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アレンのパングロス博士 -- 《キャンディード》04年NY (11/1 加筆再掲) [アレンのミュージカル]

 レナード・バーンスタインの《キャンディード》。原作は18世紀の啓蒙思想家ヴォルテールによる小説、『カンディード或は楽天主義説』です。

 風刺に満ちた悪漢小説で、冒頭で問題提起される格言は、「この最善なる可能世界においては、あらゆる物事はみな最善である」(The Best of all possible world)というもの。

 主人公の天真爛漫な青年キャンディードは、家庭教師のパングロス博士からこの思想を徹底的に叩き込まれ、メチャクチャに破綻した冒険の道程にあっても(例え恋人が殺されたと知らされても)、「全ては“ベスト”な方向に導かれているんだ!!」と自分に信じ込ませようと努力します。

 こんなふうに解説すると小難しく感じますが、ミュージカルに移し替えるとこんなに楽しいシーンになります。
 題して、パングロス博士の“プライベート・レッスン”

 パケットのお尻を追いかけ回して、
「授業は終わり。マドモアゼル・パケットは“物理”の補習で残りなサイ。ほれ、行った行った!」
 と、キャンディードたちを追い払うアレンじーちゃんがお茶目。

 そして、“実験物理学”にハゲみます。
candide2004 physics.jpg
 エロの中にもエレガンス。
 こういう「枯れてない」じじい役、アレンってぴったりだと思うんですケド。
 (でもチョット、腰がつらそう・・・w) 


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《サロメ》@ロイヤルオペラ・コヴェントガーデン [オペラ録音・映像鑑賞記]

salome-ROH.jpg 今年2月に英国ロイヤル・オペラ(ROH)に初お目見えとなった、デイヴィッド・マクヴィカー演出の《サロメ》が、早くもDVDになっています。

 他にも映像化してもらいたい演目があるのに(ジョナサン・ミラー演出の“コジ”とか。当然アレンが出てるヤツでお願いしますw)。よっぽど話題になったんでしょうかネ。

 まだ日本語字幕版がないのですが、技術協力として、お馴染みのOpus Arteと並んでNHKの名前もあります。日本国内のTV放送で視聴できる機会も、案外近いのかもしれません。

 幸運なことに、この演出の《サロメ》はROHにて鑑賞することができました。その時のレポと感想はこちらにあります。

 私がマクヴィカーという演出家を好きになった記念すべき舞台なのでして、また、ヨカナーン役のミヒャエル・ヴォレのセクシーな野獣っぷりに目が釘付けになった記憶も、いまだ色あせてはおりません。

salome-michaelandvolle.jpg

 自宅で冷静に鑑賞してみると、もちろん良い公演ではあるんですが、さりとてずば抜けて「名演」というわけでもなく、サロメのナディア・ミヒャエルの美しさと演出の秀逸さを楽しむのがメインだな~とは思いますが、私のしょぼいコレクションの中にこのDVDが加わったのは、《サロメ》好きとして大満足です。


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