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ジョン・ヴィッカーズの『ピーター・グライムズ』 with アレン [アレンの録音・映像鑑賞記]

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 ブリテンの出世作。
 アレンが医者薬屋役(※03/15訂正)を歌っているので聴きましたが、語るべきは一にも二にもタイトルロールのジョン・ウ゛ィッカーズのようです。

 ピーター・ピアースの録音を聴いてもいないのにこう言い切るのもなんですが、ピーター・グライムズはまさにウ゛ィッカーズのためにあるような役だと。
 ウ゛ィッカーズの歌唱は激しく、不安定で痛々しい。ウ゛ィッカーズの“血まみれの叫び”が、他者も己も破壊せずには生きられない男の魂のありさまを丸裸にしてみせていると思います。

 ブリテンのような現代オペラでなくとも、基本的にこの人の歌唱スタイルは同じなようです。ワーグナーで成功を収めたそうで、ワタシは全く未聴ですが、彼の声の力強さが男性的な楽曲にぴったりハマっているのでしょう。

 が、いかんせん、ウ゛ィッカーズの声って(もちろん良い意味で)汚れている。そして、苦悩が深すぎる。
 英雄として天高く飛翔するより、けがれた人間として地べたに這いつくばっていて欲しいと、個人的には思います。
 人の醜さや下劣さを赤裸々に表現することもまた、存在という“美”への圧倒的な賛美となりますから。

 ヴィッカーズがグライムズを演じているDVDもあるそうで、是非手に入れたいところです。




*ヴィッカーズの歌唱に感激して三十一文字。
 血に染むる衣(きぬ)を引き裂くごとく我れここに有り疾く死なせたまへや





 ちなみに、アレンによるブリテン作品には『ビリー・バッド』DVD、『戦争レクイエム』、歌曲集などけっこうあります。……と、最後にヴィッカーズのグッド・パフォーマンスに対抗してコメントしてみる。

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『Peter Grimes』 Benjamin Britten

Chorus and Orchestra of the Royal Opera House
Sir Colin Davis

Peter Grimes: Jon Vickers
Ellen Orford: Heather Harper
Captain Balstrode: Jonathan Summers
Auntie: Elizabeth Bainbridge
First Niece: Teresa Cahill
Second Niece: Anne Pashley
Bob Boles: John Dobson
Swallow: Forbes Robinson
Mrs Sedley; Patricia Payne
Rev. Horace Adams: John Lanigan
Ned Keene: Thomas Allen
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コメント 4

いちこ

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ふ~んやっぱり「汚れ」て「下劣」なのがいいのね…10年変わらずに・・・。短歌も書いてるね~♪
by いちこ (2007-03-05 05:23) 

しま

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うん、まぁ……この場合は「言葉のアヤ」なんだけどね(笑)
ウ゛ィッカーズの壮絶な歌唱が好きです。
by しま (2007-03-05 07:25) 

ウタコ

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久しぶりにオペラで感激。ブリテン、スゴス。
DVD買うべし。
by ウタコ (2007-03-06 00:19) 

しま

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買ったともさ、DVD。
ついでにアレンがボルストロード船長歌ってるハイティンク盤も購入。
聴いとけよ~ジョナサン・サマーズ!
これが正しい(?)“Goodbye Peter”じゃ!(`・ω・´) シャキーン
by しま (2007-03-06 00:37) 

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