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弁者に萌えろ デイヴィッド・マクヴィカー演出《魔笛》/Royal Opera House 1 [アレンの実演鑑賞記]

200802flute1.jpg 歌手レポが済みましたので、いよいよマクヴィカーの演出についての感想と参りましょう。08年2月のロイヤル・オペラハウス《魔笛》です。

 演出の仕事の本質とは、とにもかくにも「台本の解釈」であると、どこかのサイトで読みました。「歌」が主役のオペラの場合は、「台本+スコアの解釈」となるわけですね。あ、なるほどナ~と思った次第。

 私、今までは、「演出の仕事はとにもかくにも“絵”を作り出すこと」だと(浅はかにも)思っていて、まぁそれはその通りなんでしょうけど、それが音楽と直結した作業とは全く気づいていなかったのであります。ゆえに、「“絵”なんて付け足しサ!」なんて軽く見ていた節があったかも。

 センスの良い演出は、音楽と渾然一体となった素晴らしい“絵”を見せてくれるばかりか、時には音楽の持つ可能性を広げて新たな世界を創造してしまうこともあるのよね。

 で、マクヴィカーの《魔笛》なんですけれども、これはねー、さりげない風を装っていますが、なかなかにウィットに富んだ寓話ではないかと。

 《魔笛》のストーリーは「難解」とか言われますけど、要するに、プロットづくりが下手くそでメチャクチャなだけなと思うのね。現代人の合理的な頭でテーマを読み解こうとするのがそもそもの間違いなんじゃないでしょうか。

 最初から「意味なんてねーよ」と思って見るほうがいい。カーチェイスとかラブシーンとか、ウケそうな要素を盛り込んだだけの、B級ハリウッド映画ですわ。

 とはいえ、モーツァルトですからね。音楽のレベルはメチャクチャ高いわけで、せっかく上演するならそれなりに質の高いエンタテイメントに仕立てなければなりません。「ワケワカラン」なシーンでも、それなりに深い意味があるってしてくれたほうが、現代の我々にとっては楽しいのです。

 そこが演出家の腕の見せドコロ。

 長短の柱は乱立してるけど、屋根を支える大黒柱の見当たらない、そもそも「屋根だってあるかどうかわからない」ようなストーリーに、それなりのテーマ(柱の代わりに、天から屋根を吊るすロープのようなもの?)を与えてやるのが、《魔笛》における演出家のお仕事なんだと思います。

 ケネス・ブラナーも映画《魔笛》でそれをやっていましたよね。彼のテーマ設定はとてもわかりやすいものでした。わかりやすすぎて、ビミョーにうんざりしたんですけど。(でも作品としては好きよ♪)

 マクヴィカーも一つ、テーマ(コンセプトとは違いますよね?)を設定しているようです。
 こちらも単純なものですが、示し方はブラナーよりも捻りがあります。

allen-speaker1.jpg テーマを読み解く鍵はあちこちに散りばめられてあるんですが、最も重要なヒントを与えてくれるのが弁者のキャラクター設定である、と。

 え? なに?

 どーせ、


アレンの弁者が素敵なのー(人´∀`).☆.。.:*・゚


 って、萌え語りしたいだけダロ!! って?





当たり前じゃないですか!





 弁者の扱いを主眼に置きつつ、私なりに読み取った「テーマ」をまとめてみます。が、どこをどー探しても今回の弁者の画像がみつからないので(そりゃそうだね)、5年前の同演出のDVDから拝借することにします。キャストが若干違うのはご容赦を。


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タグ:魔笛 ROH

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