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Royal Festival Hallの《キャンディード》 -- 05年ロンドン [アレンのミュージカル]

BBC Candide.jpg 順序が前後してしまいましたが、05年2月11日~12日にロンドンはロイヤル・フェスティバル・ホールでの《キャンディード》。演奏会形式での公演で、“じーちゃん”ことサー・トーマス・アレンは、ナレーター/パングロス博士/マルティンの三役をこなしました。

 公演の様子は同年の6月4日にBBCのRadio3で放送され、CD化もされているようですが、ざっと探してみたところではアマゾン等の大手ネットSHOPには出ていません。というわけで、引き続き有志の皆サマの「通報」をお願いします。

 つい最近のことなのに、知らなかったなんて情けないワ(つД`) 《キャンディード》がこんなにオモシロい作品と知っていれば、自力でエアチェックもできたのにね~ぇ。
(11/22 追記。めでたく聴くことができました。⇒コチラ。 感想と、いくつか試聴ファイルもアップしていますので、ぜひお聴きください。)


 主要キャストはこちら。

rfh candide michaelslattery.jpg キャンディードマイケル・スラッテリー
 これはまた……いかにもキャンディードらしい、純朴童顔青年だこと。これでバリトンだったら、ビリー・バッドなんかもイケそうね。
 アメリカ人のテノールで、モーツァルトやバロックを得意としているみたいです。
 オフィシャルサイトはこちらです。


rfh candide carlahuhtanen.jpg クネゴンデカルラ・フータネン
 トロント大学出身とありましたので、カナダ人だと思います。ヴィヴィッドで正確なコロラトゥーラが売りとのこと。
 レパートリーはヴィヴァルディやパーセル、モーツァルト、ヘンデルあたり。やはりバロック畑のようですが、ブリテンの《真夏の夜の夢》のタイターニアなどもありました。


rfh candide sirthomasallen.jpg ナレーター/パングロス/マルティンサー・トーマス・アレン
 言わずと知れた、英国声楽界の大スター。自称ドン・ジョヴァンニの生まれ変わり。バロック、モーツァルトはもちろんのこと、ヴェルディ、ワーグナー、現代モノまで節操なくこなす。
「いい加減にヤメロ!!」との声もある中、しぶとく自分のできそうなじーちゃん役を探し出しては独り占め。レパートリーの数を増やすことに残りの歌手人生を賭けております。
 ファン・ブログはこちらです。
 ……い、いいじゃないのサ、上の若い二人と並べて紹介しているページがあるんだから……(ブツブツ)


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 批評ですが、07年エジンバラ・フェスティバルの時に比べれば、簡単に検索にひっかかってくれました。

 "Guardian"の評は全体的に思わしくないのですけれども、アレンのナレーションについては「皮肉っぽい語り口は評価できる」とあります。他のキャストについては「深みがない」とか微妙な批評もあるですが、スラッテリーのキャンディードについては「次第にリアリティを得るに至った」ということ。また、フータネンの“Glitter and Be Gay”は拍手喝采だったということです。

 "The Independent"ではこんな感じ。

 サー・トーマス・アレンは、シーンチェンジも無いのにナレーターとパングロス博士をどう演じ分けるのだろうと思っていたのだが、その辺りの変わり身も自然だった。もちろんラジオで聴いても完璧にわかる。Radio3のバーンスタインWeek、6/4の放送をお楽しみに。


 ……って、普通に宣伝じゃないですかw

 04年NY版では半演奏会形式ということで、ナレーターの時は演台の前で、パングロス博士になる時には紺の上着を着てステージ上を動き回りましたので、どっちを演じているのかわかるのですが、演奏会形式の音声だけとなると、確かに、どんなふうにやったのか気になるところであります。

 というか、私は悲観主義者マルティンの歌、"Words, Words, Words" を聴きたいんですけど。NY版ではカットされていたのです(というか、マルティンというキャラクター自体が出てこない)。

 《キャンディード》は元々のストーリーが複雑怪奇な上に、バーンスタインやその他の人々が長年改訂を繰り返しているので、出回っている台本やスコアもいくつかの種類があるのです。

 正確なあらすじをつかもうと検索に検索を重ねても、一向に「コレ」という全貌が見えてこないのは、作品の完成までにそういう経緯があるからではないでしょうか。ヴァージョンによって使用される曲や登場人物、エピソードの順番等が大きくバラついているんですね。

 こちらの"A Guide to Leonard Bernstein's Candide"という「まとめサイト」がたいへん優れていますので、《キャンディード》についてもっと知りたいと思われた方は是非とも利用なさってください。

 それによると、《キャンディード》のスコアには大きく分けて「'58年ブロードウェイ版」と「'76年ブロードウェイ版」、「スコティッシュ・オペラ版」の3つのヴァージョンが存在するらしく、この記事でご紹介した05年《キャンディード》@ロイヤル・フェスティバル・ホールでは、スコティッシュ・オペラ版のスコアを採用しています。
 エジンバラ・フェスティバルでの演奏についても、情報が少なくてよくわからないものの、おそらく同じだと思われます。

 では、04年NYはどうだったかというと、こちらは上記3つのどれかに限定したわけではなくて、多種多様なスコアのごった煮というか、オイシイところを持ってきて、不要な部分は削除して……とのこと。

 どの版を採用しても、この奇想天外な風刺劇のエッセンスは変わらないと思いますが、歌手メインに追っかけている場合は見どころ聴きどころに多少影響が出てくる可能性は無きにしも非ず、かも。


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Bernstein Candide

Narrator/Pangloss/Martin Sir Thomas Allen
Candide Michael Slattery
Cunegonde Carla Huhtanen
The Old Lady Kim Criswell
Maximillian Sebastien Lemoine
Paquette Anna-Jane Casey
Governor/ Captain/ Vanderdendur/Crook
Bonaventura Bottone
Achmet/Alchemist/Segnor/Grand Inquisitor/Bear-Keeper/Ragotski
Christopher Dee
Charles Edward/Cosmetic Merchant/Inquisitor I/Judge
Andrew Busher
Herman/Junkman/Segnor/Inquisitor II/Croupier/Judge
Mark Meadows
Ivan/Doctor/Inquisitor III/Judge
Bruce Ogston

Trinity College of Music Singers
BBC Concert Orchestra
conducted by Rumon Gamba

At the Royal Festival Hall, London, 11/12 February 2005

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◇《キャンディード》関連記事リンク
じーちゃんブロードウェイへ行く -- 《キャンディード》04年NY
アレンのパングロス博士 -- 《キャンディード》04年NY
聴きました! 《キャンディード》@ロイヤル・フェスティバル・ホール
07年にもやってます -- 《キャンディード》@エジンバラ・フェスティバル

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コメント 8

keyaki

>引き続き有志の皆サマの「通報」をお願いします。
これならシェアできます。
2時頃までには、トラック便で配送します。
私も、これを機会に聞いてみます。
by keyaki (2008-11-09 22:10) 

しま

keyakiさんっ。・゚・(ノ∀`)・゚・。>
ひゃぁぁぁありがとうございます!! スゴ~イ、あるんだ!! ああ素晴らしきかなワールドワイドなオペラ互助組合。
キャンディード・シリーズはこれで終わるつもりだったのですが、あと2回くらいはネタ引っ張れそうですわ。
皆さん、逃げる準備はよろしいですか?

グリゴーロの音源もあればいいのに、残念ですよね。全身タイツ(←だから、違うって!!)ゴラムの扮装で歌う「ボン・ボヤージュ」とか、すごく興味あるんですけど。(もしも出てきたら聴かせてください)

でも次に歌うなら絶対に主役のキャンディードでしょう。最初は「擦れてる」なんて思いましたけど、そういや純朴なアルフレード@椿姫とかもハマってましたもんね。
バーンスタイン作品なら、既にウエストサイド・ストーリーとかやってますし。機会はあると思います。
by しま (2008-11-09 23:54) 

ぶどう

>言わずと知れた、英国声楽界の大スター・・・

へ、へぇ~・・・。

あれ、オペラ界じゃなくて声楽界??
by ぶどう (2008-11-10 21:11) 

しま

ぶどうくん>
いいじゃないのよ、ファンなんだから~。何か文句ある?

>オペラ界じゃなくて声楽界??
そっ。オペラとミュージカルが終わったら、いよいよ退屈な歌曲の世界へ足を踏み入れなきゃならないんだからね。

by しま (2008-11-11 00:03) 

euridice

しまさんとkeyakiさんの記事で、思い出したことあり・・で記事にしました。TBしましたのでよろしくお願いします。字幕付きの舞台映像を一度は観たいものです。台詞、歌詞がなかなか「哲学的?」らしいですから、それがわからないとおもしろさは半減以下のような気がします。アレンの語りは味があってとても好きです。カーセン演出のパロディ版?も、字幕がほしい!ところですが、なしでもなかなかおもしろいです。ボルテールがフランス語なので、ここだけは英語字幕が入りますから、あらすじはわかるかも・・
by euridice (2008-11-11 07:16) 

ロンドンの椿姫

今年7月にENOでやったキャンディードにアレンが出てなくて残念です。出てたらここで話題にしてもらえたのに・・。
ロンドンでは初めてのロバート・カーセン版で、トビー・スペンス君がメッチャ可愛かったのに・・。

by ロンドンの椿姫 (2008-11-11 21:35) 

しま

euridiceさん>
こんばんは。ホフマンなら何らかの形でこれを歌っていたのでは?と思っていたので、ビンゴ!!でした。TBありがとうございます。

>アレンの語り
よくもまぁ…と呆れるくらい喋っていますね(笑) 05年のよりもNYのほうがハイテンションかも。

>哲学的
ジョークなんかも多いですしね。でもジョークは字幕にしてもあんまり面白くならないからなぁ...
by しま (2008-11-11 23:07) 

しま

ロンドンの椿姫さん>
なははは。何もアレンに魂を売らなくったって、ちゃんとトビー君のキャンディードも話題にしますってば~。
ENOのは今月ネットラジオの放送がありますから、今から楽しみにしているんです。
トビー君のかわゆい写真もちゃんと収集して準備していますからねっ♪
(今度はホントにかわいい写真載せます。ホント。嘘つかない)

アレンは私が話題にして褒めてあげないと、普通にスルーされるんだもん・・・(´・ω・`)
by しま (2008-11-11 23:29) 

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