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着物でご対面 -- トーマス・アレン出待ちレポ@10/28(水) [旅行記]

 こちらは10/28(水)、《ジャンニ・スキッキ》最終日でのトーマス・アレン(と私)です。(2018/3/24 画像削除しました)

 やはり着物の威力はスバラシイ!!
 土曜日のマチネの出待ちではサーの目の前に立ち塞がらなければ普通に素通りされそうだったのに、この日は着物姿の私に気付くがいなや、
「おや、君は……」
と、アレンのほうから近づいてきてくださったんですから。

 土曜日に出待ちをしていた日本人女子と同一人物であることに気付いていたかは微妙ですが(爆)、サイン会やリサイタルに着物で現れたファンがいたことは覚えていてみたいですネ。

 外国人相手に追っかけをするなら、ダンゼン着物がおススメです。
 ロンドンでいつもお付き合いくださっている椿姫さんも、着物の取り持つ縁結びでナントあのロベルト・アラーニャに、バックステージに招待されたことがあるんですって。その時の記事がこちらです


 というわけで、この日はアレンとちょこちょことお話することもできました。

 最初は出待ちはやめて帰ろうかと思っていたんですが、頑張って張り込みをしていてよかったです!

 最終日の舞台は特にノリノリだったトーマス・アレン。4日前以上にご機嫌そうな様子でした。

 そうそう、アレンが左胸に付けている赤い花は、紙制のポピーの造花。ロンドン滞在中はBBCのアナウンサーや、街を歩くビジネスマンがけっこう胸に付けていたので、日本で言うところの「赤い羽根の共同募金」みたいなものかしら?なんて思っていたんですが。
 これ、実は第一次大戦以降の大きな戦争での戦死者の追悼なんだそうで、この時期に胸に飾る習慣があるんだそうです。


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091928allen3.jpg この日、アレン目当てでねばっていたのは、私と、ドイツ訛りっぽいオジサンが一人。左の写真の右側の人です。

 アレンが出てくるのを待つ間、次々と姿を現す歌手たちに話しかけたり写真を撮ったりしていたので、特定の誰かのファンではなくて、有名人なら誰でもいいのかな~なんて思いながら眺めていたのですが。他の歌手たちがみんな帰ってしまって、ステージドアが暗く、寂しくなってきても、中に入って頑張っているので。もしやと思って声をかけてみました。

「すみません。誰を待ってらっしゃるんですか~?」
「ボク? トーマス・アレンだよ!」

 おお、ここにも同士が!! アレンちゃんは人気者だぁ~!!
 嬉しくなって「Me, too!!」と言いますと、「寒いから、中に入りなよ」と手招きするオジサン。妹と三人でお喋りをしながら、ガラス扉の内側で待つこととなりました。

 言葉の壁はあれど、熱烈なファン同士。過去にアレンが歌った役などの話をすれば、すぐに打ち解けてしまえるものです。

「アレンは日本にも行ったことがあるよね」
「ありますよー。昔のことだけど」
「大~昔(many many years ago)だね。70年代だったかな」
「80年代にも来てますよ(90年代にも来てるぞよ)」
「77年に《愛の妙薬》で日本に行ったでしょ?」
「そ、そうなんですか……?(←全く初耳) アレンはベルコーレだったんですか?(誰かと間違えてるんじゃないでしょうね?)」
「そうだよ。それに、アレンはドゥルカマーラは歌ったことはないよね」
「え、ありますよ!」
「ホント? ボクは聞いたことないけど」
「5、6年前ですよ。インターネットに出てましたよ(オジさん、情報が遅いゾ…w」

 …と、まぁ、オジさんの記憶違いなのか、私の英語の聞き取りがマズイのか、微妙に噛み合わない会話を交わしているところへ、話題の主、トーマス・アレン卿が取り巻きを引き連れ、「がっはっは、がっはっは!!」と偉そうに登場。オジさんと私と妹とで、「Finally!!」と喜んだわけです。

 このオジさんも、DVDのブックレットやらアレンの舞台写真やらをわんさと持っていまして、一枚一枚にサインをしてもらっていました。

 ビリー・バッドやら、ドン・パスクワーレやら、蝶々夫人やら。ま、オジさんの持っていた写真、全て私もデータで所持していたりしますけれども(←自慢)。その量に、アレンも「ずいぶん沢山持ってきたねぇ…w」と驚きを隠せない様子です。
 中にはアレンの若かりし頃の(頭髪がふさふさした)写真もあり、

アレン:「こ、これは……」
オジさん:「ハハ。Same man !!」

 …なんてやりとりも(笑)

 アレンがファンといる時にはちょっと離れたところで控えめに立ってらっしゃる愛妻ジーニーさんも、思わず身を乗り出して興味深そうに“ふさふさ写真”を眺めていました。

 で、オジさんの積年の思いが果たされた後、アレンと写真を撮ってもらいました。

 私の腕を取って、
「こっちへおいで」
と、隅っこから明るい場所へ移動させてくれたりして。本当に優しい、パパさんみたいなアレンです(*´艸`*)

 それからまじまじと着物姿を眺め、
「今日はA列(最前列)に座っていなかったかい?」
「はい、座っていました」
「見えたよ。君はとても美しいね」
 ええと、着物を褒めてくだすったのです。それはわかっているのですが、またまた舞い上がってしまって、
「Thank you very much. You, too!!」
 と、ワケのわからん受け答えをしてしまった私。ああ、穴があったら入りたい…。

 それにしても、私が最前列に座っていたのをアレンが気付いてくれていただなんて、もう本当に感激です。
 初めて《コジ・ファン・トゥッテ》を観に行った時にはステージでのアレンを観られるだけで幸せいっぱいだったのに、今ではこんなにアレンに近づいてしまって、贅沢なファンになったものです。

 別れ際にもう一度お礼を言って、
「You are great.」
 と伝えました。
「Thank you. I'm glad...」
 そう答えて、にっこり笑ったアレン。丁寧に頭を下げて、ROHのステージドアを後にしました。

 若い頃の映像を観るとなんだか偉そうで生意気っぽいし、歌唱もどことな~く意地悪そうだし(笑) まぁそういうところが気に入ってファンになったわけですけれども、そのアレンが実はこんなにファンに親切で、礼儀正しくかわいいじーちゃんだなんて。そういう部分に触れられて、ファンとしてこれ以上嬉しいことはありません。

 その昔、ドン・ジョヴァンニを初めて歌うことになった時のことを、
「オレ様がドンを歌うだなんて、周囲はみんなびっくりしていたよ。なにしろオレ様は優しいナイスガイだから、ドンみたいな悪役には合わないって思ったんだろうね」
 と、後にアレン自身がインタビューで語っています。

 それを読んだ時には「自分で言うなよ、自分でー」とさんざんツッコミを入れた私ですが、こんな経験をさせていただくと、全面的にアレンの主張を支持したくなっちゃいます。

 さて……
 時間は前後しますが、目撃した他の出演者たちの様子などを。写真は撮っていません、ごめんなさい。

 アレンが出てきたのはいちばん最後の最後でしたが、他の歌手達はわりあい早々と姿を現し、ドアの外で待っていた知人や家族たちと抱擁をかわしたり、ファンにサインをしたりしていました。

 しかし、なぜか若いコステロ君目当てのファンはおらず…。意外とグウィン・ハウエルエレーナ・ツィリオマリー・マクローリンあたりのオジさんオバさん歌手の取り巻きが多かったのです。

 私はコステロ君の声は気に入っていたので、アレンを待っているのでなければ、声をかけてサインくらい貰いたかったのですが…。今回も心を鬼にしてスルー。コステロ君は一人寂しく夜道に消えていきました。

 ツィータ役のエレーナ・ツィリオは、衣装やカツラをとって私服(上下ジャージでした。と言っても、おそらくブランドものの高価なジャージ)になっても舞台のツィータ叔母さんそのまんまで、なんだか笑えました。

20080928233021.jpg そして、グウィン・ハウエルです。

 今回この人を生で聴くのもとても楽しみにしていましたので、楽屋口で見かけることができて嬉しかったです。

 ハウエルと聞いてぱっと頭に浮かぶのは、やはり'82年の《ラ・ボエーム》でのコッリーネ。まだ髪がふさふさだった頃のアレンと共演したこの映像。

 あ、えーと、右です。右がハウエル。  左は、信じてもらえないかもしれませんが、アレンですので(笑)

 実直な歌唱をする人で、派手さがあるわけでもなく、ヴィブラートの震度も気にならないタイプですんで、追いかけるほど好きというわけではありませんが。アレンの全盛期に一緒に活躍していた歌手で、現在もこうして舞台に立っているとなると、やはりぐっと思い入れが高まるものです。

 そうそう、この方、グロ様とも共演していますしね。というか、サドラーズ・ウェルズ歌劇団では、グロ様の後輩に当たりますし。古き良き時代のオペラ界をよく知っている歌手ということで、尊敬の念を禁じえません。

 1938年生まれだそうなので、アレンより少し年上。今年71歳におなりです。
 外見はすっかり「お爺ちゃんになったなぁ…」という感じでしたし、歌唱もおじいちゃんっぽかったですが、まだまだ低音きれいでした。

 ステージドアから出てきた時は、ゆるゆるのズボンにへなへなのセーター姿。髪の毛もくしゃくしゃ。お洒落する気なんて全くゼロな、それこそパブにゴロゴロいる典型的なイギリス人のおとーさんって感じで、微妙に夢が壊れました…;;;

 まぁ、アレンみたいに、現れるたびにテイストの全然違うコーディネートを見せつけられるのもなんだかんだで引きますので、グウィンみたいな実直そうなおじーちゃんのファッションは、これっくらい素朴なのが似合うかも。

 アレンの出待ちでなかったら、この人にこそ勇気を出して話しかけて、握手とかしてもらいたかったなぁ、なんて思います。



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Sardanapalus

アレンじーちゃん素敵です!美しいしまさんとツーショットで嬉しそう(^^)

それにしても、前の記事のパブにいる親父風の服にも噴出してしまいましたが、この日の打ち上げパーティー用のコーディネートのピンクシャツは凄いですね。イギリスで男性がピンクを着ている所はなかなかお目にかかれないので、新鮮です。(ピンク=女っぽい=ゲイのイメージ、なんですよね^_^;)

あ、ポピーの造花は、確かに戦没者追悼の花ですが、これを買うことで傷痍軍人や遺族への募金になるので、
>「赤い羽根の共同募金」みたいなものかしら?
という推測はあながち間違いではないと思います。

>グウィン・ハウエル
>典型的なイギリス人のおとーさんって感じで、微妙に夢が壊れました…;;;
イギリス人ですからねぇ…着る物に無頓着なのはもう仕方ないですね。
by Sardanapalus (2009-11-02 22:42) 

keyaki

コステロ君出待ちゼロでしたか.....
オペラは若いファンが少ないってことでしょうね。グリゴーロ君が一時的にしろポップに走った一因はそれですよね。

>エレーナ・ツィリオ
彼女は、2006年のフィレンツェ5月音楽祭の来日公演のライモンディ主演の《ファルスタッフ》でクイックリー夫人でしたが、かわいらしいおばあちゃまでした。68才ですよ。この時は、衣裳がフェラガモのすてきなプリント柄のワンピースだったんですけどとてもお似合いでした。

>マリー・マクローリン
なつかしいですね。映像ですけど、ジルダとかヴィオレッタとかスザンナとかきれいなソプラノさんでした。

自分ではほとんどしませんが、皆さんの出待ち、入り待ちの話しは大好きなんですよ。
by keyaki (2009-11-02 23:06) 

ロンドンの椿姫

キャーッ! アレン様が最前列のしまさんに気付いてくれたなんて、高い席を奮発してよかったですね~。私もなんだかとても嬉しいです。
それに、そうでしょ、着物の威力は凄いでしょ。やっぱりアレン様は覚えててくれましたね。私がアラーニャの楽屋に招待してもらえたのも着物だったからです。

その日はコステロ君を私が出待ちをしてあげればよかった・・・。楽屋口にまだしまさんご姉妹がいらっしゃらなかったのでそのまま帰ったのですが、結構早く終わったのに残念。でも、一旦出待ちをし始めると毎回やりしょうで怖くて・・・
by ロンドンの椿姫 (2009-11-03 06:20) 

yokochan

こんにちは~
おっ、久しぶりっ、と思ったら、しっかりアレン氏とツーショットじゃないですかぁ。
びっくりしましたよう。
素晴らしく、そして素敵な思い出になりましたね。

ワタクシはただいま、ミーハーですが、パトリシア・プティボンに夢中なのですが、行けるはずもないのですが、来年、彼女が「ルル」にチャレンジするので、飛んでいきたい思いで一杯です。
 そこで、質問です。
女子は、着物という最強ツールがありますが、われわれ男子(というかオヤジです)はどうやって、目を引かせたらよいのでしょうか。
ちょんまげですかね(笑)
by yokochan (2009-11-03 15:04) 

しま

Sardanapalusさん>
洋装だと普通にスルーされる私ですから、アレンの視線を釘付けにするにはド派手な着物が必須。
この日は牛のように朱い羽織に反応してくれたじーちゃんです(笑)

>ピンク=女っぽい=ゲイのイメージ
じーちゃん、冒険してるなぁ。
でも意外と似合ってますよね、ピンク。褒めてあげればよかった。
年とって性格が丸くなっても目立ちたがり屋さんなところはやっぱり「アレン」なんですかねぇ(笑)

>ポピー
>赤い羽根の共同募金
「オレ様は慈善活動にも熱心なのよ」というアピールねw


by しま (2009-11-03 15:59) 

しま

keyakiさん>
若い女性(たぶん私よりずうっと若かったはず)の姿もあったんですが、コステロ君の出待ちではなかったみたいです。
この日は出待ちの人数もかなり多かったんですけど。
地元のアメリカではもうちょっとは人気あるんじゃないでしょうかねぇ。

>ツィリオ
へぇぇ、68歳・・・!! 見えませんねぇ!!
愛嬌あるおばちゃんって感じですけど、とても美しかったです。
いい声でしたし、存在感もさすがなもので。ジャンニはツィータがしっかりしてないと面白くないですし、プレミエに続いてこの人が出てくれてよかったです。

私もこういう裏話、大好きなんですが、まさか自分がやるようになるとは思いませんでした(笑)
by しま (2009-11-03 16:14) 

しま

椿姫さん>
そうなんです~。気付いていてくれてたんです~。
まさか見えるなんて思っていなかったんで、「は? この人、何言ってんのかしら?」と思ったんですけど、1秒後に「キャー!!」です。
アレンの前でなければ、その場にひっくり返って暴れたかったですよ。

>アラーニャの楽屋に招待してもらえたのも着物だったから
アラーニャの楽屋だなんて、羨ましいっ!! この記事もリンクさせていただきました。

>コステロ君を私が出待ちをしてあげればよかった
ホントですねぇ。
実はこの日は出待ちをする気はなくて、帰ろうと思っていたんです。妹に説得(?)されて戻ったので、だからステージ・ドアに行くのが遅くなっちゃったんです。
私が最初から待っていれば、椿姫さんもコステロ君の出待ちができたかも・・・。

1回やってしまうと本当に癖になるので(私がいい例ですよね)、椿姫さんのブログに新たに出待ちネタが増えることになるでしょうね。
一人だとちょっとビビリますが、お着物仲間とご一緒にいかがですか?
by しま (2009-11-03 16:24) 

straycat

念願のアレンじいちゃんとのツーショット!よかったですね~。

しまさんのこの羽織覚えてますよ。クラシカルな中に華やかさがあって、若い方はやっぱりこれくらいのものをお召しになったほうが似合いますね。日本は地味な方が多いですものね。

じいちゃんのサーモンピンクのインナー、あちらではそういう意味合いに取られたりするんですね。
とってもお洒落だし、色白の人に似合うと思うんですが・・それにじいちゃんは御髪も色白だし(オホホ
でもサーはおじいちゃんになってもダンディーだこと。

*そういえば、ロンドンの話題で盛り上がっているのでなんですが、例のカーセン版のキャンディード、来年8月にオーチャードでやるそうですよ。
by straycat (2009-11-03 16:35) 

しま

yokochanさん>
ご無沙汰しています。
はい、ブログはサボっても追っかけは外せません(笑)
そして念願のツーショットをゲットしたからには、睡眠時間を削ってでもブログの更新の再開です。なんとも現金な私です。

>プティボンの「ルル」
へえぇ・・・なんだか雰囲気合ってますね!!
是非観に行ってくださいまし。

男子の追っかけツールですか?
ちょんまげはさすがに「武器」と思われそうなので避けたほうがいいかも、ですね(笑)
男性の羽織袴も、オペラハウスではかなりの威力を発揮すると聞きましたが(蘭丸さんだったかな?)、美しい着物姿の女性を「同伴する」という手もあります。
その際、女性には訪問着でばっちりキメていただいて。
おお~コレ最強!!
by しま (2009-11-03 16:37) 

しま

straycatさん>
私はもうとっくに「若い」うちには入らなくなっていますが、「でもまだ独身(`・ω・´) シャキーン !!」ということでお嬢さんっぽい着物も着ています。
ちょっと前の時代ならこんな暴挙は許されなかったでしょうけど、若い世代に着物を着てもらうためには、決まりごとや慣習にいちいち目くじらを立ててなんていられませんよね。

○歳になったら地味な着物じゃなきゃ駄目~!!なんて言われたら女性としてミジメだし。ミジメな思いをしてまで窮屈で面倒な着物なんて着たくなんかないですしね。
そんなわけで、お茶席や歌舞伎やお見合い(笑)でもなければ、好きなモノを着ようと思ってます。ましてやロンドンですしね♪

>じいちゃんのサーモンピンクのインナー
>色白の人に似合う
はっ、そうか。じーちゃん白髪になったから似合うようになったんだわー。
若い頃はわりかし赤毛だったので、ブルーがよく似合ってたんです。

>カーセン版のキャンディード、来年8月にオーチャードで
お。ようやく日本でも観られるんですね。
と言っても佐渡さんプロデュースのやつで、演出だけ借りてくるみたい?
キャストにもよりますけど、もしも日本人で固めるのだとすると、あの演出だと寒いかな・・・。
by しま (2009-11-03 17:01) 

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