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L.A.Operaの《ジャンニ・スキッキ》 -- 二人のアレンのインタビュー [アレンのジャンニ・スキッキ(08年9月L.A.)]

 ※9/28 酔狂にもトーマス・アレンのインタビュー全訳を試みております。こちら

 L.A.Operaの《三部作》。初日の舞台のスタートは日本時間の本日正午でした。

 そのうち三つ目の《ジャンニ・スキッキ》が、映画監督のウッディ・アレンのオペラ演出デビューということで、かなり以前から話題になっていましたから、レビューや批評はこれからたくさん見られるものと期待しています。

 今日はファンの私もドキドキでしたが、演出デビューとロール・デビューの二人の“アレンじーちゃん”は、それぞれどんな心持ちでいらしたんでしょうねぇ。

woddyallen2.jpg 既にあちこちのニュースで紹介されていますが、ウッディのほうは「どーしてボクちゃんがこんな目に……・゚・(つД`)・゚・」ってな、映画でのキャラそのまんまな心境だったようです。

 Hollywood Outbreakで、そんなウッディのインタビューを音声で聞けます。

 以下、テキトーな意訳ですみませんが、
「ボクちゃんはね、オペラなんて全~然やりたくなかったんよ。生の舞台の演出なんて、自分の1幕モノの作品以外やったことないんよ。でもドミンゴが『やれやれ』ってうるさいもんだから。三部作の中の、1時間程度の小品だから。アイーダみたいに大編成のコーラスとか像さんとか、無いからって。で、3年後の話だってゆーからさ、『その頃にはオイラ、死んでるや』って思って、Yesって言っちゃった。なのにボクちゃん、死なないやん(*゚Д゚)」

 な~んて言って、周囲を笑わせたりして。やっぱりこの人、おもしろいねぇ。

 ウッディのプリチーな画像をクリックすると上記のページに飛びますので、ご興味のある方は。「Click here to watch/listen to the media file」をクリックして、最後まで聞いてみて下さい。3分程度の長さです。

 はたして、ウッディの恐れるように、観客の「ブー」はあったんでしょうか。

allen2.jpg もう一人のじーちゃん、トーマス・アレンのインタビューは、L.A.オペラのBehind the Curtain Podcast Seriesで聞けます。(画像をクリックすると該当記事に飛びます)

 またもやテキトーな意訳ですみませんが、
「人生、何が起こるかわかんないね~。さすがのオレ様もそろそろ隠居して絵でも描こーか日曜大工でもやろーか考えたりしてたのに、こういうことになって、また歌うことを楽しんでいるわけだから、我ながら驚いてんだよね~」と、出だしからハイテンションな早口でまくしたてております。
 ただいま段階的に翻訳中。(続きを読む)以下に掲載します。

 このテンションで幼少時代の音楽的バックグラウンドやら、声変わり時代の思い出やら、ジャンニ・スキッキの役作りの方法やら、もちろん「Mr.Allen」ことウッディとの仕事の様子やら、延々と20分近くも喋りまくるのですが、特に中盤で「プッチーニはコメディの天才」とか何とか言い出すところがまさにトーマスじーちゃんらしくてウケました。

「喜劇は悲劇の中から自然に発生する」ってなことを言いたいらしいのですが(たぶん)、引き合いに出すのが《ドン・ジョヴァンニ》。この人、何かってーとすぐに「ドンジョ」「ドンジョ」なんですよね(笑) ホント、ドンジョ歌いだったこと、誇りに思っているんでしょうね(*´∨`)

 さらに、このインタビューで嬉しいのは、頭と尻尾のところでトーマスじーちゃんのジャンニ・スキッキ歌唱がちょっぴり聴けるってところです。

「どーよ、オレ様の声? 似てただろーがっ!?」 「ヴぃっとーりあー!!」♪のシーンですね。

 インタビューがアップされたのが9/4付ですので、リハーサルの音源だと思いますが、「ええ~っ!? これがアレンの声っ!?」って、かなり驚いてしまった私です。いや、アレンの声に違いないのですが、こんなにオッサン臭い声音は初めて。やればできる子なのねぇ~(*゚Д゚) 

 なんだかホント、ジャンニ・スキッキらしく聞こえるわ~:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

 L.A.オペラの公演は、ラジオの生放送とかは無いようですけど(←あったんだっつーの!!・゚・(つД`)・゚・ 9/8追記)、シーズンが終わってからたまに放送してくれてるらしいので、是非ともこの《ジャンニ・スキッキ》を聴きたいものです。いや、音だけではなくて、映像も残してくれたらこの上ない幸せなんですけどねー。

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 オレ様語によるインタビューの翻訳です。
 長い上に、こちとら英語は不得意ですし、サーも早口すぎ!! なので、5~6分程度の長さにぶった切って、えっちらおっちら順番にアップします。(こんなに頑張っても需要はないと思いますがw)

 意味不明な部分は「心の耳」で聞いてかなりテキトーに意訳してます。英語のおできになる方、お暇な時にでも助けてください~!!・゚・(つД`)・゚・

 [9/28]
 まずは開始~6分28秒のあたりまで。
 のっけから「オレ様が」「オレ様が」とナルシストぶりを発揮しています。説教臭いことを言ったかと思えば健康法の話題まで。アンタはみのもんたか?、とw

 2008/09 Season Podcast #4 – Il Trittico: Sir Thomas Allen stars in the title role of Gianni Schicchi September 04, 2008

インタビュアー:ウィリアム・ローレンソン(R)
ゲスト:サー・トーマス・アレン(A)


R:サー・トーマスアレンにお越しいただいています。ようこそ、また出演していただけて光栄です。

A:どうもありがとう。オレ様も嬉しいよ。

R:LAオペラでの出演履歴を見てみたんですが、モンテヴェルディにモーツァルト、ヴェルディ、と……随分と幅広いレパートリーですよね。

A:まさにオレ様の人生の断面図だね。コレに取り組んだら次はコレって感じでやってきたからね。君の言うとおり、ロサンゼルスでも例外じゃないよ。

R:コヴェント・ガーデンで30年、メトで20年の経歴がおありですが、相変わらずのご活躍です。

A:うん、まぁ勢いでそうなったんだが、先のキャリアがどうなるかなんてわからないし、オレ様も引退後は何をしようか考えてみたことはある。絵でも描こうか、日曜大工でもやろうか、これまでの人生とは全く違うことを、だね。でもまぁ、LAでやることになって、こうやって歌うことを楽しんでいるわけだから、オレ様もむしろ驚いてるわけよ。まぁ好きでやってる仕事だが、長くやってりゃそれなりに大変になってくるわけで、オレ様もそろそろ身を引こうかとか考えたり。まぁ隠居生活も楽しいもんよ(笑)

R:歌を始められたきっかけは? 音楽一家だったんですか?

A:うん、音楽一家というか、プロのレベルじゃぁなかったけどね。アマチュアで音楽をやっていて、オレ様の父親なんかも楽器を演奏したりできたわけだ。(*1)
かといってヴァイオリンのコンサートに行くとか、そんなことは全然なかったんだが。まぁ、音楽好きな父だった。教会に通っていたから、オレ様も連れていかれて、聖歌隊だの記念祭だのそりゃあいろいろとやらされて、気付いたら声楽のトレーニングなんかをやっていたわけよ。もともとは科学者になろうなんて思っていたから、いざ音楽の道に進もうったって、右も左もわからない状態なわけさ。オレ様も家族も友人も、誰ひとりとして音楽の世界を知らないんだから、そりゃ~大冒険だったね。そんな大冒険の果てに、今回のロサンゼルスの舞台に行き着いたってわけだが。
まぁ素っ晴らしい冒険だね。《ビリー・エリオット》っちゅう映画を知ってるかしらんが、炭鉱の出の若者がロイヤル・バレエを目指して旅立つところなんか、作者はオレ様の人生に触発されてストーリを考えたんじゃないかって言いたくなっちゃうね。
(*2)

R:音楽家として成功するのに、必ずしも子どもの頃から専門的な教育を受ける必要はない、と……?

A:声楽教育の場合は、その必要はないんじゃないの。子どもが将来歌い手としてやっていけるかどうかの素質を見抜くすべはないからねぇ。女の子はかなり早い時期から歌のレッスンを始めるから――まれに18,9になってから始める例も無いではないが、まぁ将来やってけるか素質は見極められるわな。男の子だとそうはいかんし。君もよくわかっている問題として、声変わりがある。以前の声は永遠に失われるし、歌のレッスンは声変わりの後からになるから――オレ様の場合、というか他の男の子もそうだろうが、声変わりしてバリトンに……まぁ何でもいいけど大人の歌手の声になったわけだが、まぁオレ様はずいぶん早いうちに声変わりしたから(*3) 、それ以来……まぁずいぶんと長いことバリトン声で歌っているわけだ、信じられんね!(笑) 何年とは言わんけど、そりゃあもう長いことよ。

R:アメリカではそれほどでもありませんが、イギリスには教会の聖歌隊のような素晴らしい伝統文化があります。そういう文化がイギリスのオペラ歌手を育てているのだと思われますか?

A:いや、思わんね。というか、君が「アメリカではそれほどでもない」なんて言うほうがびっくりなんだが、まぁ確かに、イギリスはヘンデルがいたから、そりゃ得だな。メンデルスゾーンもたびたび来てたし、イギリスの賛美歌文化がそういう恩恵を受けていたってのはあるね。あとは労働者階級の生活領域から発展したものが多いね。というか、プロテスタント教会のメソジスト派だな。信者を集めて歌わせるなんてことをしてたからね。大規模な聖歌隊が歌っていれば会衆もなかなか力が発揮できないわけで。

ま、そういう聖歌隊とか祝祭とかの文化が根付いていたわけなんだが、悲しいかな、昨今はそういう文化がどんどんすたれつつあって、かわりにどの家にもTVなんちゅうバカげたもんがある世の中だ。自分で楽しみを見つけるかわりに、スイッチを入れりゃぁ勝手に楽しませてくれるんだから。世の中の大多数がそうなんだから嘆かわしいね。
そのことだけで言ってるんじゃなくて、歌っちゅうのはとっても健康にいいんだよ。何か健康に問題でもあるんなら、それこそ歌を始めれば効果てきめんだな。"シンギング・エクササイズ"。大きく息をすって歌う、この一連の運動そのものがまさに健康にいいように出来てんのよ。つうわけで、お薦めね。


(続く)

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(*1) セールスマンだったアレンの父はアマチュア音楽家としての腕前もなかなかのもので、アレンは9歳の頃に父親からパイプオルガンとピアノの手ほどきを受けている。

(*2) 《ビリー・エリオット》:ミュージカル。映画の題名は『リトル・ダンサー』。
イギリス北部の炭坑とボクシングの町に生まれ育ったビリーが、当時女性のものとされていたバレエに目覚め、英国ロイヤルバレエの門をたたくというストーリー。
 物語の舞台ダーラムは、アレンの出身地である。

(*3) アレンの声変わりは13歳。


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コメント 2

keyaki

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写真見てきましたけど、トーマス・アレンって全然わからない。映画の技術? 首だってあんなに太かったかなぁ...恰幅もずいぶんよくなって、縞々のスーツがお似合いですね。
フィレンツェじゃなくて、ナポリかシチリアのマフィアの親分らしいですけどポンテヴェッキオはどうなっちゃうんだろう。フィレンツェのご当地ソングは?
場所を変えた演出家は今までいたのかしら。ぜひ、見てみたいですね。
by keyaki (2008-09-08 10:51) 

しま

TITLE: keyakiさん
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■keyakiさん
こんばんは。興味をもってくださって嬉しいです。

>首だってあんなに太かったかなぁ...恰幅もずいぶんよくなって、

ここ最近、みるみるお太りになっているんですよ~w
ジャンニ・スキッキならこれくらい恰幅がよくないと、逆に恥ずかしいなーなんて思ってました。
でもオフィシャルフォトとは既に別人ですわw

>フィレンツェのご当地ソングは?

keyakiさんが最も気になるところですよね♪
Opera Chicさんによると、たぶん、ストーリーの設定や舞台背景がどうの…というより、雰囲気全体を、古いイタリアン・コメディやマフィア映画に対するオマージュ的なものに仕上げている、というのがこの演出のミソなんだと思います。
ラストも変えたみたいですし。ウッディ・ファンには好評でしたでしょう。
コアなオペラ・ファンにとっては、賛否両論もあるかもしれませんね。
by しま (2008-09-09 00:38) 

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