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フィリップ・ラングリッジが亡くなりました 2010.03.05 [オペラの話題]

LangridgePhilip.jpg 少し出遅れておりますが、久々にネットに繋いだとたんに飛び込んできたニュースです。

 英国人のテノール歌手、フィリップ・ラングリッジが3/5、癌のためロンドンで亡くなりました。享年70歳だったそうです。
(命日に諸説があるようですが、ROHの発表では3/5になっています)

 08年12月のリチャード・ヴァン=アランに続いて、またもやENO《ビリー・バッド》でのアレンの共演者。この人のヴィア艦長もたいへん印象深かったですし、いつか生で歌唱を聴きたいと思っていたのでとてもショッキングでした。

 昨今、英国のクラシック音楽関係者で亡くなった方々は、みなびっくりするほどの若さです。ラングリッジも、ついこないだまで普通にステージに立っていませんでしたか?
 闘病生活は短かったそうですから病が発覚したのはつい最近のことだったのかもしれませんが…。

 訃報を知ったのは、ロイヤルオペラハウスのサイトのプレスリリースから。⇒こちら

 1939年ホークハーストの生まれ。
 音楽家としてのキャリアはオーケストラのヴァイオリニストからスタートしたのだそうです。
 オペラ歌手としての本格的なデビューは、1964年のグラインドボーン《カプリッチョ》でした。

 レパートリーは、クラウディオ・モンテヴェルディから始まって、モーツァルトはもちろんのこと、ラヴェル、ストラヴィンスキー、ヤナーチェク等の現代モノも。ワーグナーの《ラインの黄金》もキャリアの終盤にレパートリーに加えられたとの事です。(ウィキペディアより

 そして、忘れちゃいけない、ベンジャミン・ブリテン。《ビリー・バッド》のヴィア艦長、《ピーター・グライムズ》の題名役、《ねじの回転》のクィント、《ヴェニスに死す》のアッシェンバッハなど。
 ブリテン好きな私としては、ラングリッジは決して決して外しちゃならない大切な歌手。
 ピーター・ピアーズにさらにヒステリックさを加味したような歌唱が、ブリテンの雰囲気によく合っていたと思います。

LangridgePhilip 追悼として、ラングリッジがヴィア艦長を歌ったENO《ビリー・バッド》マンガ編の記事をリンクしておきます。

 ラングリッジの「テノール狂乱」音源もアップしてありますのでお聴きください。

 暇だった頃におフザケで作った楽しいネタなのに、2度までも追悼…寂しいですね。

 さすがに《ビリー・バッド》だけではワンパターンですので、08年Metの《ヘンゼルとグレーテル》で魔女を演じた動画も貼り付けておきましょう。


 魔女なのて、通常はメゾソプラノの役なのですが、テノールが歌うこともあるんですね。ってゆーか、こういうオバさん、普通にいるな…。

 知的で紳士なラングリッジにもこんな一面があるということで、けっこうお気に入りな動画です。

再掲:《ヴォツェック》@新国立劇場11/23 [オペラ実演レポ]

※3/5(金)NHK「芸術劇場」で新国立歌劇場《ヴォツェック》が放送されましたので、再掲します。

◇関連記事リンク◇
バイエルン州立歌劇場の《ヴォツェック》(2008年11月初演)
ピーター・グロソップの《ヴォツェック》@Met in 1974


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(以下、2009/11/23記)
woz1.jpg 18日の公演をご覧になったkeyakiさんのレポによると「演出にブーイングがあった」のだそうです。
 どちらかというと義務感から観に行くことにしていたのですが、ブーイングと聞いたらいきなり好奇心が刺激されました。

 今回も予習ナシのぶっつけ本番。さすがに連日、耳新しい音楽を浴びるのは消耗しますが。
 前日の《カプリッチョ》の余韻にひたる間もなく、23日マチネの公演に行きました。

 《ヴォツェック》なんて……今は亡きご贔屓バリトンのピーター・グロソップが「歌いました」と自伝に書いていたからこそ、その存在を知ったようなもンなのです。そうでなければ興味なんて持たなかったし、今回もわざわざ新国まで足を運ばなかったと思います。

 すべてはグロ様を偲ぶため・・・

 なので、昨年の《リゴレット》の時と同様、「グロ様の声ならこうだったろうな~」とか「この難解な旋律、グロ様はちゃんと暗譜したのかな~」とか、いちいち「グロ様」「グロ様」で。細部まで真面目に鑑賞できたかどうかは甚だ疑問。

 あ、ブーイングはありませんでした。
 本日はカメラが入っており、そのせいかどうかは知りませんが、演出関係の人たちはカーテンコールに姿を現しませんでしたし。

 象徴的な演出でしたが、説明的でもあり、理解はしやすかったと思います。観客のほとんどは私と同じく《ヴォツェック》を観るのは初めてだったのではと想像しますが、日本人はこういうの好きだと思うし、おおむね好意的に受けとめられたのではないでしょうか。

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《ジークフリート》@新国立劇場2/11 -- ワーグナー実演デビュー [オペラ実演レポ]

sik1.jpg あっという間に1ヶ月が経ってしまいましたが、急ぎ記録しておきますと、実はついにワーグナー実演デビューを果たしたのです。

 演目は《ジークフリート》。
 新国立劇場にて。
 2/11(木)、初日でした。

 なんちゃってヴェルディアンにして、「ワーグナーは(長くて集中力が続かないから)苦手です!!」と言い続け、いくつもの公演やイヴェントはことごとくスルー。CDやDVDはブランク先生やアレンのものだけをコレクション目的で渋々購入。

 こんな私がなぜ、一度も音楽を聴いたことがなくストーリーも全く知らない《ジークフリート》を観に行く気になったのかと言えば、まぁいちばんの理由は、行けなくなった6月の《マイスタージンガー》@シンシナティの代償行動なんですけれども、mixiで超超良席超超お得な価格でゲットできたことが直接のきっかけ。

ワーグナーの楽劇で私が全曲制覇したのは《ローエングリン》と《ニュルンベルクのマイスタージンガー》の2作品だけです。こちらは1話完結なのでまだ気が楽ですが、それでも大雑把な楽譜を頭にインプットするのには時間と根気が要りました。

 一方、《ジークフリート》は「ニーベルングの指環」という一大叙事詩の一部分。序夜《ラインの黄金》・第1夜《ワルキューレ》・第2夜《ジークフリート》・第3夜《神々の黄昏》と、通しで演奏するなら4日間をかけるというとんでもない作品です。

 いわゆる「貴種流離譚」「ハイ・ファンタジー」で、秋葉ちっくなオタク臭がプンプンしますし、それも私がワーグナーを敬遠していた要素の一つ。もちろんファンタジーそれ自体は好きなのですが、文学や映画の領域だけで生息してもらいたいという変な思い込みもありました。

 なので、「指環」のストーリーを事前に勉強することもせず、音楽を予習することも全くなし。ぶっつけ本番で臨みました。
 昔は知らない作品をいきなり生鑑賞するのはちょっと怖かったのですが、昨年の《ムツェンスク郡のマクベス夫人》あたりから、このスリリングな鑑賞スタイルが逆に気に入ってしまいました。

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