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サー・トーマス・アレン ROHデビュー40周年 [アレンのニュース]

allen40years.jpg

 サー・トーマス・アレンのロイヤル・オペラ・ハウスデビュー40周年を迎えました。2009年はプロ・デビューそのものの40周年でしたが、今年はROHでの40年です。そのお祝いが、1/27の《コジ・ファン・トゥッテ》初日のカーテンコールで行われたそうです。

 ほぼ1ケ月遅れの記事。サルダナさんに教えていただかなければ危うくスルーしてしまうところでした。相変わらず反応が鈍くてすみません。

 リンク先の写真集でもご覧いただけます通り、お花が降ってきたりお祝いのケーキが出てきたり・・と、お茶目なアレンじーちゃんを喜ばせるのにピッタリの趣向。
 アレンの表情もとっても嬉しそうですね!

 アレンのROHデビューは1971年の《ビリー・バッド》。もちろんビリー役ではなく、ドナルドです。

 ROHのデータベースで検索しますと、ちゃんと名前がありますね。

 デビュー時の思い出については、実は先日ご紹介したこちらのインタビューでもちらっと語られています。以前にもどこかで紹介した覚えがあります。動画の2分30秒あたりからです。

(ROHでの)キャリアの最初の思い出は、《ビリー・バッド》のドナルド。印象的な役ではないけど演じるのは面白かったよ。特に覚えているのは、リハーサルでステージに立った時、ストールズサークル(平土間を囲んでいる舞台と同じ高さのサイド席)にキャンドルの灯りが連なっているのが見えてね。ついにここに来たと思ったら感傷的な気分になって、涙が出てきたよ。

(※聴き取れない部分は飛ばして意訳してます)


 で、アレンが「じぃ~ん…(´;ω;`)」とデビューの喜びをかみ締めていた時、悠々と主役のビリー・バッドを歌っていたのは・・・

 なんと、ピーター・グロソップです。

 もういちどこちらで配役を確認してね。

 アレンってば、デビューの時からグロ様と共演していたんですね。同じ英国人ですからそりゃ頻繁に顔を合わせたんでしょうけど、同時に二人のファンをしている私にとってはこのタイミングでのご縁は感慨深いです。
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 さて。エージェントのページには、40周年を控えたアレンのインタビューが掲載されていました。
 長いので・・というか全てを翻訳するスキルも体力も気力もないので、オイシイところだけを抜粋して紹介します。
 正確な訳ではありませんのでご了承ください。

「40年? 信じられないねぇ」と、バリトン歌手のサー・トーマス・アレンはくすくす笑う。場所はロンドンの自宅。ここでリハーサルをしている《コジ・ファン・トゥッテ》で、ROHコヴェント・ガーデンでのデビュー40周年を迎えるのだ。

「40年という数字が何を意味するかなんてわからないね。測り知れないよ!」

 確かに、この快挙は、ダーラム出身の若い歌手とっては測り知れないどころではなかっただろう。当時のアレンが野望はむしろもっと控えめだったからだ。

「まず、そこ(ROH)に行けるなんて夢にも思っていなかったから、現実にそうなって驚いたよ。よく若手歌手に聞くことがあるだろう? 『いつかコヴェント・ガーデンでデビューしたいと思いますか?』って。手に届くわけがない、何光年も離れてるって笑ってたよ。

 歴史に名高いROHのステージに立つのは、まさに驚異的だった。完全なる美、光を見ているようだった。口をぽかーんと開けて、はっと息を飲んだよ」

 フローラル・ストリート(ROHのステージドアに面した通り)に来たら今でもぽかーんとなりますか?と比喩的に尋ねたところ、

「そりゃぁ、今でも魔法にかかったみたいだよ。コヴェントガーデンのステージを務めにステージドアをくぐるというのは特別なことだからね」

--中略--


 アレンがキャリアをスタートさせた時代、コヴェントガーデンには真のスターが集っていた。

「サザーランド、ヴィッカーズ、ウォード、マッキンタイア、エヴァンズ、長年の間に大勢見てきた。まさに非情なプロフェッショナル達で、とても興味深かった。私はそういう人々の膝に乗っかって、話を聞いて、いろいろ学ばせてもらったんだ」

 アレンは学生のように熱心だったのだろう。が、時折、神聖なステージ名簿に名を連ねる大スターたちに目がくらんでしまったこともあった。あまりにも“偉大な”才能を前に、自信を失ってしまったのだ。

「アルフレード・クラウス、ティト・ゴッビ、ルチア・ポップ…偉大な歌手たちに囲まれて仕事をするのはとても刺激的だし感動的なんだが、同時に厄介なことでもあるね。みんなこの時代の大スターだった人たちだから」

allenbilly.jpg アレンは'77年にグノーの《ファウスト》、1979年の《ビリー・バッド》で一躍成功を収めたが、それは精神的にも大きなチャレンジだった。

「上演前に静かな場所に行って、自分に言い聞かせたよ。『自信を持て。今夜はいちかばちかだ。成功への階段を上るか、このまま静かにここに残るか。それとも失敗するか―どうするんだ?』ってね」
 アレンは少し躊躇してから、持ち前の謙虚な口調で付け加えた。
「で、成功したんだよ」

--中略--


 ビリー・バッドやファウストからスタートした成功への道は、'88年の《ドン・ジョヴァンニ》という大きな岐路へ彼を導き、更に'98年の《マイスタージンガー》へと続いていく。マイスタージンガーを歌ったことは、彼には“特別に異例なこと”だったそうである。

 アレンはロイヤル・オペラ・ハウスで50以上もの役をこなし、平行して世界の主だった劇場においても同等のキャリアを積んでいる。例えば、メトでは30年ものキャリアがある。
 休むことなど無かったのだろうか?

「私の脳は非情に子どもっぽくてね、どんな仕事でも“遊び”として楽しんでしまうんだよ。子どもの遊びよりはもっと程度の高いものだが、私の想像力はやんちゃなもんで…それによって人生が高められているんだ。いつかは面倒になる時がくるかもしれない。が、そうなった時には新しい道を切り開くよ」

--中略--


 コヴェント・ガーデンを芸術鑑賞の拠点としている者にとって、アレンが何十年ものあいだ聴衆に感動を与えてきたことは周知の事実である。

「常に素晴らしいアーティスト達が(ROHに)集っている。歌手だけでなく、舞台を創り上げる人々もだよ。さまざまな形で舞台に関わる全ての人に対して、やあスタン、ジョー、と名前を呼んで挨拶することにしているんだ」

 オペラスターが舞台裏のスタッフの名前をわざわざ覚えるものかと疑う人もいるかもしれない。が、それこそがアレンの謙虚な人間性の証なのだ。コヴェント・ガーデンのような主要な劇場で働く名も無き人々を無視するような自惚れなど、アレンには皆無である。

「私はこの劇場にたいへん敬意を払っている。この大きな施設の歴史の、ほんの短い瞬間だけ関わらせてもらっているだけなんだ。私が去っても劇場の歴史はずっと続いていくだろう。ここにいると実感できるのもほんの少しの間だけなんだよ」

「まるで家に帰ってきたようだ」と言うサー・トーマス・アレン。が、その非凡な声の響きは、まだコヴェント・ガーデンにたどり着いたことが信じられないといったような感じだった。


 なんでしょう、今まで読んだり聞いたりしたアレンのインタビューに比べて謙虚度が高い感じがするのは私だけかな? インタビュアーの書き方にも寄るんでしょうが、それだけROHデビュー40周年がアレンにとって感慨深かったのかもしれないと受け取っておきたいと思います。

 これで肩の荷を降ろして歌うのを止めちゃった---なんてことが無いように祈ります!(←失礼な心配だなぁ・・)
 最低でもあと1回は生アレンに会いに飛んでいきたいと思っておりますので。

 まぁ60代なんてまだ若い。70才を超えても舞台で活躍している歌手さん達は大勢いますし、若手の方々にもちゃんと道を譲りつつも、末永く歌い続けていただきたいと願っております。

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■関連記事リンク
じーちゃん、40周年おめでとーヽ(´ー`)ノ -- アレンのデビュー@WNO
50役 記録達成!! -- アレンのファニナル in 《ばらの騎士》@ROH


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コメント 4

ヴァランシエンヌ

しまさん、お久しぶりです^^
そして、私の新しいサイトのRSS登録も、ありがとうございました。
バスティアニーニの話題も面白かったけど、やっぱりしまさんには、アレンの話題がお似合いですヨ(笑)
40年、現役を続ける…って、本当に大変ですし、アレンはずっと第一線でやってきたんですから、敬意を表したいです。
グロ様とアレンの共演と言えば「ボエーム」もありましたね^^
懐かしいなぁ。
また、ゆるゆると宜しくお願いします:)))
by ヴァランシエンヌ (2012-02-27 23:48) 

しま

■ヴァラリンさん
ご訪問ありがとうございます。すっかりご無沙汰してしまいましたね。

>バスティアニーニの話題も面白かったけど、やっぱりしまさんには、アレンの話題がお似合いですヨ(笑)
私が語るには兄ぃニは真面目すぎますし。これでも抑えて書いてるんです。
アレンの話題は誰に気兼ねしなくてもよいので、伸び伸びと語れますね(笑)

40年、本当によくやるなぁと思います。
本人も言っているように、楽しんでいなければここまで続かないかもしれないですね。




by しま (2012-02-28 00:51) 

clevelander

ご無沙汰しています。
すっかり遅くなりましたが、ROHデビュー40周年前日、ニュース番組に出演していました。お暇なときにでもどうぞ。
http://xfs.jp/MVMCy
by clevelander (2012-04-19 00:45) 

しま

■clevelanderさん
うわ~ありがとうございます(*゚Д゚)
最も最新の「動くアレン」ですね!! おじいちゃんだな~。でもやっぱり声はアレン♪

こちらこそご無沙汰してしまいすみませんでした。
何の前触れもなしに長く更新ストップしていたので・・
またボチボチやってきますので(最近までかなりのハイテンションでしたが)、また見守ってやってくださいませ。
by しま (2012-04-20 02:04) 

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