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『炎の天使』/プロコフィエフ [オペラ録音・映像鑑賞記]

angel
 減七・長七・短三長七……、不協和音が大好きです。
 最近、とみに↑への志向が高まり、とにかく「二十世紀らしいアヴァンギャルドなオペラを聴きたい」と、プロコフィエフの『炎の天使』(←なんだか“ラノベ”みたいなタイトルだな)を購入。
 久しぶりに店頭で買いました。タワレコは23:00まで開いてるから助かります。

 なにしろ初めての演目なんで。「オカルトものらしい」「エロいらしい」というコト以外は殆ど予備知識もなく(あらすじはこちら)。
 ゲルギエフ盤もあったんですが、高かったのと、歌手陣が全員知らない名前ばかりだったので、ヤルヴィ盤にしときました。いや、ヤルヴィという指揮者も知らないんですが、クルト・モルとブリン・ターフェルの名前があったもので。まぁその……モルもターフェルも数回耳にしたことがある程度ですが、白紙状態で聴くより安心じゃないですかヽ(`Д´)ノ

 でもそんな心配には及ばず。イッちゃった感のあるヒロインを歌うナディーヌ・セクンデ、さほどエキセントリックではなく、音程も明瞭なので聴きやすいです。
 ヒロインに翻弄される騎士ルプレヒトはバリトン、ジークフリート・ローレンツ。これがまた、妙にテンションが高くて味がある。ヒロインにベタ惚れして迫りますが、全然セクシーじゃなくて、というか、楽しそうでウケました。やっぱ『タイス』のアタナエルのようにはいかん。

 ターフェルはルプレヒトの友人役で、出番はちょっと少ないですが、これまで抱いていた印象とは違って大変繊細に聴こえました。こんな歌い方をする人だったのか……。

 さて楽曲のほうはと言えば、ワタシ好みの不協和音満載で大満足……ではあるんですが、さほどグロテスクには感じません。どちらかというと、カッコ良さのほうが先に立つとでも言いますか。そういう演奏なんでしょうか。ローレンツの歌唱にウケてしまったからでしょうか。この録音しか聴いていないのでわかりません。

 異端審問官のモルが出てきて悪魔祓いをする部分など、修道女たちの不吉なコーラスがかなりキモチワルイ効果をあげていると思うのですけれども。嫌悪感に浸りたくて聴いている身には、いまひとつ物足りない感じがします。

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The Fiery Angel/Serge Prokofiev

Neeme Jarvi, Gothenburg Symphony Orchestra

Ruprecht: Siegfried Lorenz
Renata: Nadine Secunde
Landlady: Rosemarie Lang
Fortune-Teller: Ruthild Engert-Ely
Agrippa von Nettesheim: Heinz Zednik
Johan Faust: Petteri Salomaa
Inquistor: Kurt Moll
Jacob Glock: Gosta Zachrisson
Mathias Wissmann: Bryn Terfel
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K16

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ネーメ・ヤルヴィ、割と好きな指揮者です。オペラは聴いた事がないので、評価はできないのですが・・・ちょっと探して聴いてみたいとですね。
ちなみに、今日の札響の定期演奏会は、息子のクリスチャン・ヤルヴィ
の指揮による北欧レパートリーの回でした。偶然の符合でしょうが、ビックリです。
by K16 (2007-03-25 03:23) 

しま

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ヤルヴィ、探してみたら家にもう一枚ありました。ボロディンの『中央アジアの~』『だったん人の踊り』とかが入っているヤツ。さらっと聴いてみたんですが、この人の指揮の特徴がいまひとつつかめません;;;
大昔(小学生くらい?)に聴いた『だったん人~』は――レコードだったし、その録音の指揮者が誰だったかも覚えていないんですが――もっと激しくハジけていたな~と思ったりもしますが。
ヤルヴィの指揮について、K16さんの印象を語っていただけるとありがたいな~。

ゲルギエフ盤も買いたくなってしまいましたよ。唯一出ている映像(←これはネットでは評判いい)もゲルギエフらしいし。
by しま (2007-03-25 15:47) 

K16

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う~ん、いざ印象を言葉にするとなると難しいですね。しまさんが悩むのも納得であります(笑)。

比較的速めのテンポで、うねり&強弱を強調しているように思います。構成力を感じさせる一方で、サラッと流しすぎているように思えて、時に物足りなく感じる時があります(情緒は二の次的な発想?)。でも、総評としては「知的」な指揮者という印象です。この人の指揮で「ある曲」を初めて聴いた場合、当分の間、スタンダードとして捉えられる演奏はする人です。

あとは知名度が必ずしも高くない作曲家の録音が好きなのかなと。おかげで
マイナーな曲も聴けるわけで、随分と恩恵を被りました。カリンニコフは、この人の演奏で初めて聴いて好きになりましたし。

ただし、この人、たま~にアレ?と首を傾げるような箇所があるんですよね。オチ(?)を忘れない点では、紛れも無いエンターテイナーであります(笑)。
by K16 (2007-03-25 23:16) 

しま

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ありがとうございます。すごく腑に落ちました。
ゲルギエフ盤、購入決定!!(`・ω・´)
決して嫌いな演奏ではないんですが、自身がアクの強い性格&感情的な人間なもので、いい意味で歪んだ個性を発揮した演奏に惹かれるようです。
by しま (2007-03-26 00:08) 

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