カーセン版《キャンディード》@ENO -- 演出についての覚書き [オペラの話題]
11月23日にデンマークのDR P2で放送された、イングリッシュ・ナショナル・オペラ(ENO)の《キャンディード》を聴きました。
演奏会形式ではなく、芝居の入った本格的な上演。連休を利用して徹夜でネットラジオと格闘しましたが、その甲斐は十分にありました。演奏のレベルも満足のいくものでしたし、音だけの鑑賞でもステージの活気が伝わってきて、時にプッと吹いたりしながら、楽しく聴きとおすことができました。
今回のお目当ては、ナレーターでもパングロスでもなく、ちゃんと主役のキャンディード。最近お気に入りの英国人テノールの声を聴きたいがためだったのですが、そちらの感想は後で語ることにして。
その前に。
このプロダクションの一風変わった演出、ロバート・カーセン(写真)のシゴトについて、覚え書き程度にまとめておくことにいたします。
音だけの鑑賞で、実際に舞台を観たわけでもないですし、放送を聴くまでは興味なんて全く持っていなかったんですが。冒頭からセリフがかなりアレンジされていて、気になっていたところ、インターミッションでカーセンのインタビューが流れまして「ナルホド」と思ったコトがあったのです。
ブレアさんやブッシュさんが国旗の柄の海パン姿で登場するシーンが物議をかもして、スカラ座でカットされたとかされないとか、そんな噂はネット上でちらほら聞いてはいたんですが、《キャンディード》という作品を知らなかった当時は何が何やら「???」でした。
またもや現代読替大好きな演出家が暴走したのかー程度に思っていたわけなんですけれども、カーセンの言い分を聞いてみると、けっこう筋が通っているというか、やりたいことは理解できるというか。
最終的な結論を下すのは、映像なり実演なりを自分の目で観てからなんでしょうけど。調べれば調べるほどに面白くてハマってしまいました。
このカーセン版《キャンディード》。パリ・シャトレ座とスカラ座、ENOによる共同制作なんだそうで、プレミエはシャトレ座で06年12月。その後、07年6月にスカラ座で上演され、ロンドンにやってきたのは08年6月でしょうか。
6/23の初日の模様は、実際にご覧になったロンドンの椿姫さんがレポして下さっていますので、そちらをぜひお読みください。
演奏会形式ではなく、芝居の入った本格的な上演。連休を利用して徹夜でネットラジオと格闘しましたが、その甲斐は十分にありました。演奏のレベルも満足のいくものでしたし、音だけの鑑賞でもステージの活気が伝わってきて、時にプッと吹いたりしながら、楽しく聴きとおすことができました。
今回のお目当ては、ナレーターでもパングロスでもなく、ちゃんと主役のキャンディード。最近お気に入りの英国人テノールの声を聴きたいがためだったのですが、そちらの感想は後で語ることにして。
その前に。
このプロダクションの一風変わった演出、ロバート・カーセン(写真)のシゴトについて、覚え書き程度にまとめておくことにいたします。
音だけの鑑賞で、実際に舞台を観たわけでもないですし、放送を聴くまでは興味なんて全く持っていなかったんですが。冒頭からセリフがかなりアレンジされていて、気になっていたところ、インターミッションでカーセンのインタビューが流れまして「ナルホド」と思ったコトがあったのです。
ブレアさんやブッシュさんが国旗の柄の海パン姿で登場するシーンが物議をかもして、スカラ座でカットされたとかされないとか、そんな噂はネット上でちらほら聞いてはいたんですが、《キャンディード》という作品を知らなかった当時は何が何やら「???」でした。
またもや現代読替大好きな演出家が暴走したのかー程度に思っていたわけなんですけれども、カーセンの言い分を聞いてみると、けっこう筋が通っているというか、やりたいことは理解できるというか。
最終的な結論を下すのは、映像なり実演なりを自分の目で観てからなんでしょうけど。調べれば調べるほどに面白くてハマってしまいました。
このカーセン版《キャンディード》。パリ・シャトレ座とスカラ座、ENOによる共同制作なんだそうで、プレミエはシャトレ座で06年12月。その後、07年6月にスカラ座で上演され、ロンドンにやってきたのは08年6月でしょうか。
6/23の初日の模様は、実際にご覧になったロンドンの椿姫さんがレポして下さっていますので、そちらをぜひお読みください。
ROH《ラ・ボエーム》 '74年のプレミエ写真の検証 (注:ネタです) [オペラの話題]
ヴァランシエンヌさんより、34年前のROH《ラ・ボエーム》のプレミエ写真をいただいてしまいました。
今年10月の公演のプログラムに掲載されていたものです。(ヴァラリンさん、本当にありがとうございます)
※プログラムより転載
La boheme, The Royal Opera(1974) with Placido Domingo(Rodolfo), Katia Ricciarelli(Mimi), Wendy Fine(Musetta) and Peter Glossop(Marcello) Donald Southern Cllection at Royal Opera House Collections
こちらの記事:"初代マルチェッロはグロソップだった!! 《ラ・ボエーム》@’74年プレミエ"で(私だけが)さんざん大騒ぎをいたしました、グロ様とアレンの共演の事実も、お陰さまで確証が得られたかな?と。
え?
「明らかに“猿の惑星”なグロ様ならわかるけど、
あんな後姿だけじゃ、アレンと断言するのは無理ダロ」って?
ふふン、粘着なファンを舐めんなよ。
「続きを読む」以下に
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再回答 ■好きなオペラ歌手に関する50+αの質問■ [オペラの話題]
ヴァランシエンヌさんの配布しているこちらの質問。以前に回答したことがあるのですが、ブログも新しくしたことだし、もういちどトーマス・アレンで、今度はマジメにまとめてみようと思います。
いつも記事で語っていることを凝縮しているだけですので、あまり目新しくはない――というか、例によって怪しいお花畑モード(薔薇とドクダミがごちゃ混ぜに生えているような)に入っていますので、お食事中の方はご注意ください。
いつも記事で語っていることを凝縮しているだけですので、あまり目新しくはない――というか、例によって怪しいお花畑モード(薔薇とドクダミがごちゃ混ぜに生えているような)に入っていますので、お食事中の方はご注意ください。
タグ:YouTube
初代マルチェッロはグロソップだった!! 《ラ・ボエーム》@’74年プレミエ [オペラの話題]
連日ROHの《ラ・ボエーム》の話題ばかりですみませんが、ネットをさまよっていましたら、この古き良き演出を手がけたジョン・コプリー(John Copley)のインタビューを見つけました。
⇒コチラ
今回初めて知ったのですが、初演は1974年だったのですね!!
なんと、今年で34年です。この息の長さに匹敵するのは、40年以上続いたゼッフィレッリの《トスカ》くらいなものだとか。こちらは2006年に新演出に差し替えられましたが。
この《ラ・ボエーム》以外にも、コプリーの演出は長きにわたって愛されたものが多く、《フィガロの結婚》が21年、《コジ・ファン・トゥッテ》が24年とのこと。
こちらの2演目は、今年と昨年にROHで観る事ができましたが、演出はそれぞれデイヴィッド・マクヴィカーとジョナサン・ミラーでした。どちらの演出も素晴しいものでしたが、《ラ・ボエーム》でのコプリーのシゴトがお気に入りの私ですので、彼のフィガロとコジも見たかったな~なんて、今となっては思います。
コプリー曰く、「奇抜な演出が多い昨今では、私なんぞ“生きた化石”でしょう。ドイツのオペラ界では一笑に付されてしまうでしょうが、ここROHでは、プラスチックの袋やゴミ箱よりも華麗な舞台を求めている観客が大勢いますから」だそうで。
前衛的な演出であってもセンスが良ければ歓迎ですが、こっぱずかしいくらいにロマンチックな《ラ・ボエーム》ですから、やっぱりコプリーやゼッフィレッリのようなベタベタな路線でやっていただいて、私を赤面させていただきたいです(笑)
ところで、今年のROH《ラ・ボエーム》を直接ご覧になったヴァランシエンヌさんより、プログラムに載っていたプレミエの写真に、グロ様の姿がありましたよ!!との通報をいただきました!!
えええっ!? この演出の初代マルチェッロって、ピーター・グロソップだったの(*゚Д゚)!?
大慌てで調べてみたところ、あっけなくわかりました。
1974年2月6日、初演時の主要キャストはこちらです↓↓
⇒コチラ
今回初めて知ったのですが、初演は1974年だったのですね!!
なんと、今年で34年です。この息の長さに匹敵するのは、40年以上続いたゼッフィレッリの《トスカ》くらいなものだとか。こちらは2006年に新演出に差し替えられましたが。
この《ラ・ボエーム》以外にも、コプリーの演出は長きにわたって愛されたものが多く、《フィガロの結婚》が21年、《コジ・ファン・トゥッテ》が24年とのこと。
こちらの2演目は、今年と昨年にROHで観る事ができましたが、演出はそれぞれデイヴィッド・マクヴィカーとジョナサン・ミラーでした。どちらの演出も素晴しいものでしたが、《ラ・ボエーム》でのコプリーのシゴトがお気に入りの私ですので、彼のフィガロとコジも見たかったな~なんて、今となっては思います。
コプリー曰く、「奇抜な演出が多い昨今では、私なんぞ“生きた化石”でしょう。ドイツのオペラ界では一笑に付されてしまうでしょうが、ここROHでは、プラスチックの袋やゴミ箱よりも華麗な舞台を求めている観客が大勢いますから」だそうで。
前衛的な演出であってもセンスが良ければ歓迎ですが、こっぱずかしいくらいにロマンチックな《ラ・ボエーム》ですから、やっぱりコプリーやゼッフィレッリのようなベタベタな路線でやっていただいて、私を赤面させていただきたいです(笑)
ところで、今年のROH《ラ・ボエーム》を直接ご覧になったヴァランシエンヌさんより、プログラムに載っていたプレミエの写真に、グロ様の姿がありましたよ!!との通報をいただきました!!
えええっ!? この演出の初代マルチェッロって、ピーター・グロソップだったの(*゚Д゚)!?
大慌てで調べてみたところ、あっけなくわかりました。
1974年2月6日、初演時の主要キャストはこちらです↓↓
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アレンの《ラ・ボエーム》もオンデマンド・ストリーミング――部分的に(笑) [オペラの話題]
ロイヤル・オペラ・ハウス(ROH)のサイトの、《ドン・ジョヴァンニ》のオンデマンド・ストリーミングが話題になっておりました。
期待していた割にはケチくさく、音質も画質も良くなかったというオチがついていたものの、なかなか画期的な試み。ネット環境さえ整っていれば、DVDになる前にタダで話題の公演が観れちゃうんですから。
本来なら、劇場に足を運んでもらって直にお金を落として盛り上がってもらいたいはず。宣伝用のクリップを貼る程度なら昨今は当たり前でしょうけれども、まるまる一公演を見せちゃうなんて、ものすごい大盤振る舞いだと思います。
チューリッヒ中央駅でのTVオペラの成功例も記憶に新しいですし、オンデマンド・ストリーミングによるオペラ鑑賞の機会は今後ますます増えていくでしょう。インターネット進出によって、オペラ界がどのように変化していくのか、ファン層がどのように広がっていくのか、とっても気になるところであります。
気になってはいるものの、
「ウチで応援しているじーちゃんにはあんまり関係ないわよね……。ネットどころか、今時TVの悪口を言っちゃうくらい時代錯誤なじーちゃんだもの……。公式サイトだって当然ながら作ってないしサ……(´・ω・`)」
な~んて、ちょっとイジケていたんですけど。
りょーさんのブログで話題になっていたので、クーラとハーフヴァーソン目当てでROHビデオのページに飛んでみました。
そしたら、あらま、あるじゃないの~!! 若き日のアレンが“ふさふさ”やってる《ラ・ボエーム》のクリップが~(*´∨`)
たった3分足らずの、既に商品化されちゃった20年前26年前の映像の使いまわしですけど、でも立派なオンデマンド・ストリーミングでしょー。(←苦し紛れ)
たまたま10/18まで、この演出の《ラ・ボエーム》を上演していましたからね。たったの4公演でしたし、わざわざ新しいビデオを作る暇も金もねーよってな理由で、この映像を使ったにすぎないんでしょうけどー。
もう公演も終わっちゃってるので、そのうち消えちゃうと思いますけど;;;
でもお陰さまで、私も(アレンも)、オペラ界の旬の話題にからむことができたってわけ♪ 1ステップ出遅れがちなのは、まぁいつものことなんですけどね(笑)
人気のDVDですが、まだの方がいらっしゃったら是非ともご覧になってみてね。酸欠で倒れる寸前(?)のニール・シコフ(ロドルフォ)のイッパイイッパイな歌唱と、イレアナ・コトルバス可憐なミミを聴けます。
↑の画像の“熊男”ことコッリーネに扮するのはグウィン・ハウエル。
この演出の初代マルチェッロだったピーター・グロソップと、初演時からコッリーネを歌っているベテランです。
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関連記事リンク
◇新旧のROH《ラ・ボエーム》-- レビューが出てます
◇ROHの《ラ・ボエーム》 -- アレンの“ふさふさ”マルチェッロ
◇チューリッヒ中央駅の《椿姫》 -- “イベント”というより、むしろ堂々たる“上演”
期待していた割にはケチくさく、音質も画質も良くなかったというオチがついていたものの、なかなか画期的な試み。ネット環境さえ整っていれば、DVDになる前にタダで話題の公演が観れちゃうんですから。
本来なら、劇場に足を運んでもらって直にお金を落として盛り上がってもらいたいはず。宣伝用のクリップを貼る程度なら昨今は当たり前でしょうけれども、まるまる一公演を見せちゃうなんて、ものすごい大盤振る舞いだと思います。
チューリッヒ中央駅でのTVオペラの成功例も記憶に新しいですし、オンデマンド・ストリーミングによるオペラ鑑賞の機会は今後ますます増えていくでしょう。インターネット進出によって、オペラ界がどのように変化していくのか、ファン層がどのように広がっていくのか、とっても気になるところであります。
気になってはいるものの、
「ウチで応援しているじーちゃんにはあんまり関係ないわよね……。ネットどころか、今時TVの悪口を言っちゃうくらい時代錯誤なじーちゃんだもの……。公式サイトだって当然ながら作ってないしサ……(´・ω・`)」
な~んて、ちょっとイジケていたんですけど。
りょーさんのブログで話題になっていたので、クーラとハーフヴァーソン目当てでROHビデオのページに飛んでみました。
そしたら、あらま、あるじゃないの~!! 若き日のアレンが“ふさふさ”やってる《ラ・ボエーム》のクリップが~(*´∨`)
たった3分足らずの、既に商品化されちゃった
画像をクリックすると、この動画のページに飛びます。
たまたま10/18まで、この演出の《ラ・ボエーム》を上演していましたからね。たったの4公演でしたし、わざわざ新しいビデオを作る暇も金もねーよってな理由で、この映像を使ったにすぎないんでしょうけどー。
もう公演も終わっちゃってるので、そのうち消えちゃうと思いますけど;;;
でもお陰さまで、私も(アレンも)、オペラ界の旬の話題にからむことができたってわけ♪ 1ステップ出遅れがちなのは、まぁいつものことなんですけどね(笑)
人気のDVDですが、まだの方がいらっしゃったら是非ともご覧になってみてね。酸欠で倒れる寸前(?)のニール・シコフ(ロドルフォ)のイッパイイッパイな歌唱と、イレアナ・コトルバス可憐なミミを聴けます。
↑の画像の“熊男”ことコッリーネに扮するのはグウィン・ハウエル。
この演出の初代マルチェッロだったピーター・グロソップと、初演時からコッリーネを歌っているベテランです。
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関連記事リンク
◇新旧のROH《ラ・ボエーム》-- レビューが出てます
◇ROHの《ラ・ボエーム》 -- アレンの“ふさふさ”マルチェッロ
◇チューリッヒ中央駅の《椿姫》 -- “イベント”というより、むしろ堂々たる“上演”
タグ:ROH
新旧のROH《ラ・ボエーム》-- レビューが出てます [オペラの話題]
こちらの記事でネタにしたばかりのROH《ラ・ボエーム》。お馴染みのMusicalCriticism.comにレビューが出ていますので、ちょっとばかり話題にしておきましょう。
なんと、22回目(!!)のリバイバルだそうで、写真で見る限りにおいてアレンが歌っていた頃の舞台セットと細部までまるで変わりゃしません。衣装もほとんど同じですねぇ。
ロンドンのお客さんはいい加減に飽き飽きでしょう。にもかかわらず、しつこくコレを続けているのは、過去にパヴァロッティやらフレーニやらカレーラスやらリッチャレッリやら、そうそうたる名歌手たちがこのプロダクションで歌ったということで、「観光客向け」というか、私みたいに「いつかROHでこのボエームを……!!」なんて考えている外国人のオペラファン向けのサービスなのかもしれませんね。
←は82年版の同シーン。第4幕での決めポーズです。
人物の立ち位置が違うだけで、雰囲気はまったく変わらず。
そうそう、人物の位置と言えば……。第4幕に出てくる真っ裸のおネエちゃん。ええ、「風景画を描きたい」なんてほざきながらマルチェッロが連れ込んでいるヌードモデルね。下世話な私はこのシーンが大好きなのでありますが、82年では観客に背中を向けているだけで、いちばんオイシイところはアレンにしか見えないようになっていますけどw、さすがにこれでは刺激が足りない!! ということで、最近では横向きに座っているそうですよ♪ 実演を何度もご覧になっている椿姫さんに教えていただきました。
私が実演を観る頃には、前を向いて座ってくれていることを切に願うものであります。
歌手たちもなかなか好評のようです。
まず、私が目をつけている若手バリトン、クリストファー・マルトマン。幼稚園児みたいなスモッグを着ている画家マルチェッロですが、いつも通りテキトーな訳ですみませんが、“プッチーニがこの役に意図した多面性”をよく打ち出していた、なんてあります。
歌唱は特別オモシロいわけではありませんけど、飄々としたパパゲーノを見て以来、どうも気になってしかたがないマルトマン。彼のマルチェッロを見たいような……でも見ちゃったら、アレンへの愛がいきなり薄らいでしまいそうでちょっと避けておきたいような……。キ、キケンだわ(笑)
そうそう、MusicalCriticism.comにマルトマンのインタビューがあるのですけど、その中で「アレン演出のドン・ジョヴァンニ」について触れている部分があるので、暇な時に紹介させていただくかもしれません。
そしてウチのブログのゲストであるところのアレクサンドル・ヴィノグラードフ@ヴィブラート震度6の君も、「外套のアリア」が素晴らしかったとのこと。いくらこのプロダクションの歴史が長いとはいえ、こんなに童顔でかわいらしいコッリーネはお初でしょう。
でもねぇ、感動的なアリアのシーンで、ヒゲ剃りクリームはいけないわ(笑)
大きなお世話かもしれないけれど、おばちゃん、調べてみたのよ。
ヒゲ剃りクリームは、ココ……↓
4人でダンスを踊る直前に、マルチェッロに拭いてもらえばいいのよ。
10/15追記 2日目の公演をご覧になった椿姫さんのレポによると、なんとヴィノ君、またもやヒゲ剃りクリームをつけたままだったそうです。おっちょこちょい疑惑から一転して、「わざと」疑惑が浮上しますた(笑)
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ROH《ラ・ボエーム》関連記事リンク
◇ROHの《ラ・ボエーム》 -- アレンの“ふさふさ”マルチェッロ
なんと、22回目(!!)のリバイバルだそうで、写真で見る限りにおいてアレンが歌っていた頃の舞台セットと細部までまるで変わりゃしません。衣装もほとんど同じですねぇ。
ロンドンのお客さんはいい加減に飽き飽きでしょう。にもかかわらず、しつこくコレを続けているのは、過去にパヴァロッティやらフレーニやらカレーラスやらリッチャレッリやら、そうそうたる名歌手たちがこのプロダクションで歌ったということで、「観光客向け」というか、私みたいに「いつかROHでこのボエームを……!!」なんて考えている外国人のオペラファン向けのサービスなのかもしれませんね。
←は82年版の同シーン。第4幕での決めポーズです。
人物の立ち位置が違うだけで、雰囲気はまったく変わらず。
そうそう、人物の位置と言えば……。第4幕に出てくる真っ裸のおネエちゃん。ええ、「風景画を描きたい」なんてほざきながらマルチェッロが連れ込んでいるヌードモデルね。下世話な私はこのシーンが大好きなのでありますが、82年では観客に背中を向けているだけで、いちばんオイシイところはアレンにしか見えないようになっていますけどw、さすがにこれでは刺激が足りない!! ということで、最近では横向きに座っているそうですよ♪ 実演を何度もご覧になっている椿姫さんに教えていただきました。
私が実演を観る頃には、前を向いて座ってくれていることを切に願うものであります。
歌手たちもなかなか好評のようです。
まず、私が目をつけている若手バリトン、クリストファー・マルトマン。幼稚園児みたいなスモッグを着ている画家マルチェッロですが、いつも通りテキトーな訳ですみませんが、“プッチーニがこの役に意図した多面性”をよく打ち出していた、なんてあります。
歌唱は特別オモシロいわけではありませんけど、飄々としたパパゲーノを見て以来、どうも気になってしかたがないマルトマン。彼のマルチェッロを見たいような……でも見ちゃったら、アレンへの愛がいきなり薄らいでしまいそうでちょっと避けておきたいような……。キ、キケンだわ(笑)
そうそう、MusicalCriticism.comにマルトマンのインタビューがあるのですけど、その中で「アレン演出のドン・ジョヴァンニ」について触れている部分があるので、暇な時に紹介させていただくかもしれません。
そしてウチのブログのゲストであるところのアレクサンドル・ヴィノグラードフ@ヴィブラート震度6の君も、「外套のアリア」が素晴らしかったとのこと。いくらこのプロダクションの歴史が長いとはいえ、こんなに童顔でかわいらしいコッリーネはお初でしょう。
でもねぇ、感動的なアリアのシーンで、ヒゲ剃りクリームはいけないわ(笑)
大きなお世話かもしれないけれど、おばちゃん、調べてみたのよ。
ヒゲ剃りクリームは、ココ……↓
4人でダンスを踊る直前に、マルチェッロに拭いてもらえばいいのよ。
10/15追記 2日目の公演をご覧になった椿姫さんのレポによると、なんとヴィノ君、またもやヒゲ剃りクリームをつけたままだったそうです。おっちょこちょい疑惑から一転して、「わざと」疑惑が浮上しますた(笑)
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ROH《ラ・ボエーム》関連記事リンク
◇ROHの《ラ・ボエーム》 -- アレンの“ふさふさ”マルチェッロ
ピーター・グロソップ(Peter Glossop) -- 歌手として、父として… [オペラの話題]
YouTubeにピーター・グロソップの80年の人生をスライドにした感動的な動画がアップされていますのでご紹介します。keyakiさん、いつもありがとうございます。
投稿者はグロ様の長女のアンバーさんです。お葬式の告知以来、ネットで上で名前をお見かけしませんでしたので、どうなさっているのかなぁと思っていました。ちょっと安心しました。
赤ん坊時代から晩年に至るまで、舞台写真だけでなく私生活の貴重なスナップの数々。全盛期の歌唱を聴きながら、孤高のバリトン歌手の80年の人生を振り返ることができます。よくぞここまで披露してくださったものだと、ファンとして感謝の気持ちでいっぱい。
BGMとして使われているのは2曲。《エルナーニ》のドン・カルロのアリア(モンセラート・カバリエやボリス・クリストフと共演している、69年のライブ録音だと思います)と、《椿姫》から「プロヴァンスの海と陸」。
どちらもヴェルディバリトンのアリアとして大好きな曲ですし、グロ様の「プロヴァンス…」を聴いたのはこれが初めてだったので、とても感激してしまいました。
舞台写真もいろいろありますが、当時の衣装って何の説明がなくても「あー、これはリゴレットだ」とか「ルーナか?」とか「どう見てもイァーゴだな」とか、何となく分かってしまうのが面白いですね。まぁ殆どがリゴレットなわけですが(笑)
そして、途中で出てくるカーテンコールの写真(ファルスタッフの直前。1分17秒あたりの2枚)。これはおそらく、イタリア歌劇団日本来日時のものではないでしょうか。向かって1番左の背の高い人がスパラフチーレを歌ったR・ライモンディではないかと勝手に思っているのですが、keyakiさん、いかがですか?
投稿者はグロ様の長女のアンバーさんです。お葬式の告知以来、ネットで上で名前をお見かけしませんでしたので、どうなさっているのかなぁと思っていました。ちょっと安心しました。
赤ん坊時代から晩年に至るまで、舞台写真だけでなく私生活の貴重なスナップの数々。全盛期の歌唱を聴きながら、孤高のバリトン歌手の80年の人生を振り返ることができます。よくぞここまで披露してくださったものだと、ファンとして感謝の気持ちでいっぱい。
BGMとして使われているのは2曲。《エルナーニ》のドン・カルロのアリア(モンセラート・カバリエやボリス・クリストフと共演している、69年のライブ録音だと思います)と、《椿姫》から「プロヴァンスの海と陸」。
どちらもヴェルディバリトンのアリアとして大好きな曲ですし、グロ様の「プロヴァンス…」を聴いたのはこれが初めてだったので、とても感激してしまいました。
舞台写真もいろいろありますが、当時の衣装って何の説明がなくても「あー、これはリゴレットだ」とか「ルーナか?」とか「どう見てもイァーゴだな」とか、何となく分かってしまうのが面白いですね。まぁ殆どがリゴレットなわけですが(笑)
そして、途中で出てくるカーテンコールの写真(ファルスタッフの直前。1分17秒あたりの2枚)。これはおそらく、イタリア歌劇団日本来日時のものではないでしょうか。向かって1番左の背の高い人がスパラフチーレを歌ったR・ライモンディではないかと勝手に思っているのですが、keyakiさん、いかがですか?
ポケモン図鑑 -- 我が家のご贔屓歌手たち [オペラの話題]
管理人のお気に入りのポケモン(ご贔屓歌手)たちを紹介します。
基本、この人たちについての覚え書き、感想が多いです。
アンティーク(19世紀生まれ)やヴィンテージ(20世紀初頭~20年代生まれ)、おじいちゃん世代(30年代~40年代生まれ)の歌手が多いです。やや保守的ですが、懐古主義者ではないつもりです。
(しょっちゅうではありませんが、最近の歌手たちのも聴いています)
ポケモンたちの画像をクリックすると、それぞれの登場する記事一覧へリンクします。
基本、この人たちについての覚え書き、感想が多いです。
アンティーク(19世紀生まれ)やヴィンテージ(20世紀初頭~20年代生まれ)、おじいちゃん世代(30年代~40年代生まれ)の歌手が多いです。やや保守的ですが、懐古主義者ではないつもりです。
(しょっちゅうではありませんが、最近の歌手たちのも聴いています)
ポケモンたちの画像をクリックすると、それぞれの登場する記事一覧へリンクします。
ピーター・グロソップのお葬式 -- 9月18日(木)だそうです [オペラの話題]
YouTubeにピーター・グロソップのトリビュート動画がアップされました。
“エリンギ”という愛称の生まれるキッカケとなった頭のでっかいルーナ伯爵、イタリア歌劇団来日時のリゴレット、《道化師》トニオのプロローグ、以前こちらの記事でネタにしました“仁王立ちエスカミーリョ”が観られます。
さて、ピーター・グロソップのお葬式ですが、9月18日(木)にデヴォン州エクセターのSt.Peter's Chapel にて、11:30 am より執り行われます。
教えてくださったのは、グロ様の長女のアンバーさん。Facebookのwallに同じ告知がありましたので、ご本人に間違いないと思います。
私も最近まで気づかなかったのですが、実はアンバーさんは、少し以前からYouTubeのグロ様の動画にちょくちょくコメントを残し、ファンの方々と語ったり近況を伝えたりしていたんですね。近年のグロ様はアルツハイマーも患っていたそうですが、アンバーさんは妹さんと二人で出来る限り頻繁にグロ様のもとを訪れていたとのこと。
4年前に出版された自伝では、離婚の際に二人の娘さんと離れ離れになったっきりで、「元妻のジョイスの存在がライフラインです」と書かれていたので、なんだかとてもお気の毒だったのですが、YouTubeでのアンバーさんの書き込みを見つけて、とても嬉しく思いました。
グロ様の二人の娘さん――アンバーさんとロージーさん――は、年をとってから生まれたお子さんですので、まだまだとってもお若いのです(私よりもずっと年下でいらっしゃるんです)。お二人が大きくなる前にグロ様は引退してしまいましたし、お父様のオペラ歌手としての活躍ぶりをリアルタイムに知ることはなく成長されたんだと思います。
アンバーさんのYouTubeでのコメントを読むと、お父様のことをまるでヒーローのように尊敬し、慕っている様子がうかがえて、読んでいるだけでとっても胸が熱くなりました。
今回、アンバーさんに連絡をとって、お悔やみとファンとしての思いをお伝えしたところ、アンバーさんも喜んでくださいました。そして、他のファンの方々のメッセージとともに私のメッセージもお葬式の時に読み上げてくださるとのことです。
ほんの1年前にCDを聴いて、思いを募らせていただけの私ですのに。お月さまよりも遠い存在だと思っていたグロ様と、まさかこんな形で繋がりが持てるとは思ってもみませんでした。ファンとしてこれ以上の栄誉はありません。神様とグロ様、アンバーさんに心から感謝です。
ネットでアンバーさんが呼びかけていますので、お葬式にはファンの方々も集まることと思います。私もすっ飛んで行きたいくらいですが、残念ながら叶いませんので、次の渡英の際にでもお墓参りができればいいなと思っています。
ピーター・グロソップ (Peter Glossop) が亡くなりました/2008年9月7日 [オペラの話題]
自分がファンをやっている歌手の訃報を、自分のファン・ブログに書かねばならぬことほど残念なことはありません。
イギリス人の往年のヴェルディ・バリトン、“グロ様”こと、ピーター・グロソップが9月7日に亡くなりました。享年80歳。咽頭ガンだったそうです。
病名を聞くと、同世代のヴェルディ・バリトン、エットーレ・バスティアニーニを思い出します。
グロ様とバスティアニーニの間には直接の繋がりはありませんが、グロ様がスカラ座デビューを果たしたのと同じプロダクションで、かつてバスティアニーニもリゴレットを歌ったことがあったと、自伝で嬉しそうに語られていました。
*2012,03,01追記 バスティアニーニは1922年生まれで、グロソップより6才年上。喉頭ガンと診断されたのは'62年頃のようで、グロソップがようやく世界に活動の場を広げ始めた時、バスティアニーニは次第に舞台での活動から退いていったわけですね。
かつてバスティアニーニの命を奪った病名を知った時には、「なんという悲劇だろう」とショックを受けたものでした。まさかグロ様も同じ病魔に侵されていたとは思ってもみませんでした。(まぁグロ様が発病したのはオペラ界を退いたずっとずっと後なのですが)
とても残念なことです。
命日となった9月7日――時差がありますから、日本時間では9月8日だったかもしれませんが――アレンの《ジャンニ・スキッキ》のことで頭がいっぱいだったにもかかわらず、突然グロ様の自伝のことが思い出された瞬間がありました。
会ったことも当然なければ舞台を観たことすらない相手なのに、ヘンですね。けれどもなぜかその時、「引退したずっと後になってから、極東の片隅でこんなにアナタの歌唱に魅了されているファンがいますよということを、グロ様に伝えてあげられたらなぁ……」と思ったものでした。
こういうのを「虫の知らせ」と言うのでしょうか。まぁ、「たまたま」だとは思うのですが、時にスピリチュアルなものの見方も好む私。純粋なファン心が引き寄せたシンクロニシティであるとして、慰めを得ることにしましょう。
Opera Chicさんの記事には、サー・ジェレイント・エヴァンスとの親交など、自伝には語られていなかったエピソードもあります。病気のことも(当然ながら)自伝ではわからなかったことです。
最初の妻のジョイス・ブラックハムがグロ様の近所に移り住んだのは、グロ様の病気が明らかになった頃のようで、やはり彼女がグロ様のお世話をしていたようですね。
オペラ界を引退後のグロ様の孤独な生活は、自伝を読んだだけでも胸がしめつけられるようでしたが、ジョイスの存在が本当に救いです。きっとジョイスに看取られて天に召されたのだと思います。自伝を著した頃には離れ離れになっていた二人の娘にも再会できたであろうことを祈ります。(←9/13追記。再会できていたようで、二人のお嬢さんは頻繁にグロ様のもとを訪れていたとか。本当によかったです)
今夜の追悼BGM。何を聴こうかと迷ったのですが、初めてグロ様の声と出会った《ビリー・バッド》@ブリテン自作自演盤を選びました。
この人の声に出会ったのはたった1年前なのですね――。
伸びやかで明るく、力強い歌唱です。
好きなバリトン歌手ならほかにも何人もいますけれども、私にとって「最もバリトンらしい」と感じられる理想の声はこの人のものだと思っています。
イギリス人の往年のヴェルディ・バリトン、“グロ様”こと、ピーター・グロソップが9月7日に亡くなりました。享年80歳。咽頭ガンだったそうです。
病名を聞くと、同世代のヴェルディ・バリトン、エットーレ・バスティアニーニを思い出します。
グロ様とバスティアニーニの間には直接の繋がりはありませんが、グロ様がスカラ座デビューを果たしたのと同じプロダクションで、かつてバスティアニーニもリゴレットを歌ったことがあったと、自伝で嬉しそうに語られていました。
*2012,03,01追記 バスティアニーニは1922年生まれで、グロソップより6才年上。喉頭ガンと診断されたのは'62年頃のようで、グロソップがようやく世界に活動の場を広げ始めた時、バスティアニーニは次第に舞台での活動から退いていったわけですね。
かつてバスティアニーニの命を奪った病名を知った時には、「なんという悲劇だろう」とショックを受けたものでした。まさかグロ様も同じ病魔に侵されていたとは思ってもみませんでした。(まぁグロ様が発病したのはオペラ界を退いたずっとずっと後なのですが)
とても残念なことです。
命日となった9月7日――時差がありますから、日本時間では9月8日だったかもしれませんが――アレンの《ジャンニ・スキッキ》のことで頭がいっぱいだったにもかかわらず、突然グロ様の自伝のことが思い出された瞬間がありました。
会ったことも当然なければ舞台を観たことすらない相手なのに、ヘンですね。けれどもなぜかその時、「引退したずっと後になってから、極東の片隅でこんなにアナタの歌唱に魅了されているファンがいますよということを、グロ様に伝えてあげられたらなぁ……」と思ったものでした。
こういうのを「虫の知らせ」と言うのでしょうか。まぁ、「たまたま」だとは思うのですが、時にスピリチュアルなものの見方も好む私。純粋なファン心が引き寄せたシンクロニシティであるとして、慰めを得ることにしましょう。
Opera Chicさんの記事には、サー・ジェレイント・エヴァンスとの親交など、自伝には語られていなかったエピソードもあります。病気のことも(当然ながら)自伝ではわからなかったことです。
最初の妻のジョイス・ブラックハムがグロ様の近所に移り住んだのは、グロ様の病気が明らかになった頃のようで、やはり彼女がグロ様のお世話をしていたようですね。
オペラ界を引退後のグロ様の孤独な生活は、自伝を読んだだけでも胸がしめつけられるようでしたが、ジョイスの存在が本当に救いです。きっとジョイスに看取られて天に召されたのだと思います。自伝を著した頃には離れ離れになっていた二人の娘にも再会できたであろうことを祈ります。(←9/13追記。再会できていたようで、二人のお嬢さんは頻繁にグロ様のもとを訪れていたとか。本当によかったです)
今夜の追悼BGM。何を聴こうかと迷ったのですが、初めてグロ様の声と出会った《ビリー・バッド》@ブリテン自作自演盤を選びました。
この人の声に出会ったのはたった1年前なのですね――。
伸びやかで明るく、力強い歌唱です。
好きなバリトン歌手ならほかにも何人もいますけれども、私にとって「最もバリトンらしい」と感じられる理想の声はこの人のものだと思っています。