッサーはいろんな意味で特殊だと思います。

 で、フォレなんですが、基本的に荒々しい歌唱なんだけれども、お間抜けセレナーデはちゃんと気取って歌っていて、ここもそれなりに面白い。
 まぁセレナーデよりも、この人のベックメッサーはザックスや他の連中とからんでいる時の歌唱のほうがなぜか笑えるんですけどね。

 もちろん歌合戦もよかったです。焦って倍速で歌うところは、もうヤケッパチ歌唱って感じで、怒りと恥で顔と頭を真っ赤にしているんだろうなーなんて、場面が目に浮かぶようでした。

 私は基本的に、オペラには面白さとテンションの高さを求めるので、ワーグナーとは合わないと思っていたんですが。いや、たまたま、ちょろっと耳にする歌唱がどれも真面目くさって聴こえるものだったからかもしれませんが。

 でもこういう演奏に出会ってみると、ワーグナーであっても、やっぱり、テンションの高さって大事ですねぇ。ワーグナーに対する印象がほんの少し変わりました。

 ところで、昨年のバイロイトの《マイスタージンガー》は、演出面で相当ブーイングをくらったそうですね。今年の《マイスタージンガー》も同じ演出なんでしょうか。

tgross02_06_MS_2007.jpg バイロイトのサイトから昨年の舞台写真を引っ張ってきましたが、何がなんだかよくわかりません。噂によると、親方連中が巨大な局部(!?)を曝け出して大はしゃぎ…みたいな、奇をてらったヘンテコリンなシーンもあったとか。なんじゃソリャ。

 ベックメッサーのお間抜けセレナーデを邪魔する音も、なんだかタイプライターの音に聞こえるんです。ええと、ザックスって靴屋さんじゃなかったでしたっけ?
 いったいどういう設定だったんでしょうか。ご存知の方、教えてください。

 全ての演奏が終了すると、まず大きなブーイングが飛んできました。でも、さらに大きなブラボーと拍手が怒涛のように襲ってきて、最初のブーイングをかき消してしまいましたけどね。

 今のところ、ワーグナーで興味があるのはこの《マイスタージンガー》だけなので、この後の放送を徹夜で聴いたり録音したりすることは無いだろうと思います。が、伝統ある大きなオペラの祭典を(1幕だけ)リアルタイムで聴いたりして、なんだかホンモノのオペラ通になったみたいでちょっと気分がよかでした。

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コメント 10

蘭丸

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人間って好みが変わるので、今は「マイスタージンガー」だけでもこれから他のワーグナーオペラにはまっていくかもしれませんよ。自分は単にワーグナーの独特な音楽が好きだからハマッテルのです。今ではオペラはワーグナーとその他に分類する程ワーグナーが特別扱いですが、実はオペラを聴きはじめて10年間、ワーグナーが苦手というよりか嫌いだったのです。

演出は去年と同じカタリーナ・ワーグナー(ワーグナーのひ孫)の演出です。
by 蘭丸 (2008-07-29 15:48) 

kazu

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しまさんがマイスタージンガーを聴くというのは凄く意外な感じでしたが、そういうことでしたか(笑)

実は私、ワーグナーが大好きでして・・・ですがハイテンションか物凄くうねる演奏でなければ聴く気がしません。

ワーグナーもヴェルディもテンションは大事ですよね。自分もテンションの低い妙に綺麗な演奏は苦手です。

ちなみに、バリトン好きならオランダ人やタンホイザー、ワルキューレなんか結構面白いかも。
by kazu (2008-07-29 22:38) 

しま

TITLE: 蘭丸さん
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■蘭丸さん
「嫌い」と「好き」は表裏一体なんで、突然逆方向に好みが動くのはわかるんですけどねぇ。私もヴェルディ嫌いだったし。
でもワーグナーは「嫌い」ってわけではないので、この先も劇的に嗜好が変わることは無いような気がします。
演奏時間を半分にカットするんでしたら別ですがw

なーんて言ってて、来年あたりはワグネリアンに転向してたりして。人生、何が起こるかわかりませんw

>演出は去年と同じカタリーナ・ワーグナー

なるほど。
しかし、巨大局部は許せても、タイプライターはいただけません。あそこだけテンション下がったワ。
by しま (2008-07-29 22:57) 

しま

TITLE: kazuさん
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■kazuさん

>ハイテンションか物凄くうねる演奏でなければ

同感。レヴァインの《マイスタージンガー》DVDは、とにかくテンションが低いのです。特にザックス。
アレンのテンションも中途半端だし…(面白いからいいんですけど)。
なので、二度目の全曲制覇の気力がわきません。

一方、今回のバイロイトのは、「もっかい聴きたい」と感じるんですよ。ヴォレのシーンじゃなくてもね。
本物のワグネリアンの皆さんはこの演奏をどうお感じになっているのか、ものすごく興味があるところです。

>バリトン好きなら

というか、《マイスタージンガー》はシッチャカメッチャカな重唱部が多いので、そこが気に入っているんですわ~。
by しま (2008-07-29 23:15) 

ヴァランシエンヌ

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>本物のワグネリアン

かどうかはいささか疑問ですがw(いんちきワグネリアンなので)
しまさんのように、リアルタイムで聴いたわけではなく、バルトークラジオのアーカイブファイル(放送後一週間は聴くことができるのですw)で、聞いてみました。

しまさんのお陰で、久しぶりにワーグナーの話題で記事を書く気になりました。ありがとうございます(^^♪
(こちらの記事、リンクさせて頂いてます)
by ヴァランシエンヌ (2008-07-30 23:47) 

yokochan

TITLE: マイスタージンガー
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しまさんのワーグナー記事、珍しいと思ったらヴォレ氏ですな。
昨年から始まった今回のマイスタージンガーは、カテリーナの過激ぶりに注目が集まり、歌手のことはあまり云々されませんでした。
私は、舞台に関してはまだ保守的なものですから、画像を見るかぎりゴチャゴチャの舞台は、ちょっといや~な感じ、です。
ナチに利用された楽劇ゆえに、演出のコンセプトは「ナチズムの歴史と記憶からの回避」だということです。
ワーグナー一族にとっての宿命を打ち払いたい思いなのでしょうか??
ウォータン(ウォルフガンク)が自ら出来なかったことを、息子や孫に託そうとした思いと一緒であります。
まあいずれ出る映像でしっかり確かめたいと思います。

歌手は今年だいぶ落ち着いてきたみたいで、ヴォレ氏のベックメッサーは確かにユニークでテンション入ってますね!

これを機に、ワーグナー地獄にいらっしゃいませぬか(笑)
あたしゃ、もうかれこれ35年くらいの地獄暮らしですぜ。
by yokochan (2008-08-02 10:24) 

しま

TITLE: ヴァランシエンヌさん
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■ヴァランシエンヌさん
リンクありがとうございます。記事の内容はスッカラカンですがw
リアルタイムで聴くのは体力的にキツイですね。思い入れのある歌手が出ていないと、なかなかできないことです。
でも臨場感、ワクワク感はスゴイありましたわ。
by しま (2008-08-03 21:51) 

しま

TITLE: yokochanさん
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■yokochanさん

>画像を見るかぎりゴチャゴチャの舞台は、ちょっといや~な感じ、です。

ですよね…。私もゴチャゴチャはイヤ。
「あー、なるほどー」と思わせてくれるのならいいんですけど、ネット上の評判ではカタリーナの演出は「ワケワカラン系」みたいだし。

でも……、

>演出のコンセプトは「ナチズムの歴史と記憶からの回避」

と知ったら、ちょっと「なるほどー。苦しんでいるんだなー」と思いましたです。
いずれにせよ、映像を観てみたいものです。

>ヴォレ氏のベックメッサーは確かにユニークでテンション入ってますね!

正統派ではないと思いますが、画像で見る限りのこの演出には結構よろしいんじゃないでしょうか?(笑)
何しろ刷り込みからしてアレンですから、今更矯正は効かないのですよw


>これを機に、ワーグナー地獄にいらっしゃいませぬか(笑)

んー……。
だってぇ、まだヴェルディ地獄もほんの触りしか味わっていないんですよぉ~。あと10年は《マイスタージンガー》と《ローエングリン》だけでイッパイイッパイだと思います。
でもyokochanさんに布教されると、私、弱いんだよなー(笑)
by しま (2008-08-03 22:30) 

彩

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クリスピンの『白鳥の歌』(というミステリーがありまして)があまりに面白かったので、この「マイスタージンガー」は、いつか挑戦してみようかな~、と思ってたりします。

ベックメッサーといえば、スコウフスも歌ってるんですね。
開演前にプログラムで読んだときはビックリしましたが、結構いけるかも、なんて思ったり(笑)。

そうそう、シンシナティ・オペラのコートナー役、ジョン・デル・カルロって、こないだのフランク所長ですよ。

ところで、ミヒャエル・ヴォレって ↓ のゴローですよね。
http://www.amazon.de/Debussy-Claude-Pell%C3%A9as-M%C3%A9lisande-DVDs/dp/B000EQHSAU/ref=sr_1_6?ie=UTF8&s=dvd&qid=1217427291&sr=8-6
演出が「?」なので目下の所コレクションには入れてませんが、ペレアスとゴローがちゃんと兄弟に見える・・・そうです(笑)。
by (2008-08-05 20:36) 

しま

TITLE: 彩さん
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■彩さん

>クリスピンの『白鳥の歌』

イギリスが舞台ですから、こちらの録音がおススメですね。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2701991

いかにもドンジョっぽい声のベックメッサーも面白いですよ。
全てはアレンに(以下、略)
by しま (2008-08-05 23:05) 

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