《ローエングリン》@新国立劇場 6/13 -- フォークト! フォークト! そして伝令 [オペラ実演レポ]
《ローエングリン》の1文あらすじ。
無実の罪をきせられたエルザ姫は、突然現れた白鳥の騎士に「決して名前を問わぬ」ことを条件に窮地を救われ、愛し合うも、魔女に唆されて騎士の名前を尋ねてしまい、騎士の愛と庇護を失う話。
とにかく目当てはクラウス・フロリアン・フォークトです。
フォークト! フォークト!
演奏の良し悪しや歌のテクニック云々より、歌手の「声」そのものに興味のある私にとって、フォークトさえ聴けるのなら、苦手な作曲家だろうがその中でも特に苦手な演目だろうが(たぶんそうだと思う)関係ない。
苦手といいつつ、演奏を聴いていて鳥肌が立ったポイントは2つあって、1つ目は1幕への前奏曲。2つ目がフォークトの登場の第一声で、あれを聴いた瞬間に、オケも他の歌手も作品の好き嫌いも拘束時間5時間の恐怖も消えてなくなってしまいました。
神懸りとでも言いましょうか。あの透明感、清らかさ、曲がることのない光のように、真っ直ぐに響く力強さ。これが人間であってよいものか。「天上の声」とはこのことだ。
その清らかな美声の、なんと残酷であったこと……。
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今回の座席は3階右側のバルコニー。前から10列目。
見切れなし。オペラグラスがあれば歌手の表情も余裕で観察可能。
バルコニー席は何度か経験していますが、正面を向いた席であればストレスはほとんど無いですね。左右に人も少ないので、誰かが通るたびに立ち上がって…という煩わしさもあまりないし。
絶対数が少ないのですぐに埋まっちゃいますけど、S席やA席を買うほどではないけどきちんと舞台も見たい時には狙いたい席です。
閑話休題。
フォークトだけでじゅうぶん元がとれた公演でしたが、もうひとつ私だけのお楽しみポイントがありまして、それが「王の伝令」。
何を隠そう、もっか溺愛中のライオンさんの初舞台がこの役だったということなので。
「そーかそーか、ライオンくんもこうやって出てきて歌ったんか」
「なるほど、大声じゃなきゃいけない役なんだな。なにしろ“呼び出し”だもんな。ライオンくんにピッタリだ」
「くうぅぅ…ライオンくんもこーやってカーテン・コールに…(´;ω;`)ブワッ」
…と、あやしく盛り上がっていたんですね。(←ビョーキ)
CDで聴いていた時には1幕以外には出ないと思い込んでいたし、脇役ながらこんなにオイシイ役とは知りませなんだ。まさか“呼び出し” ていたとは。衣装もかわいかったし。
一応、テルラムントにも注目はしていたんですけどね。なんか普通の悪役って感じで、あまり気持ちが入っていかなかった。
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[New Production]
Richard Wagner : Lohengrin
リヒャルト・ワーグナー/全3幕
【ドイツ語上演/字幕付】
【指 揮】ペーター・シュナイダー
【演 出】マティアス・フォン・シュテークマン
【美術・衣裳】ロザリエ
【照 明】グイド・ペツォルト
【ハインリヒ国王】ギュンター・グロイスベック
【ローエングリン】クラウス・フロリアン・フォークト
【エルザ・フォン・ブラバント】リカルダ・メルベート
【フリードリヒ・フォン・テルラムント】ゲルト・グロホフスキー
【オルトルート】スサネ・レースマーク
【王の伝令】萩原 潤
【4人のブラバントの貴族】大槻孝志/羽山晃生/小林由樹/長谷川 顯
【合 唱】新国立劇場合唱団
【管弦楽】東京フィルハーモニー交響楽団
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■バイロイト《マイスタージンガー》完聴! -- ミヒャエル・フォレのベックメッサー
ほとんど言及していませんが…;; 初フォークトは08年のこれでした。
2012-06-20 22:10
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伝令さんの衣装可愛かったですね。マントの脇に剣が2本、帽子が謎でしたが・・。
フォークトさまの声に尽きるプロダクションでしたが、他のキャストもよかったような。
>なんか普通の悪役ってかんじ
そうですね、オルトルートは、ガツンと一発!みたいなアクの強さが声でも表現できたらもっとよかったのに・・と思いましたし、テルラムントは、オルトルートにそそのかされてるカカア殿下の夫なので、ちょいとばかしヘタレでもあれはあれでありかなとは思いますしたが、もう少し個性が欲しかったかな。
うふふ・・しまさん、ワーグナー苦手だったんですね。
by starycat (2012-06-24 11:03)
■straycatさん
伝令さんは良うございました!二刀流ってことで、ムサシですかね!
実はレースマークも楽しみにしていた歌手なのです。
《カルメル会修道女の対話》のDVDでマリー役を歌っている人で、とても存在感があったのです。
ええと、私のワーグナー苦手意識は筋金入りです。そのワリには頑張っていますでしょ?(笑)
by しま (2012-06-29 01:43)