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《セビリアの理髪師》@新国立劇場 12/4 -- 言いたいことはいろいろあるけど面白かったから大満足 [オペラ実演レポ]

barbartirasi.jpg しつこいですが、今シーズンは新国の全公演制覇をめざして頑張っております。その第3弾は《セビリアの理髪師》でした。

 ロッシーニは恥ジュカチイのでちょっと苦手ですが、サー・トーマス・アレンの大はしゃぎフィガロ in マリナー版のおかげでこの演目は好きであります。

 で、新国のセビリア。
 いろいろ言いたいことはありますが、全体としてはとても良い公演だったと思います。
 ソリスト達のレベルは決して高いとは言えず、特にアンサンブルは終始グダグダで、残念の極みなんですけれども。お客さんのウケは良かったようだし、私も含め、みなさん満足されたんじゃないでしょうか。

 その要因はとにもかくにも演出にあったと思います。

 ヨーゼフ・E ケップリンガーという人の手によるものですが、これがま~ぁ面白かったこと!

 時代を1950年あたりに移して、美術もポップでカラフルに。CDだけで聴くと長ったらしくて退屈なアリアや重唱の部分も、歌手たちの後ろで何やかやとオモシロイことをやってくれるのです。もう笑いが止まらず、その効果があってお客さんのテンションも上がってきて、歌手にも拍手喝采を送る……という感じでした。

 演出があれほど面白くなかったら、どんな惨事が起こったことか(苦笑)

 でもまぁ、いいです。本当に面白く、楽しく、頑張ってお休みをとって新国に行って良かった!と思いましたから。オペラの顧客満足も、歌手やオケの演奏だけが決めているわけでもないんですね。もちろん両方良いのが理想なんですが。

 MVPはブルーノ・プラティコ。これぞブッフォのおシゴト!と大絶賛できる、見事なバルトロでした。ところどころに入れてくれる日本語も可愛かったですよ。

 それから、新国サイトの写真では「ニヤけたヤローだぜ」と私の評価の低かったダリボール・イェニスが、実は私好みの大声フィガロでいきなり好印象になりました。顔もけっこう大きかったしd( ̄  ̄)

 この強靭な喉、鬱陶しいほどの大声はもしや……?とワクワクしながら聴いていたんですが、ホラやっぱり。

 ヴェルディ歌いさんでもあらせられるのよね~~ワ━ヽ(*´Д`*)ノ━ィ

 正直、このセビリアにはあまり期待していなかったんですが、こうして思わぬところで魅力的なバリトンに出会えたりするので、全制覇を目指す意義もあるってもんです。
 イェニスは《オテロ》のイァーゴのロール・デビューをしたんですと。(⇒コチラ
 いいですねぇ~。是非とも生で聴いてみたいものです。

 ロジーナのロクサーナ・コンスタンティネスクも特に文句はありません。跳ねっ返りで色気もあって魅力的でした。

 で、いちばん大切なルシアノ・ボテリョのアルマヴィーヴァ伯爵。登場の第一声がとてもキレイな声だったので、その時点で期待度80%くらいにまで上がったのですが、少し調子が悪かったのでしょうか。不完全燃焼な印象です。
 高音があまりきれいではなく、アジリタもところどころ流れてしまっていた。
 本当ならもっと聴かせられる人なんだろうなと思いながら聴いていました。

 バジリオの妻屋秀和は今回も圧巻。『陰口は~』のアリアでのバスドラムどっか~んの瞬間の迫力など、妻屋さんだからこそ可能なんでしょう。

 オケの演奏も軽やかでテンポが良く、この演出とよくマッチしていたと思います。
 そして指揮者のカルロ・モンタナーロ氏のバルトロさんへの名ツッコミが、この演目で最も笑えた部分です。


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barbar1204.jpg 座席は数年ぶりのS席。
 1階19列目です。

 オークションで駆け込みでゲットしまして、3割以上安くなりました♪

 しかし公演日に間に合うように届くのかハラハラものでしたんで、チケットはある程度余裕をもって手配したいものですね。


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ジョアキーノ・ロッシーニ/全2幕
【イタリア語上演/字幕付】

【指揮】カルロ・モンタナーロ
【演出】ヨーゼフ・E ケップリンガー
【美術・衣裳】ハイドルン・シュメルツァー
【照明】八木麻紀

【アルマヴィーヴァ伯爵】ルシアノ・ボテリョ
【ロジーナ】ロクサーナ・コンスタンティネスク
【バルトロ】ブルーノ・プラティコ
【フィガロ】ダリボール・イェニス
【ドン・バジリオ】妻屋秀和
【ベルタ】与田朝子
【フィオレッロ】桝 貴志

【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団

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コメント 2

Basilio

つぶやきもしましたが、プラティコに支えられた公演でしたね^^難曲のアリアも絶好調で大笑いさせてもらいましたし、指揮者の突っ込みへの対応やら時たま交える日本語やらひたすらおもしろいww何より出てきただけでおもしろい、というのは、ブッフォ・バスにとって一番の才能ですよね。

イェニスはロドリーゴの時とは打って変わった陽気なお兄ちゃんっぷりで、こちらも楽しみましたが、そろそろこの役には重いような。というかロドリーゴをやった時よりもずっと声の東欧っぽさが気になりました。音色的にもっと暗くてドラマティックな方が似合っているのかもしれません。

コンスタンティネスクは思わぬ拾いもの、妻屋は相変わらずの仕事人、ボテリョと指揮はいまひとつふたつみっつというところ。
今回が演出の勝利だったというのは言わずもがなですが、個人的な趣味から行くと、ちょっと舞台上でいろいろ起こり過ぎてうるさいような気もしてしまいました^^;
by Basilio (2012-12-17 23:28) 

しま

■Basilioさん
こちらでのお返事が遅くなってすみません。

>何より出てきただけでおもしろい
本当に。

>イェニスはロドリーゴの時とは打って変わった
>音色的にもっと暗くてドラマティックな方が似合っている
私は残念ながらロドリーゴは見てないんですが、確かにそっちのほうが良いかも。
ヴェルディ似合ってそうですもんね♪

>ちょっと舞台上でいろいろ起こり過ぎてうるさい
そういう一面もありましたよね。
オペラ初心者さんには良いと思いました。音楽だけだとちょっと冗長で退屈だから・・(すみません。基本的にロッシーニは苦手なもんでww)

by しま (2012-12-25 11:45) 

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