名作アニメ “Magical Maestro”/カルロス・フリオ・ラミレスの「私は町の何でも屋」 [オペラの話題]
イタオペ派とはいえジョアッキーノ・ロッシーニの作品はあんまり…というか、ほとんど聴いていません。贔屓歌手の音源があればしぶしぶ聴くくらいです。
なぜロッシーニが苦手かというと、ホラ、私はでっかい声でぐわぁ~!! と押してくるような歌唱を好みますから、技巧的でヒラヒラした歌は聴くのがなんだか恥ジュカチイのダ…(*´ω`*)
《セビリアの理髪師》は、トーマス・アレンの録音のおかげでけっこう好きになりましたが、このオペラの看板とも言える理髪師フィガロの有名なカヴァティーナ「私は町の何でも屋」は、いまだにこっぱずかしくて正気では聴けません。
特に、惚れた歌手だったりすると、ねぇ。
「ああああこんなチャラチャラした歌をっ!! やめてえええええ!!」
と身悶えしちゃう(笑)
ロッシーニファンの皆さん、ごめんなさいね。
それはさておき。「私は町の何でも屋」は、オペラに興味が無い人でも、一度は耳にしたことがあるでしょうってくらい有名なんじゃないかと思います。
“ふぃ~~がろ、ふぃ~がろ、ふぃがろふぃがろふぃがろふぃがろふぃがろ…” と聞けば「あ~ァ、なんか知ってるかも」となるのでは?
この歌が広く知られている要因は、昔TVでやっていたこのアニメにあるんじゃないかと。
Metro-Goldwyn-Mayer (MGM) の名作短編、“Magical Maestro (日本語タイトル:オペラ騒動/へんてこなオペラ)” です。(⇒こちら)
人気アニメ『トムとジェリー』の「真ん中の作品」として、子どもの頃に見た人も多いのではないかと思います。
画像をクリックするとYouTubeへ飛びます。懐かしい映像をご覧ください。
私はもー、これが好きで好きで…!! 『トムとジェリー』が再放送されるたびに、「真ん中の時間」にこれをやってくれるのを楽しみにしていました。高校生の時は見逃したくないばかりに毎日録画予約をしていたくらいです。
フィルムに付着した糸くずを引っこ抜くという斬新なギャグや、お約束的なネタも満載ですが、それ以上にスゴイなぁと思うのは、歌っているスパイクの口の動きがちゃんと歌詞と合っていること。「ラララ、ラララ」の舌の動きなんて職人芸だと思います。
アニメーターはテックス・アヴェリーという人で、ハリウッド時代のカトゥーン黄金期を築いたアニメ監督の一人なのだそうです。ウォルト・ディズニーの『白雪姫』のように実写フィルムからアニメのセルに描き写す「ウルトラ・リアリズム」から脱却し、カトゥーン特有の「マンガ物理学」を採用して抱腹絶倒なアニメーション作品の数々を生み出したとのことです。(参照)
残念ながら、作られた時代が時代ですので、差別的な表現もいくつかあります。近年放送されるヴァージョンでは、スパイクが中国人に変身するシーンがカットされているそうです(ラストでマジシャン自身が変身させられるシーンも同様)。
また、怒った観客が黒インクをスパイクの顔に浴びせるシーン(当時の有名なアフリカ系アメリカ人の芸人を連想させるギャグだったようです)も、直後の金床を落とすシーンをカットして差別的に見せない工夫をしているようです。(参照)
これが我が人生における「町の何でも屋」の初聴き!
ですので、スパイク(偉大なバリトン歌手 "POOCHINI")のフィガロが私のスタンダードになっています(笑)
アニメとはいえ、けっこう上手いですよね。
ギャグと音楽がセットになっていますので、これは恥ジュカチくならないので大丈夫!(この原体験のせいで、オペラをネタとして聴くようになってしまったのだろうか…)
歌を担当したのはカルロス・フリオ・ラミレス(1914 - 1986)。
コロンビア出身のバリトンで、ミュージカル映画『碇を上げて』にも出演しています。この映画でもセビリヤの理髪師を歌っているとのことですが、そんなシーンあったかな・・・。20年以上も前にTVで観たきりなので忘れました!
YouTubeにはラミレスの歌う「私は町の何でも屋」のフルヴァージョンが上がっています。(⇒こちら)
ラミレスがハリウッドでの仕事にどれくらい携わっていたのかはわかりませんが、明るくクセの無い歌い方が、アニメの動きを当てるのに向いているということで採用されたのかもしれません。
クセが無い…ということは、視点を変えると「個性に乏しい」とも言えますが。子どもが聴く「初のフィガロ」となる可能性が高いので、こういう歌い手を選んだのは正解だったのではと思います。歌唱がアニメに勝ってしまってもいけませんしね。
ここ一週間ほど軽~く一人で《セビリアの理髪師》祭りが続いていまして(ツィマーマンはその合間に聴きました)、手持ちのエレーデ盤とマリナー盤と、お仲間からいただいたネットのライブ音源をとっかえひっかえ楽しんでいます。
そろそろ別のキャストによる録音を増やしたいので、いろんな歌手によるフィガロをYouTubeで聴き比べているうちに、この名作アニメのことを思い出しました。
なぜロッシーニが苦手かというと、ホラ、私はでっかい声でぐわぁ~!! と押してくるような歌唱を好みますから、技巧的でヒラヒラした歌は聴くのがなんだか恥ジュカチイのダ…(*´ω`*)
《セビリアの理髪師》は、トーマス・アレンの録音のおかげでけっこう好きになりましたが、このオペラの看板とも言える理髪師フィガロの有名なカヴァティーナ「私は町の何でも屋」は、いまだにこっぱずかしくて正気では聴けません。
特に、惚れた歌手だったりすると、ねぇ。
「ああああこんなチャラチャラした歌をっ!! やめてえええええ!!」
と身悶えしちゃう(笑)
ロッシーニファンの皆さん、ごめんなさいね。
それはさておき。「私は町の何でも屋」は、オペラに興味が無い人でも、一度は耳にしたことがあるでしょうってくらい有名なんじゃないかと思います。
“ふぃ~~がろ、ふぃ~がろ、ふぃがろふぃがろふぃがろふぃがろふぃがろ…” と聞けば「あ~ァ、なんか知ってるかも」となるのでは?
この歌が広く知られている要因は、昔TVでやっていたこのアニメにあるんじゃないかと。
Metro-Goldwyn-Mayer (MGM) の名作短編、“Magical Maestro (日本語タイトル:オペラ騒動/へんてこなオペラ)” です。(⇒こちら)
人気アニメ『トムとジェリー』の「真ん中の作品」として、子どもの頃に見た人も多いのではないかと思います。
画像をクリックするとYouTubeへ飛びます。懐かしい映像をご覧ください。
私はもー、これが好きで好きで…!! 『トムとジェリー』が再放送されるたびに、「真ん中の時間」にこれをやってくれるのを楽しみにしていました。高校生の時は見逃したくないばかりに毎日録画予約をしていたくらいです。
フィルムに付着した糸くずを引っこ抜くという斬新なギャグや、お約束的なネタも満載ですが、それ以上にスゴイなぁと思うのは、歌っているスパイクの口の動きがちゃんと歌詞と合っていること。「ラララ、ラララ」の舌の動きなんて職人芸だと思います。
アニメーターはテックス・アヴェリーという人で、ハリウッド時代のカトゥーン黄金期を築いたアニメ監督の一人なのだそうです。ウォルト・ディズニーの『白雪姫』のように実写フィルムからアニメのセルに描き写す「ウルトラ・リアリズム」から脱却し、カトゥーン特有の「マンガ物理学」を採用して抱腹絶倒なアニメーション作品の数々を生み出したとのことです。(参照)
残念ながら、作られた時代が時代ですので、差別的な表現もいくつかあります。近年放送されるヴァージョンでは、スパイクが中国人に変身するシーンがカットされているそうです(ラストでマジシャン自身が変身させられるシーンも同様)。
また、怒った観客が黒インクをスパイクの顔に浴びせるシーン(当時の有名なアフリカ系アメリカ人の芸人を連想させるギャグだったようです)も、直後の金床を落とすシーンをカットして差別的に見せない工夫をしているようです。(参照)
これが我が人生における「町の何でも屋」の初聴き!
ですので、スパイク(偉大なバリトン歌手 "POOCHINI")のフィガロが私のスタンダードになっています(笑)
アニメとはいえ、けっこう上手いですよね。
ギャグと音楽がセットになっていますので、これは恥ジュカチくならないので大丈夫!(この原体験のせいで、オペラをネタとして聴くようになってしまったのだろうか…)
歌を担当したのはカルロス・フリオ・ラミレス(1914 - 1986)。
コロンビア出身のバリトンで、ミュージカル映画『碇を上げて』にも出演しています。この映画でもセビリヤの理髪師を歌っているとのことですが、そんなシーンあったかな・・・。20年以上も前にTVで観たきりなので忘れました!
YouTubeにはラミレスの歌う「私は町の何でも屋」のフルヴァージョンが上がっています。(⇒こちら)
ラミレスがハリウッドでの仕事にどれくらい携わっていたのかはわかりませんが、明るくクセの無い歌い方が、アニメの動きを当てるのに向いているということで採用されたのかもしれません。
クセが無い…ということは、視点を変えると「個性に乏しい」とも言えますが。子どもが聴く「初のフィガロ」となる可能性が高いので、こういう歌い手を選んだのは正解だったのではと思います。歌唱がアニメに勝ってしまってもいけませんしね。
ここ一週間ほど軽~く一人で《セビリアの理髪師》祭りが続いていまして(ツィマーマンはその合間に聴きました)、手持ちのエレーデ盤とマリナー盤と、お仲間からいただいたネットのライブ音源をとっかえひっかえ楽しんでいます。
そろそろ別のキャストによる録音を増やしたいので、いろんな歌手によるフィガロをYouTubeで聴き比べているうちに、この名作アニメのことを思い出しました。
2012-05-08 17:56
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