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《青ひげ公の城》 バルトーク/パリ国立オペラ来日公演2 [オペラ実演レポ]

paris aohige1.jpg さて。
 後半の《青ひげ公の城》の演出も、《消えた男の日記》と同じく、演劇集団ラ・フラ・デルス・バウスのものです。
 こちらは映像の妙技という側面ではたいへん興味深くまさに「アイディアの勝利」といったところ。

 が、演劇という“現象”そのものに愛着を持っている方ならともかく、歌手の個性にのみ興味を持つタイプのオペラファンの私にとっては、そもそものコンセプトからして方向性のズレた演出。

「ショー」としては最高に満足したけれども、あれは「オペラ」ではなかったな、というのが本音です。

 趣向としてはこの上なく面白いのですよ。

 本当に、どうやっているのかわからないんですが、大掛かりな装置を使うわけではなく、ほぼ空っぽの舞台空間いっぱいに豪華な建物の内部や歌手のアップの映像を次々と映し出していくのです。舞台空間そのものをスクリーンにしたり、透けたスクリーンを幾重にも垂らしてその隙間に歌手を立たせたり、様々な仕掛けを繰り出しますので、全く飽きることはありません。

 映像は単なる背景ではなく、むしろ主役。今の今まで生身の歌手を眺めていると思ったら、いつのまにか映像にすり替わっている。映画などではアニメーションと実写映像をうまく合成した作品がありますが、この《青ひげ》の舞台効果(演出とは呼びたくない)は二次元と三次元を見事に融合させた画期的なものでした。

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