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能《隅田川》と教会オペラ《カーリュー・リヴァー》@東京藝術大学奏楽堂 10/28 [オペラ実演レポ]

sumidagawa.jpg ベンジャミン・ブリテンの《カーリュー・リヴァー》と、その元となった能《隅田川》の二本立て公演ということで、行ってきました。この二つを並べて鑑賞するのも、ブリテンを好きになってからの夢でありました。

 今年の夏にロンドンのクライスト・チャーチ・スピタルフィールズと、《カーリュー・リヴァー》の初演地であるサフォーク州オーフォードの聖バーソロミュー教会で公演を行ったのだそうです。
 教会で上演される能、どんな感じだったんでしょうね。

 私は東京藝術大学の奏楽堂、1階席で鑑賞しました。(今回は座席写真なし)
 またもや簡単な備忘録で申し訳ありませんが、感想を備忘録っておきます。

能《隅田川》
『隅田川』は学生時代にテキストを読ませられたような気もしますが、講義の内容など全くもって覚えておりません!(←学費のムダ)

 とはいえ、目の前で演じられるとそれなりに感慨を受けるものです。能は観念的な舞台芸術で、鑑賞する側の感受性に頼る部分が大きいんでしょうね。若い頃より今のほうが興味深く鑑賞できたのはそのせいかも。

 能の題材って、現代で言うところの「ホラー」ですね。本来は狂女の魂の救済のストーリーで泣かなきゃいけないんだと思いますが、なにしろ現代人の私ですので、クライマックスで子ども(梅若丸ですか)の声が「な~む~あ~み~だ~ぶ~つ~~~~~」と聞こえてきたところで、
 ギャー怖いっ!!
 と肝を冷やしておりました。

教会オペラ《カーリュー・リヴァー》
 いやはや、狂女役のテノール、鈴木准が素晴らしかった!

 狂女はやはりピアーズのあのナヨっとした歌唱がやっぱりいちばんしっくりくるなぁと思っていたんですが、正直、日本人でこんなに狂女がハマるテノールがいらっしゃろうとは思いませんでした。

 声量もあるし、透明感のある美声には惚れ惚れさせられたし、何よりもすごかったのは、あのイっちゃった感ですね。可哀想にと思うのと同時に、ゾッとさせられるんですね。
(後から聞いたところによりますと、鈴木准さんのご専門はブリテンなのだそうです)

 とはいえ、ゴミの山を積み上げたようなあの演出は何なのか。まったくもって意味がわかりません。ブリテンの音楽が台無しです。
 あんな不愉快なものを見せられるくらいなら、ステージに照明以外何もないほうがマシです。というか、そのほうが能っぽくて良いかも。

 演出のデイヴィッド・エドサーズ氏。来年はロイヤル・フェスティバル・ホールで《ワルキューレ》だそうですが、舞台はゴミ屋敷ってことにはならないでしょうね?


 ちなみに。
 われらがサー・トーマス・アレンも《カーリュー・リヴァー》のCDがございます。
 ネヴィル・マリナー盤。渡守の役です。


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【能「隅田川」】※重要無形文化財総合指定保持者
シ テ(狂 女):関根 知孝(※ 東京藝術大学音楽学部邦楽科教授)
ワ キ(渡 守):宝生 閑(下掛宝生流十二世宗家・人間国宝)
ワキツレ(旅人):野口 能弘
子 方(梅若丸):藤波 重光
笛 :藤田 貴寛
小鼓:曽和 正博(※ 邦楽科非常勤講師)
大鼓:國川 純(※ 邦楽科非常勤講師)
後見:武田 尚浩(※)・藤波 重彦(※ 邦楽科非常勤講師)
地謡:岡 久廣(※ 邦楽科非常勤講師)・津田 和忠(※)
   浅見 重好(※)・野村 昌司・清水 義也・坂口 貴信

        ◇

【ブリテン:教会オペラ《カーリュー・リヴァー》】
狂 女(T.)  :鈴木 准(東京藝術大学音楽博士)
渡 守(Br.) :福島 明也(声楽科教授)
旅 人(Br.) :多田羅 迪夫(声楽科教授)
修道院長(Bs.):伊藤 純(声楽科非常勤講師)
霊の声(Boy soprano):東京少年少女合唱隊員
合唱・演奏:東京藝術大学《カーリュー・リヴァー》アンサンブル
 T. 吉田 志門・大平 倍大・齊藤 義雄/ Br. 川田 直輝・栗原 峻希
 Bs. 田中 夕也・中山 晃・麓 旺二郎(以上音楽学部声楽科学生)
 Fl. 窪田 恵美/ Hr. 溝根 伸吾/ Va. 伊藤 慧/ Cb. 片岡 夢児
 Perc. 牧野 美沙(以上大学院器楽専攻学生)
 Hp. 景山 梨乃(音楽学部器楽科学生)

■指 揮:ドミニク・ウィーラー    Dominic Wheeler
■演 出:デイヴィッド・エドワーズ  David Edwards
■美術・衣裳:コリン・メイズ   Colin Mayes


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コメント 1

履歴書の封筒

とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。
by 履歴書の封筒 (2013-02-24 13:25) 

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