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夢とロマンの「酒の歌」/14人のイァーゴ [オペラ録音・映像鑑賞記]

oteya.jpg 《オテロ》好き、かつ、最近アンティーク歌手の魅力に目覚めてしまった私の為にあるようなCD、『Otello & Jago』を聴いております。

 最古の録音が1902年!! 最も新しいものが'51年のデル=モナコです。
 デル=モナコは20世紀生まれだし、録音年も新しすぎ(笑) このCDの主役である先生方、19世紀生まれのお歴々と比べますと「お呼びじゃない」って気がしますけれども。

 CDの2枚目の“イァーゴの巻”では、現在もゆるく進行中の「闘牛士の歌聴き比べ」に登場した名歌手たちの名前もあります。

 エスカミーリョではことごとく撃沈したイタリア人バリトンどもも、さすがヴェルディでは本領発揮。良いシゴトをしていますよ。

 更にテンションの上がることに、初演時のオテロとイァーゴだったフランチェスコ・タマーニョヴィクトール・モレルの貴重な録音が、他の歌手と同列に収録されているのです!

 ヴェルディ大先生に愛されたモレルと、あまりのヘタさに居残り練習させられたタマーニョ。エネルギッシュなヴェルディ魂を直接受け継いだ二人の声と歌唱を、晩年のものではありますが、この耳で直接聞くことができるとは。これぞアンティーク演奏を愛でる醍醐味、夢とロマンの極み

 更に更にすごいことには、単に古い音源を集めただけの選集ではないらしい。

 まず、音質がとんでもなくキレイ。レコード特有のあの雑音が極限まで排除され、歌手の声に奥行きが感じられます。例えば、私の持っているルッフォの“クレド”は、このCDに収録されているものが同音源での2つ目、カルーソーとの“神かけて誓う”は同音源での3つ目になりますが、明らかにこのCDの音のほうがクリアです。声の響きの微妙な変化まで聴き取れるので、ファンにとってはたまりません。

 そして、雑音なんかよりもこちらがいちばん大事なんでしょうが、レコードの回転速度によるピッチの上ズレもきちんと補正したとのこと。

 「闘牛士の歌」で私がいちいち気にしていたのもそれ。最高音がどこまで出せたかというのは私にとってはあまり重要ではありませんが、それよりも声の響き、厚みの違和感が大問題です。回転速度が変わっただけで印象が全く違ってしまいますし、いったん違和感に気付くとその歌手が人間からお人形さんに戻ってしまう。

 従来、明るい声でハイ・ピッチに歌われていたと思われていたタマーニョの録音も、実はレコードの回転速度がめちゃくちゃ速かっただけのようです。当時はレコード会社の間で速度の取り決めが為されていなかったため、こんなことが起こるんですね。このCDでは実際に歌ったキーを特定するところから丁寧にリストアされているので、よりタマーニョの肉声を想像しやすく、初演当時に思いを馳せることができるかも。
 
 以下に、ツィッターでちまちま呟いた感想をまとめました。
 とりあえずイァーゴから。普通は1枚目のオテロから聴くんでしょうが・・バリトン贔屓なので順序が逆ですw

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イァーゴ聴き比べもくじ
【酒の歌】アマート, ストラッチャーリ, スタービレ, シュルスヌス
【クレド】ジラルドーニ, アマート, ルッフォ, ガレッフィ, ボルゲーゼ, ダニーゼ
【ある夜のこと】モレル, ジラルドーニ, サンマルコ, バッティスティーニ, ルッフォ, ストラッチャーリ
【大理石のような大空にかけて誓う】アマート, ルッフォ, ストラッチャーリ, フランチ, バシオラ

オテロ聴き比べもくじ
【喜べ!】タマーニョ, デ・ムーロ, オサリヴァン, ザネッリ, ラウリ・ヴォルピ, デル・モナコ/【既に夜も更けた】メルリ&ムツィオ
【清らかな思い出は遠い彼方に】タマーニョ, デ・ネグリ, エスカレ, カレヤ, ヴェッツァーニ, ゼナテッロ, ザネッリ, ラウリ・ヴォルピ, マルティネッリ
【主よ!あなたは私の頭上に】エスカレ, ザネッリ, ペルティレ

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