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グロソップ×ウ゛ィッカーズの『オテロ』/ヴェルディ:2 [オペラ録音・映像鑑賞記]

 土日はグロソップ×ボリス・クリストフ×カバリエの『エルナーニ』を繰り返し聴いていました。その後にまた『オテロ』を聴き直すと、楽曲のあまりの違いに驚き呆れてしまいます。
 これが同じ作曲家の筆によるものかと疑いたくなるくらい、ウ゛ェルディ後期の作品群は垢抜けていますね。

 先の感想で「ウ゛ェルディの感性は大ざっぱ」と書きましたけれども、それは天才モーツァルトのキャラクター造形の的確さや後輩プッチーニの心情描写の繊細さに比べてのこと。『オテロ』は、本家の戯曲よりもドラマのスケールがいくらか小さくなっていることですし、その分、音楽に「心理劇」と呼べるだけの要素が凝縮されているようです。

 ウ゛ェルディのオペラはウ゛ェリズモではないんだけれども、後期作品のアリアからは技巧を誇示する音符はほぼ消え失せ、感情をストレートに押し出す力強い旋律が主になってきます。やはりウ゛ェリズモ的であるわけで、そこにウ゛ィッカーズのような“ストリップ歌手”がオテロを歌う意義もあるのではないでしょうか。

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