ROH 《ヘンゼルとグレーテル》@ BBC放映版 -- “イチャイチャ”父ちゃん母ちゃん特集 [オペラ録音・映像鑑賞記]
昨年12月に英国ロイヤルオペラ(ROH)で上演された《ヘンゼルとグレーテル》。12/16に収録された映像がようやくNHKでも放送されました。
私の閑古鳥ブログにも、タイトルや「トマス・アレン」の検索ワードでいらっしゃる方がボチボチ。
まんがいちダムラウやキルヒシュラーガー目当ての方がいらっしゃったら、マニアックを貫いている我が家はじじばばカップルの小汚い画像しか載せていないので、本当に申し訳ありません。(こちらの記事には、二人の美しい写真をアップしています)
ですが、「アレン」で検索していらした方なら、ウチの路線でもダイジョブですよね?(。+・`ω・´)シャキィーン☆
というわけで、放送から一夜明けた今日は、トーマス・アレンとエリザベス・コネルの仲睦まじい父ちゃん母ちゃん動画を眺めて、心を和ませることにいたしましょう。
オペラ《ヘンゼルとグレーテル》のあらすじは、こちらのサイトがたいへん分かりやすいです。
NHKの放送をご覧になれなかった方のために、オイシイ部分をアップしてみました。といっても、私も昨日の放送を観ていないので、イギリスはBBCでの放送分で代用。英語字幕だったり画質が少々粗かったりで、ハイヴィジョン放送版とは比べ物になりませんが、放送当時に英国在住の方にわざわざ加工して視聴できるようにしていただいた私の貴重なお宝なのです、ハイ。
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第1幕、中盤。
……と、この辺りのやりとりからもわかる通り、オペラ《ヘンゼルとグレーテル》のお母さんは子どもたちの本当のお母さん。童話では怖い継母が2人を森に捨てようと計画し、実の父親(!)が子どもたちを森に置き去りにしますが――オペラの父ちゃん母ちゃんは普通の人間の弱さを持った、それでも子どもたちにとっては優しく頼りがいのある両親なのです。
私が《ヘンゼルとグレーテル》の舞台を観るのはこのROHの新プロダクションが初めてなので、他の舞台と比べて語ることはできないのですが。このROHの演出の、両親の存在感の大きさにたいへん心を打たれました。
森へ迷い込んだ子どもたちを大慌てで捜しに行くまでのシーンは、キャラクターは結構生き生きとしていますけれども、それでもまぁ、ステレオタイプなお父さんとお母さんです。
貧乏で、無学で、酒もソコソコ飲むけれど、一生懸命シゴトをして、子どもたちのことは心の底から愛している。
私たち第三者がこの物語を覗き込む時、「そうあれかし」と無意識に期待するイメージそのままの姿です。
けれども二人の子ども、ヘンゼルとグレーテルには、この両親はもっと違ったふうに見えている。
第2幕、第3場。暗い森に迷い込んで、震えながら眠りに落ちた子どもたちの見る夢に、彼らにとっての“真実”が幻想的なシーンとして描かれます。
暗闇の片隅に縮こまり、横たわる二人の子どもを、動物の顔をした天使が見守っています。次第に辺りの様子が変わっていき、温かそうな重厚な暖炉と、肘掛け椅子が現れます。
その椅子に掛ける二人の人影――それは、正装した父親と美しく着飾った母親です。
両親は穏やかに微笑みながら、ヘンゼルとグレーテルに大きなプレゼントを手渡します。
はやる気持ちでプレゼントを開けると、二人がいま最も欲しかったもの――一切れのサンドイッチが出てきます。
恍惚の表情でサンドイッチを頬張る二人。子どもたちを見守る両親。
おデブで愚痴ばかり言っている母ちゃんも、飲んだくれで小汚い姿の父ちゃんも、二人の子どもたちにとっては頼りがいのある立派な紳士であり、美しく優しい貴婦人なのです。子どもの幸せを願わぬ親がいないように、どんな子どもも心の底から信じているのです、普段はどんなに厳しくとも、お父さんもお母さんも本当は自分たちを愛していて、守ってくれる存在であることを――。
サンドイッチを頬張る瞬間の、ヘンゼル(キルヒシュラーガー)の表情がこれまたイイんだな…・゚・(つД`)・゚・
パントマイムのみで、誰が歌うわけでもないのですが、このシーンを観るといつも涙がこみ上げてきてしまいます。ここで感性の全てを使い尽くしてしまっているのか、第3幕以降の魔女のシーンは放心状態で、きちんと鑑賞できていないほどです(←ダメじゃん・・・)。
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ペーター (ほうき作り) : トマス・アレン
ゲルトルート (その妻) : エリザベス・コネル
ヘンゼル : アンゲリカ・キルヒシュラーガー
グレーテル : ディアナ・ダムラウ
魔女 : アニヤ・シリヤ
眠りの精 : プメザ・マチキザ
露の精 : アニタ・ワトソン
合 唱 : ティフィン少年合唱団
〃 : ティフィン児童合唱団
管弦楽 : コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
指 揮 : コリン・デーヴィス
美術 : クリスティアン・フヌイヤ
衣装 : アゴスティーノ・カヴァルカ
照明 : クリストフ・フォレ
演出 : モーシュ・レゼール
〃 : パトリス・コーリエ
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◇関連記事リンク
父ちゃん役です -- 《ヘンゼルとグレーテル》@ROH (映画館でも観られます)
初日でした -- 《ヘンゼルとグレーテル》@ROH 12/9
TV放送されました -- 《ヘンゼルとグレーテル》@ROH
5/23(土) NHKで放送されますヽ(´ー`)ノ -- アレンの《ヘンゼルとグレーテル》@ROH
私の閑古鳥ブログにも、タイトルや「トマス・アレン」の検索ワードでいらっしゃる方がボチボチ。
まんがいちダムラウやキルヒシュラーガー目当ての方がいらっしゃったら、マニアックを貫いている我が家はじじばばカップルの小汚い画像しか載せていないので、本当に申し訳ありません。(こちらの記事には、二人の美しい写真をアップしています)
ですが、「アレン」で検索していらした方なら、ウチの路線でもダイジョブですよね?(。+・`ω・´)シャキィーン☆
というわけで、放送から一夜明けた今日は、トーマス・アレンとエリザベス・コネルの仲睦まじい父ちゃん母ちゃん動画を眺めて、心を和ませることにいたしましょう。
オペラ《ヘンゼルとグレーテル》のあらすじは、こちらのサイトがたいへん分かりやすいです。
NHKの放送をご覧になれなかった方のために、オイシイ部分をアップしてみました。といっても、私も昨日の放送を観ていないので、イギリスはBBCでの放送分で代用。英語字幕だったり画質が少々粗かったりで、ハイヴィジョン放送版とは比べ物になりませんが、放送当時に英国在住の方にわざわざ加工して視聴できるようにしていただいた私の貴重なお宝なのです、ハイ。
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第1幕、中盤。
もう家にはお金も食べ物も無いというのに、ミルク壷をひっくり返してしまったヘンゼルとグレーテル。母ちゃんは二人を厳しく叱り、罰として森へ苺摘みに行かせます。
「こんな貧乏で・・・この先どうやって暮らしていったらいいの・・・」
母ちゃんが絶望して泣いているところへ、町へ箒を売りに行っていた父ちゃんの呑気な歌声が……。
「母さんや、メシにしようや」
「何言ってんのよ。もう食べるものなんか一つも無いのよ!!」
「ちょっとこれを見てみろやい」
「まぁ!! 食べ物がこんなにいっぱい!!」
「町ではそこらじゅうお祭騒ぎ。オレ様の箒を高く売りつけてやったのさ。ほれっ、メシにするぞ! 鍋はどこだ?」
などと言いながら、なぜか服を脱ぎ始め、ベッドにもつれ込む父ちゃん母ちゃん。
「ちょいと待った。子どもたちはどこにいる?」
「イルセンシュタインの森に苺摘みに行かせたわ」
「ばかもん! あそこの森には恐ろしい魔女がいるんだぞ」
「もしも子どもたちが捕まったら…?」
「魔女にとって食われてしまう!」
「そんな!! 助けにいかなくちゃ!!」
「オレ様も行くぞ。と、とりあえず、このボトルを空けてから…!!」
……と、この辺りのやりとりからもわかる通り、オペラ《ヘンゼルとグレーテル》のお母さんは子どもたちの本当のお母さん。童話では怖い継母が2人を森に捨てようと計画し、実の父親(!)が子どもたちを森に置き去りにしますが――オペラの父ちゃん母ちゃんは普通の人間の弱さを持った、それでも子どもたちにとっては優しく頼りがいのある両親なのです。
私が《ヘンゼルとグレーテル》の舞台を観るのはこのROHの新プロダクションが初めてなので、他の舞台と比べて語ることはできないのですが。このROHの演出の、両親の存在感の大きさにたいへん心を打たれました。
森へ迷い込んだ子どもたちを大慌てで捜しに行くまでのシーンは、キャラクターは結構生き生きとしていますけれども、それでもまぁ、ステレオタイプなお父さんとお母さんです。
貧乏で、無学で、酒もソコソコ飲むけれど、一生懸命シゴトをして、子どもたちのことは心の底から愛している。
私たち第三者がこの物語を覗き込む時、「そうあれかし」と無意識に期待するイメージそのままの姿です。
けれども二人の子ども、ヘンゼルとグレーテルには、この両親はもっと違ったふうに見えている。
第2幕、第3場。暗い森に迷い込んで、震えながら眠りに落ちた子どもたちの見る夢に、彼らにとっての“真実”が幻想的なシーンとして描かれます。
暗闇の片隅に縮こまり、横たわる二人の子どもを、動物の顔をした天使が見守っています。次第に辺りの様子が変わっていき、温かそうな重厚な暖炉と、肘掛け椅子が現れます。
その椅子に掛ける二人の人影――それは、正装した父親と美しく着飾った母親です。
両親は穏やかに微笑みながら、ヘンゼルとグレーテルに大きなプレゼントを手渡します。
はやる気持ちでプレゼントを開けると、二人がいま最も欲しかったもの――一切れのサンドイッチが出てきます。
恍惚の表情でサンドイッチを頬張る二人。子どもたちを見守る両親。
おデブで愚痴ばかり言っている母ちゃんも、飲んだくれで小汚い姿の父ちゃんも、二人の子どもたちにとっては頼りがいのある立派な紳士であり、美しく優しい貴婦人なのです。子どもの幸せを願わぬ親がいないように、どんな子どもも心の底から信じているのです、普段はどんなに厳しくとも、お父さんもお母さんも本当は自分たちを愛していて、守ってくれる存在であることを――。
サンドイッチを頬張る瞬間の、ヘンゼル(キルヒシュラーガー)の表情がこれまたイイんだな…・゚・(つД`)・゚・
パントマイムのみで、誰が歌うわけでもないのですが、このシーンを観るといつも涙がこみ上げてきてしまいます。ここで感性の全てを使い尽くしてしまっているのか、第3幕以降の魔女のシーンは放心状態で、きちんと鑑賞できていないほどです(←ダメじゃん・・・)。
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ペーター (ほうき作り) : トマス・アレン
ゲルトルート (その妻) : エリザベス・コネル
ヘンゼル : アンゲリカ・キルヒシュラーガー
グレーテル : ディアナ・ダムラウ
魔女 : アニヤ・シリヤ
眠りの精 : プメザ・マチキザ
露の精 : アニタ・ワトソン
合 唱 : ティフィン少年合唱団
〃 : ティフィン児童合唱団
管弦楽 : コヴェントガーデン王立歌劇場管弦楽団
指 揮 : コリン・デーヴィス
美術 : クリスティアン・フヌイヤ
衣装 : アゴスティーノ・カヴァルカ
照明 : クリストフ・フォレ
演出 : モーシュ・レゼール
〃 : パトリス・コーリエ
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◇関連記事リンク
父ちゃん役です -- 《ヘンゼルとグレーテル》@ROH (映画館でも観られます)
初日でした -- 《ヘンゼルとグレーテル》@ROH 12/9
TV放送されました -- 《ヘンゼルとグレーテル》@ROH
5/23(土) NHKで放送されますヽ(´ー`)ノ -- アレンの《ヘンゼルとグレーテル》@ROH
2009-05-24 14:59
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コメント(6)
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ほんとだっ
・゚・(つД`)・゚・
泣かせるじゃないですか・・・みんな役者だなぁ・・・
こんな優しい表情のアレン父ちゃんからサンドイッチ貰ってみたいですよ。
っつか父ちゃんの呑気な歌(巧いし)とSPARの袋が最高でした。
by りょー (2009-05-24 22:18)
りょーさん>
でしょー!! 泣けるでしょー!!・゚・(つД`)・゚・
なにげにここのシーンがいちばんの名場面だと思うんです。
涙と鼻水を垂らしながらこの動画を編集しましたよっ。
アレンも小汚いだけじゃなくて、素敵なタキシード姿を見せてくれて嬉しいわ~・:*:・(*´∀`*)ウットリ・:*
>SPARの袋
似合ってますよねぇw
by しま (2009-05-24 23:39)
おぉ! しまさんYouTubeに初アップロードですね。
登録させてもらいました。
この放送は、10分ずつにして全部アップされてますけど、こういう見所を選んだ抜粋がいいですよね。
せっかくの日本語訳、動画に日本語字幕つけてくれると更に更に嬉しい....そんな暇人じゃないって?!(笑
by keyaki (2009-05-25 09:18)
じーちゃんの演技すごくイイ!w
しまさんの批評も相まって、まだまだこんなに感動的なオペラもあったんだなと思い知らされましたw
by ぶどう (2009-05-25 20:54)
keyakiさん>
YouTubeはまだまだ勝手がわかりませんが、使いこなすと便利そうですね。またいろいろ教えてください。
私の訳は、例によってざっくりテキトー意訳ですんで、動画に付けるにはお恥ずかしすぎます;;; でもそういう機能もいいですね♪
by しま (2009-05-25 23:01)
ぶどうくん>
>じーちゃんの演技すごくイイ!
そーでしょう、そーでしょう(*´∨`)
演技だけでなく歌唱も良いわよ~♪
…なんて、サクラを雇って盛り上げてみますたwwww
by しま (2009-05-25 23:03)