真夏の夜のオペラ ガラコンサート8/8 @アミューたちかわ [コンサート/リサイタル]
行ってきましたので、備忘録。
目当ては、おなじみのテノールの望月哲也さんと、メゾ・ソプラノの清水華澄さん。お二人はもとより、他の出演者の方々もみなさんとても良かったのですが、今回特に心に残っているのは、ピアノの河原忠之さんです。
ピアノ一本でオペラのオケ伴の醍醐味を再現してしまわれる河原さん。(これ、ホントに難しいんですよ!)以前にも望月氏のリサイタルでも体験していて(他にもあったのかもしれませんが)、その時も「上手だなぁ」「素晴らしいなぁ」と思ったものですが、今回は特にそれを意識させられました。
最も心に残っているのは、《ドン・カルロ》の“友情の二重唱” の伴奏。中盤、ドン・カルロが教会にやって来た父王とエリザベッタを見て身を震わせるところ。
このシーンはもう何度も、何種類もの録音や映像で聴き慣れていて、まぁ特に注目(耳)したこともないんですが、今日の河原さんの伴奏を聴いていて、「あっ」と思った。
たった今、カルロとロドリーゴの目の前を、フィリッポ2世とその妃が通り過ぎて行ったんだ……!
はっきりとその光景が“見えた” んですね。
正直、今まで聴いたオーケストラ伴奏で、そこまでの臨場感を味わったことはありません。
たぶん「録音だから」というのもあるでしょう。どんな名演でも「録音」では音楽の立体感は多少損なわれると思いますし。
また、映像鑑賞の場合は、視覚に頼るところも大きいですから、純粋に演奏のみからその情景を汲み取ろうなんて、あまりしていないと思いますし。
何の飾りもないシンプルなステージにグランドピアノが1台きり。歌う望月氏も、バリトンの森口賢二氏も(お二人とも演技達者でいらっしゃいますが)、普通のタキシード姿です。
視覚的にも音楽的にもとてもシンプルなパフォーマンス。しかし、オーケストラ伴奏付きの本格的なオペラ上演に匹敵する――むしろ、それを凌ぐほどの――説得力を感じられたのは、名人河原さんの力だと思いました。
もちろん、歌もよかったですよ。
個人的には、中井亮一さんの《セビリアの理髪師》の大アリアが聴けたのがよかったし、《イル・トロヴァトーレ》の三重唱、“静かな夜だ!” は興奮しました。
私のお気に入りの望月哲也さんの、ドン・カルロもよかったです。やはりこの方は、姿といい歌唱といい、存在感がありますね。そしてヴェルディもちゃんとハマるんだ!ということがわかって満足です。
清水華澄さんの声もあいかわらず素晴らしい。日中共同制作、コンサート形式の新国《アイーダ》ではアムネリスでしたね。ぜひ聴きに行きたかったのですが仕事で都合がつかず、本当に残念でした。
その他、《カルメン》を除けばすべてイタリアオペラからの選曲…というのが、そもそも私好みで満足しました。
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第一部
《椿姫》より“乾杯の歌” -- 全員
《オテロ》より“イヤーゴの信条” -- 森口賢二
《セビリアの理髪師》より
“本当に私なの?” -- 高橋薫子/牧野正人
“今の歌声は” -- 高橋薫子
“ああなんたる衝撃~静かに静かに” -- 高橋薫子/中井亮一/牧野正人
“もう逆らうのはやめよ” -- 中井亮一
《カルメン》より“あんたね? 俺だ!” -- 清水華澄/村上敏明
第ニ部
《ドン・カルロ》より“二人の胸に友情を” -- 望月哲也/森口賢二
《ボエーム》より“冷たい手” -- 村上敏明
《アドリアーナ・ルクヴルール》より
“私は芸術の僕” -- 砂川涼子
“優しい母の面影を” -- 望月哲也
“モノローグが始まる” -- 牧野正人
“苦い喜び、甘い苦しみ” -- 清水華澄
《トロヴァトーレ》より“静かな夜だ” -- 砂川涼子/村上敏明/森口賢二
アンコール:“オー・ソレ・ミオ”
ピアノ伴奏:河原忠之
目当ては、おなじみのテノールの望月哲也さんと、メゾ・ソプラノの清水華澄さん。お二人はもとより、他の出演者の方々もみなさんとても良かったのですが、今回特に心に残っているのは、ピアノの河原忠之さんです。
ピアノ一本でオペラのオケ伴の醍醐味を再現してしまわれる河原さん。(これ、ホントに難しいんですよ!)以前にも望月氏のリサイタルでも体験していて(他にもあったのかもしれませんが)、その時も「上手だなぁ」「素晴らしいなぁ」と思ったものですが、今回は特にそれを意識させられました。
最も心に残っているのは、《ドン・カルロ》の“友情の二重唱” の伴奏。中盤、ドン・カルロが教会にやって来た父王とエリザベッタを見て身を震わせるところ。
このシーンはもう何度も、何種類もの録音や映像で聴き慣れていて、まぁ特に注目(耳)したこともないんですが、今日の河原さんの伴奏を聴いていて、「あっ」と思った。
たった今、カルロとロドリーゴの目の前を、フィリッポ2世とその妃が通り過ぎて行ったんだ……!
はっきりとその光景が“見えた” んですね。
正直、今まで聴いたオーケストラ伴奏で、そこまでの臨場感を味わったことはありません。
たぶん「録音だから」というのもあるでしょう。どんな名演でも「録音」では音楽の立体感は多少損なわれると思いますし。
また、映像鑑賞の場合は、視覚に頼るところも大きいですから、純粋に演奏のみからその情景を汲み取ろうなんて、あまりしていないと思いますし。
何の飾りもないシンプルなステージにグランドピアノが1台きり。歌う望月氏も、バリトンの森口賢二氏も(お二人とも演技達者でいらっしゃいますが)、普通のタキシード姿です。
視覚的にも音楽的にもとてもシンプルなパフォーマンス。しかし、オーケストラ伴奏付きの本格的なオペラ上演に匹敵する――むしろ、それを凌ぐほどの――説得力を感じられたのは、名人河原さんの力だと思いました。
もちろん、歌もよかったですよ。
個人的には、中井亮一さんの《セビリアの理髪師》の大アリアが聴けたのがよかったし、《イル・トロヴァトーレ》の三重唱、“静かな夜だ!” は興奮しました。
私のお気に入りの望月哲也さんの、ドン・カルロもよかったです。やはりこの方は、姿といい歌唱といい、存在感がありますね。そしてヴェルディもちゃんとハマるんだ!ということがわかって満足です。
清水華澄さんの声もあいかわらず素晴らしい。日中共同制作、コンサート形式の新国《アイーダ》ではアムネリスでしたね。ぜひ聴きに行きたかったのですが仕事で都合がつかず、本当に残念でした。
その他、《カルメン》を除けばすべてイタリアオペラからの選曲…というのが、そもそも私好みで満足しました。
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第一部
《椿姫》より“乾杯の歌” -- 全員
《オテロ》より“イヤーゴの信条” -- 森口賢二
《セビリアの理髪師》より
“本当に私なの?” -- 高橋薫子/牧野正人
“今の歌声は” -- 高橋薫子
“ああなんたる衝撃~静かに静かに” -- 高橋薫子/中井亮一/牧野正人
“もう逆らうのはやめよ” -- 中井亮一
《カルメン》より“あんたね? 俺だ!” -- 清水華澄/村上敏明
第ニ部
《ドン・カルロ》より“二人の胸に友情を” -- 望月哲也/森口賢二
《ボエーム》より“冷たい手” -- 村上敏明
《アドリアーナ・ルクヴルール》より
“私は芸術の僕” -- 砂川涼子
“優しい母の面影を” -- 望月哲也
“モノローグが始まる” -- 牧野正人
“苦い喜び、甘い苦しみ” -- 清水華澄
《トロヴァトーレ》より“静かな夜だ” -- 砂川涼子/村上敏明/森口賢二
アンコール:“オー・ソレ・ミオ”
ピアノ伴奏:河原忠之