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バイエルン州立歌劇場の《ヴォツェック》(2008年11月初演) [オペラの話題]

バイエルンwo3.jpg 新国立劇場の新プロダクション《ヴォツェック》はバイエルン州立歌劇場との共同制作で、2008年11月の初演(@バイエルン)は大変高く評価されたとあちこちのチラシやサイトに書いてあります。

 宣伝の為ですからそう書くに決まっていますが、実際、ドイツ語圏でのオペラ演出は奇抜で前衛的なものが主流でして、YouTubeなどで覗いてみると本当に“ワケワカラン”な意味不明の映像がゴロゴロ出てきます。

 そんな中で、演出家アンドレアス・クリーゲンブルクの《ヴォツェック》は、奇抜なところはあるものの、シロウトでもなんとな~く一貫したテーマを読み取ることができます。ゾンビっぽい群集とか、人造人間っぽい医者とか、モチーフ(?)もホラー映画でお馴染み、そうそう目新しいものではない為、観る側に共通したイメージが伝わりやすく、風刺性に優れているのではないでしょうか。

 ドイツ語圏の観客はもともと奇抜なものに慣れているうえ、「演劇的で(比較的)わかりやすかった」ということで、実際に好評だったんだろうなぁと、勝手に想像しております。

 さて、昨年11月のバイエルン初演でヴォツェックを歌ったのは、ミヒャエル・フォレ

 ドイツ人のワーグナー歌いで、バイロイトの《マイスタージンガー》にベックメッサー役でここ毎年登場していますが、日本では「マクヴィカー演出の《サロメ》@ROHのヨカナーン」のほうが有名かもしれないですね(→こちら)。
 けっこう好きなバリトンですし、ちょうどヴォツェックに興味をそそられているところでしたので、今回取り上げてみることにしました。

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 ミヒャエル・フォレはROHのヨカナーンを1回、ネットラジオでベックメッサーを1回聴いたことがあるだけなのですが、荒削りな歌唱をする人で、少々ダミ声っぽく聴こえる時もあるという印象を持っています。が、新国のトーマス・ヨハネス・マイヤーと同様、男前で色っぽい、美声バリトンの部類です。(だと思います!)

 マイヤー、フォレ、そしてオマケのグロソップ(笑)
 こうして並べてみると、ヴォツェック役に求められる声の傾向がなんとなくわかるような気がしました。

 バイエルン州立歌劇場のサイトで、初演時の《ヴォツェック》の舞台の様子、フォレやクリーゲンブルクのインタビューの映像が紹介されています。keyakiさんのブログで知りました)

 また、08年11月10日の舞台映像(ハイライト)がYouTubeにアップされています。

 雰囲気がよく伝わってきますので、新国の上演にいらっしゃった方もそうでない方も、フォレ君の熱演と不気味な舞台をご覧になっていただければと思います。

 できれば、バイエルンのほうの舞台がDVDかされればいいな・・・。
 (新国のほうは、おそらくTV放送されると思いますので)

 バイエルン側の出演者。
 フォレ以外では、指揮がケント・ナガノ
 そして、ヴォルフガング・シュミットの大尉です。

バイエルンwo2.jpg シュミットは、昨年2月の新国《サロメ》で、マンガちっくなヘロデを好演し、私の目を釘付けにしてくださったオモシロ・テノール。

 今回の新国の《ヴォツェック》で大尉を演じたフォルカー・フォーゲルは、私にとってはインパクトがいまひとつでした。

 実は、舞台を見ながら、
「肉襦袢なんか着て、ヴォルフガング・シュミットに似合いそうな役だな~。シュミットならもっと面白く歌うだろうな~」
 と思っていたので、実はバイエルンでシュミットがこの役をやっていた!! ということがわかり、ニンマリしてしまいました。

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Cast

Conductor Kent Nagano
Production Andreas Kriegenburg
Set Harald B. Thor
Costumes Andrea Schraad
Lighting Stefan Bolliger
Chorus Andrés Máspero
Choreography Zenta Haerter
Dramaturgy Miron Hakenbeck

Wozzeck Michael Volle
Tambourmajor Jürgen Müller
Andres Kevin Conners
Hauptmann Wolfgang Schmidt
Doktor Clive Bayley
1. Handwerksbursche Christoph Stephinger
2. Handwerksbursche Francesco Petrozzi
Der Narr Kenneth Roberson
Marie Michaela Schuster
Margret Heike Grötzinger

The Bavarian State Orchestra

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関連記事リンク
《ヴォツェック》@新国立劇場11/23
ピーター・グロソップの《ヴォツェック》@Met in 1974
《サロメ》@デイヴィッド・マクヴィカー演出/Royal Opera House
 (ヴォツェック役、ミヒャエル・フォレ生鑑賞レポ)
《サロメ》@新国立劇場2/9(土)
 (大尉役、ヴォルフガング・シュミット生鑑賞レポ)


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